第486回 比較しない生き方
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
キャリアを考える場合、到達したいキャリアを最初に定め、そのキャリアに近づけるように行動します。しかし、そもそも到達したいキャリアが見つからない場合、どのように考えればよいのでしょうか? 今回はそんなお話です。
■一般的なキャリアづくりの流れ
ここではキャリアが何なのかという議論は置いておきますが、キャリコンでは仕事にせよ技術にせよ、自分の実現したい姿をキャリアとして捉えます。例えば、
- 「〇〇さんのような仕事をやりたい!」
- 「将来はビッグデータに関連した開発業務に就きたい!」
- 「もっと、周りの人を活かせるようなマネージャになりたい!」
このような感じでしょうか。そうして、その人が本当に目指したい姿(キャリア)が明確になったら、次にそこに辿り着くためのキャリアプランを考え、実行していきます。これが一般的なキャリアづくりの流れです。
■キャリアは相対的に考えられる
しかし、キャリアを思い描くことができない人もおられます。
- 「キャリアって言われてもよく分からないです」
- 「キャリアを考えても、私には到達できそうにないです」
その理由はいろいろあると思いますが、その一つにキャリアは相対的に考えるという点があると思います。
以前、「相対的と絶対的」というコラムを書きましたが、私たちは基本的に相対的な見方で世の中を見ています。それはキャリアにおいても言えます。理想の自分であるキャリアは現状の自分の姿から相対的に描いているからです。
つまり、一般的にキャリアは相対的なモノの見方で捉えなければならない一方で、理想とする姿がイメージできない方はキャリアを考えることができなくなります。
ただ、キャリアを思い描くことができないということと、キャリアが不要ということは必ずしもイコールではありません。キャリアの必要性は感じる一方でキャリアを思い描くことができず、自分の将来に不安に感じる方もおられます。そのような場合はどうすればいいのでしょうか?
■比較しない生き方
そのためにはキャリアを相対的ではなく、絶対的に捉える必要がありそうです。
そして、そのヒントはヴァルネラビリティにあると思います。ヴァルネラビリティとは「心のもろさ」を表す言葉で、IT業界では「脆弱性」と訳されたりします。私たちはそもそも誰しもがヴァルネラビリティを持っており、先ほどの自分の将来に感じる不安などがヴァルネラビリティにあたります。
このヴァルネラビリティへの対処についてはいろんな方法がありますが、その中に「ありのままを受け入れる」というモノがあります。
例えば「1日の終わりに、仕事を終えたありのままの自分を受け入れる」ということが考えられます。これは、仕事で成功しようが失敗しようがその日1日の仕事を終えた自分自身の状態を認めてあげるということです。こうすることでその人は何とも比較をしない絶対的なモノの見方で自分を捉えることができるようになります。
そして、この自分の置かれている状況を自分自身を認めてあげることを積み重ねていくことが、その人にキャリアとなっていきます。
それは、誰とも、何とも「比較をしない生き方」というキャリアです。
私はキャリアというのはいろんな形があってよいと思っています。自分の将来が考えられないことで不安になることもあるでしょう。そのヴァルネラビリティに対し、ありのままの自分を受け入れるという絶対的なモノの見方をしてみることで、自分自身の心と向き合う機会ができてきます。そして、その中で得られた力というのは、その後の自分を助けてくれるとても武器になってくれるように思います。