ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第534回 自分の役割について考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私がキャリコンの仕事を始めて15年以上が経ちます。その間たくさんの方のキャリアコンサルティングをさせていただきましたが、最近はほとんどやっていません。。。というのも、最近はキャリコンではなくスーパービジョンに移行しているからなのですが、スーパービジョンをさせていただくことであることに気づきました。それは自分の役割についてですが、今回はこのことについて書きます。

■私がキャリコンを始めた頃の話

 私は元々ITエンジニアでしたが、ITエンジニアをやりながら色んなコミュニケーションスキルの習得に励んでいた時期がありました。その中でも私が注目したのはコーチングでした。対話によって相談者自身が目標に到達するという考え方に共感し、その技術を徹底的に学び、実践してきました。

 しかし、コーチングには気がかりなことが1つありました。それは色んな団体が独自に資格を提供しており、あたかも資格ビジネスのような様相になっていたことです。しかも、その資格を取るのも結構ハードルが高く、数十万から下手すると百万を超えてくる場合もありました。その分学べる内容の質は深く金額に見合う効果はあると思うのですが、それでも個人が太刀打ちできるレベルではないように感じていました。

 そんな状況でしたが、私は自前でコーチングの資格を取得し、コーチングを行うようになりました。その中で自分なりの気づきや考えを体系化させ、独自のコーチング理論を構築しました。

 実はこの独自のコーチング理論を作った背景は資格ビジネスに対するアンチテーゼ的な意味合いがありました。コーチングを学びたいのに費用が高すぎるので手が出せない、そんな人が私の周りには結構おられました。それじゃ当時出版されている書籍だけでコーチングができたかと言えば、実際にはそんなことはなく、それはコーチングの真似事でしかありませんでした。そういった状況を変えたい想いから独自のコーチング理論「4Sコーチング」を作りました。そうして、その考え方を無償で提供しました。

 そんな折、キャリコンのことを知ります。きっかけはキャリアコンサルティング技能士だったと思います。技能士は国の資格制度の一つなので国家資格に該当します。この資格は2008年から施行されており、確かその時にこの資格のことを知りました。当時、キャリコンもコーチング同様資格ビジネスの様相を呈していました。これら民間のキャリコン資格は標準レベルと呼ばれていたのですが、ここに技能士が新設されることになり、そのレベル感は標準レベルの上位にあたる熟練レベルに位置づけされました。

 私はここにとても魅力を感じました。国が定めた資格なので資格ビジネスの範疇からは外れていますし、受検料も比較的安価な上、一度取得すれば更新の必要がなくずっと技能士を名り続けることができます。勿論資格の難易度は標準レベルに比べ高くなりますが、それでも取得するメリットは大きいと考えました。そうしてキャリコンの実践を重ねながら独学で学び続け、4年後の2012年に2級技能士を取得しました。

 私はこの4年間の実践の中でキャリコンという仕事の素晴らしさを体感しました。しかし、まだまだ世間の認知度は低く、キャリコンが浸透していないことで苦労されているITエンジニアが私の周りにはたくさんおられました。そうした現状を少しでも変えたい想いから、2級に合格した年にこのコラムを始めさせてもらいました。

■キャリコンからスーパービジョンへ

 そこから約10年の月日が経ちました。時代も大きく様変わりしています。キャリアという言葉は日常的に使われるようになり、キャリア自体の認知度は高まったように感じます。また、資格ビジネスの様相を呈していた標準レベルにもメスが入り、国家資格キャリアコンサルタントが新たに生まれました。厚労省は2024年度末までに10万人のキャリアコンサルタントの登録を目指しており、2021年時点で約6万人のキャリアコンサルタントが生まれています。

 こうした背景もあってか、私は少しずつキャリアコンサルタントから離れるようになりました。

 私がキャリコンになって以降、キャリアコンサルティングを行う傍ら、キャリコンを育てることにも力を注いできました。その結果、国家資格、技能検定を問わずたくさんのキャリアコンサルタントの合格をサポートさせていただくようになりました。その過程でこれからは彼らの活躍の場が必要だと考えるようになりました。

 日々、たくさんのキャリコンが生まれ、彼らが真っ直ぐ熱心に、目の前の相談者さんに向かい合っています。そういう状況を目の当たりにした時、私の役割はキャリコンではなく他のキャリコンが活躍できるようなサポートすることにあるのではないかと思うようになりました。

 多くのキャリコンが自分自身のパフォーマンスを高めることができれば、私が一人で頑張ってキャリコンをすることよりももっともっと大きな成果を生み出すことができます。そう考えた時、私は自分がキャリコンであることにこだわらなくなりました。そうして、今はキャリコンを育てる立場である指導者として活動をさせていただくようになりました。

■自分の役割について考える

 私はあまり自分のポジションや枠割に固執していませんが、自分の役割については良く考えています。

この仕事は私がやるべき仕事なのか?

 人は適材適所があります。他の人でもやれる仕事なら、それは私でなく他の人がやった方が良いと思っています。そうすることで、その人は自分の活躍の場を確保することができますし、私は私で自分にしかできない仕事に注力できます。

 キャリコンも同じです。昔と違い今は私がキャリコンをする必要性はなくなってきていると感じています。しかし、他のキャリアコンサルタントの育成は私でありたいと思っています。そこに私自身の今の価値があると思っているからです。

 自分であらねばならない事、これが私の仕事における行動原理の1つです。これからも自分であらねばならないことにこだわり、そのためにできることを一つずつやっていきたいと思っています。

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