第536回 歳を取ってからの勉強法
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
最近は色んな仕事に手を出す羽目になり、忙しい日々を送らせてもらっています。それが自分のリソースだけでできれば何の問題もないのですが、実際には足りてないことも多く、結構勉強に費やす時間が増えてきています。
ITエンジニアの時分は数十の資格を取得していたこともあり、暗記物は得意だったはずなのですが、50歳を超えてからは歳のせいか、なかなか覚えられないようになってきました。
しかし、仕事のことなのでそんなことも言ってられない状況だったりします。そのため、自分なりに何とか創意工夫をしているのですが、その中で比較的最近の自分に合う方法が見つかったので、今回はそれをご紹介します。
■これまでの勉強方法を振り返る
このコラムでも過去に私が実践してきた勉強方法を紹介してきました。
ITエンジニアの時分にやっていた勉強方法は第221回のコラムで書かせてもらいましたが、こんなやり方をしていました。
資格取得勉強法(第221回時点)
- 全部の問題の正解を暗記する。このとき、なぜその選択肢が正解なのか、その理由も含めて暗記する。この方法で正答率が95%を超えられるようになったら次に進む
- 不正解となる選択肢の理由を含めて暗記する。この方法で正答率が95%を超えられるようになったら、別の問題集を解く
- 別の問題集も1.~2.の状態で問題を解き、正答率が95%を超えられるようになったら、受験に臨む
IT系のベンダー資格はCBT(Computer Based Testing)方式で行われることが多いため、この方法が適していたように思います。しかし、暗記する量が通常の数倍の量に及ぶため、暗記できるかどうかが鍵となっていました。
当時はこの方法でたくさんの資格を取っていたので、私にとっては絶大な効果があると感じていましたが、今この方法をやれと言われても、覚えることに時間がかかりすぎてしまうので実践は難しいと思います。今にして思うと、この方法は暗記ができる人向けの勉強方法だったような気がしますね。
そうして次に目を向けたのが、覚え方を少し変える方法でした。それは第238回のコラムで書いていますが、こんなやり方です。
資格取得勉強法(第238回時点)
- 問題を読み上げる
- (5秒間空白を空ける)
- 答えと解説を読み上げる
- (10秒間空白を空ける)
この方法は「目で見て覚える」方法から「耳で聞いて覚える」方法に変えた時でした。この方法を実践した当初は効果が高く重宝してたのですが、後々になると色んなと不都合なことも分かってきました。それは第329回のコラムでも書かせてもらっていますが...、
- 書いてあることを読み上げ、空白を入れているため、時間がかかる(+録音するのも時間がかかる)
- 書いてある本がないと、何を読んでいるかが理解できないことがある
といった「時間がかかる」「言葉だけでは覚えられない」ということでした。
このことから、更に勉強法をブラッシュアップしています。それは第329回のコラムに書かせてもらっていますが、こんなやりかたです。
資格取得勉強法(第329回時点)
- 本をただ読み続ける
実はこの方法、今でも私にとって一番フィットしていると感じています。ただし、この方法は1つだけ大きな欠点がありました。
それは「とてつもなく時間がかかる」ということです。
私の場合、本を1回読むだけでは到底内容は全部頭に入りません。そのため、コラムでも書きましたが、目標として10回は読むようにしていました。流石にそこまで読むと粗方内容は入ってくるのですが、やはり10回読む時間は相当かかります。しかも、後半は何度も読んでいるのでどうしても読むスピードが上がってしまうのです。そうすると、斜め読みのような感じになってしまい、記憶の定着率が悪くなってしまうような感じがしていました。また、全体の大枠を理解することには向いていましたが、細かな部分の理解には向いていないようにも感じていました。
■これまでの勉強法を見直してみる
こうやって勉強法の変遷を見てみると、その時その時の状況に合わせて勉強法を変えてきたのが分かります。しかし、今実践している「本をただ読み続ける」方法では暗記が難しいと感じています。ではどうすればよいか?
その問題を解決するために、私の現状の問題点を洗い出してみました。
- 集中力が続かない(眠くなる)
- 問題を作る時間(=勉強の教材)が取れない
集中力が続かないのは歳なので仕方がない事なのですが、私の場合集中力が切れると途端に睡魔が襲ってくるのです。
また、私は勉強をするときに自分でノートを作ったり、Excelでデータをまとめたりするのですが、そうした教材を作る時間が物理的に取れないという問題点もありました。
また、ここから派生して、媒体の問題もあるように感ました。ここで言う媒体とは勉強する情報が入っている媒体のことで、スマホ、タブレット、PC、書籍、ノートなどです。
これまではスマホやタブレットを使って勉強をしてきたのですが、最近文字が見えづらいんです(汗)これって完全に老眼のなのですが、この見えづらさのせいでスマホやタブレットで勉強する気が失せてくるのです。。。
そうなると書籍やノートを使って勉強することになるのですが、書籍の書き込みやノートといった勉強の教材を作る時間が取れないので、結局この方法も難しいと感じてしまっています。
■新しい勉強法「Anki」
それでは、どんな勉強法なら私に合ってるのか? 色々と考えてみた所、こんな条件を満たしてくれる勉強法が合ってるのではないかと思いました。
- 見やすいこと
- 準備の手間がかからないこと
- 忘却曲線を意識できること
やっぱり見やすくないと続けられせんし、準備の手間がかかってしまったらやる気を失せてしまいます。そして何より、私には忘却曲線に勝たなければならないという問題があるので、この3点を意識した方法を考え直さないといけないと感じました。そうした結果、実現の形が見えてきました。
- 見やすいこと→PC上で学べる
- 準備の手間がかからないこと→PC上で準備できる
- 忘却曲線を意識できること→PC上で動くツールを使う
ということで、PCで勉強する方法を探してみることにしました。
色々と探してみた結果、「Anki」というツールに行き着きました。このツールは結構有名なのでご存じの方も多いかと思いますが、海外の方が開発されたオープンソース形式のツールでマルチプラットフォーム対応がなされています。基本は無料で利用できるのですが、iOS版のみ有料になっているみたいです。Anki Webというサイトがあり、このサイトを経由してPCで作成したデータをスマホで使うといったことができるようです。
このツールは暗記カード(フラッシュカード)形式になっており、1問ずつ問題と解答を入力します。PC版ではExcel形式のデータインポートにも対応しているみたいですし、問題と解答に画像ファイルを挿入することもできるみたいです。
私の場合、資料集などの暗記をすることが多いので、この画像ファイルで問題が作れるのはとても重宝します。具体的には問題を作る個所をスクショに撮り、1枚はそのまま、1枚は覚えたいところをペイントを使って塗りつぶします。そうして、塗りつぶした画像ファイルを問題に、そのままの画像ファイルを解凍に入れると簡単に問題を作ることができます。こうして覚えなければならない資料集を使ってたくさんの問題を短時間で対応することができるようになりました。
そして、このAnkiの優れている所は忘却曲線にも対応している点です。回答した後その問題を再出題させることができるのですが、そのタイミングを選ぶことができるのです。例えば、
- 正解した問題は、再出題までのタイミングを伸ばして忘れそうな頃に再出題してもらう
- 間違えた問題は、再出題までのタイミングを短くして早めに再出題してもらう
こんなことができるので、自分の記憶力に応じて覚え直しをすることができるようになっています。
■自分に合った勉強法を探そう
そんな訳で、今の私の状況から最適な勉強法として「Anki」というツールを紹介させていただきました。
人生100年時代といわれ、リカレント教育の必要性も謳われる世の中になってきました。つまり、私たちはいつまでも勉強が求められる時代に生きなければならないのかもしれません。
しかし、年齢とともに体力、集中力などが衰えてきます。こればかりは仕方がありません。だからこそその時々の自分に合った勉強法を探し実践していくことはとても大切で重要なこと思います。
このような自分に合う勉強法を探し実践することはこれからのキャリアづくりにとって必要な事なのかもしれませんね。