第533回 will-can-mustから考える・その2
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
以前、will-can-mustについてコラムを書かせてもらいました。あの時はwill-can-mustというフレームワークをどうキャリアに活かすかを私なりの考えで書かせてもらいました。それでは私自身はこのwill-can-mustをどう捉えているのか、今回はそのことについて書かせていただきます。
■will-can-mustのおさらい
will-can-mustについてはこちらのコラムで紹介させてもらいました。
内容を一部引用します。
will-can-mustフレームワークとはwill、can、mustという3つの要素の関連性を表した図で、目標設定やモチベーションアップで使われることが多いです。
・・・
will...やりたいこと。叶えたい希望や願望
can...できること。能力やスキル
must...やらなければならないこと。任務や責任
このように身の回りにある仕事などをwill-can-mustフレームワークに当てはめてみることで、それが自分にとってどのように作用するのかが分かるようになるという代物です。そして、このwill-can-mustフレームワークをどのように活用していけば良いのかといった点について私なりの考えも書かせてもらいました。
■「なりたい自分≠なれる自分」
少し話が変わりますが、以前、テレビ番組でマーケターである森岡毅さんの講義が放送されておりました。YouTubeにその動画が残っていましたので紹介させてもらいます。
とても興味深い内容なのでぜひご覧いただければと思います。
ここに登壇されている森岡毅さんは今更説明不要かと思いますが、USJなどを立て直した凄腕のマーケターとして知られています。この方が悩みを持つ人に対し、ご自身の経験から様々な角度で悩みに答えられています。
その中に目標とする人とその人のようになれない自分とのギャップに悩まれているアナウンサーの話が出てきます。そのアナウンサーに対し森岡さんはこのように答えられています。
「なりたい自分≠なれる自分」の場合、どれだけ頑張ってもなりたい自分にはなれない。そういう人は自分と似た特徴を持つ人(=なれる自分)のロールモデルを見つけること
これをwill-can-mustフレームワークに当てはめてみるとこのようになります。
will...なりたい自分
can...なれる自分
つまり、森岡さんはcan(=なれる自分)をベースとしてキャリアを考えることを勧めていると私には感じました。私はこれはこれで1つの考え方だと思いました。
ただ、この話から1つ気づいたことがありました。
■willから離れることの必要性
それは、willから離れることの必要性です。willはなりたい自分を表しています。それは自分の目指したい姿であり、あってしかるべき考え方です。ただ、willが強くなり過ぎることでcanやmustが疎かになってしまい、自分を客観視できなくなるのではないかとも思うのです。実際、私もwill-can-mustで言えば、これまではwillを重視する傾向があったような気がします。それは私自身がキャリコンだからということもあると思います。
しかし、冷静に考えてみると、willもcanもmustもすべては等価、同じ価値のように感じるのです。何というか、willだけが強過ぎると物事が正しく見れないのではないかと思うのです。だから、強過ぎるwillを抑え、一旦物事をフラットにして客観的に眺めてみることがwill-can-mustには必要なのではないかと思うのです。
例えば、私の場合、先ほども書いたようにこれまではwillを重視する傾向が強かったように思います。だから、意図的にwillを抑えるようにしてみました。すると、自然とcanやmustに意識が向くようになります。その結果、canやmustについて深く考えが及ぶようになりました。そうして得られた新たなcanやmustは以前よりも私の中で重要で大切な要素になっていました。
こうやってwill-can-mustを捉え直してみると、自分で自分を俯瞰していることに気づきます。主観ではなく客観で自分を見ることで、改めて自分のやりたいこと、できること、なすべきことが再構築されていくような感じがします。
このように自分を客観視することで新たなwill-can-mustを創造すること、これがwill-can-mustを使う上で大切な事なのではないかと、私は思います。
コメント
ちゃとらん
いつも、楽しく拝読させていただいています。
『willから離れることの必要性』なかなか、良いお言葉だと思います。
そのことで、少し思い出した話があります。
夢をかなえる方法に、『目標達成型』と『使命追求型(天命追求型)』があると言います。『目標達成型』が、will重視派で、『使命追求型(天命追求型)』がcan重視派ではないかと思えました。
willを重視しなさいと言われても、『なりたい自分』とか『目標設定』が出来ない、達成時のイメージができない場合、その目標に向かって努力もできなくなってしまいます。
そういう場合、目の前の出来ることを誠実に行うという『使命追求型(天命追求型)』で、その積み重ねの結果、成功を収めることができた…みたいなcan重視でもいいんじゃないかと思います。
ただし、『できる事』といっても漠然と行うのではなく、(出来ることを行うという目標)を挙げて、ひたすら頑張るという態度でないと、成功を収めるのは難しそうです。
# can を、must にするという will … みたいな感じでしょうか?
キャリアコンサルタント高橋
ちゃとらんさん、
コメントありがとうございます。
目標達成型と使命追求型って考え方は興味深いですね。
結局のところ、will-can-mustのどこに比重を置くかはその人の考え方ひとつなんだろうと思います。
でも、それが他の要素に影響を及ぼし、やがてはwill-can-mustすべてに波及していくようのかもしれませんね。
やっぱり、「ひたすら頑張る」これに尽きますね。。。