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第462回 評価について考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 4月は会社勤めの方は昇給や昇進の時期に当たる方も多いのではないでしょうか。この時期、会社勤めの方には会社からの評価が気になる時期でもありますよね。評価というのは自分ではどうすることもできない反面、どうにかしたいと思う人もおられるのではないかと思います。キャリアづくりにおいても評価は大きな要素を占める場合があります。そこで今回は評価について思うことを書いてみます。

■昇給の考え方

 評価は査定考課などと呼ばれる場合もありますが、ある一定期間(通例は1年間)の業績や行動などの結果によって社内におけるその人の処遇、待遇を決めることをいいます。そのため、評価期間での頑張りが自身の給料に反映されたり、役職や役割の変化に繋がったりします。それは私たちの生活に直結することもあり、評価は私たちにとってとても重要なイベントになることもあります。

 しかし、一方で評価は私たちの手の届かないところにあります。それは被評価者(評価を受ける人)の評価は被評価者自身で決定することができないからです。その評価が評価者(評価をする人)に委ねられている以上、評価が自分の思い通りになるかどうかはわかりません。寧ろ、思い通りにならないと考えておいた方が良い、と私は思います。それは昇給の仕組みを考えてみるとわかります。

 どんな会社でも良いのですが、昇給する場合、その原資が必要になります。例えば、10人いる組織の昇給原資が10万円(昇給の際に宛がうことができる総額)だったとしましょう。評価者はこの昇給原資を査定考課の結果に基づき10人の組織メンバーに按分しなければなりません。ここで重要なポイントが2つあります。1つは昇給原資には限りがあるということ、もう1つはメンバーに按分しなければならないということです。

 昇給原資に限りがあるということは、その原資以上に昇給されることはないということです。どれだけ八面六臂の大活躍をしたとしてもその人が10万円以上の昇給を受けることはできないのです。そして、メンバーに按分しなければならないということは、評価に凹凸をつけなければならないということ、つまり、全員を良い評価にするという絶対評価では対応できないのです。そうなると、一般的な評価は標準偏差による相対評価に落ち着きます。例えば、10人のメンバーを査定考課の結果A,B,C,D,Eランクのような5段階評価に分け、

Aランク:1人
Bランク:2人
Cランク:4人
Dランク:2人
Eランク:1人

のような分布に振り分けます。そして、そのランクに応じて

Aランク:20,000円アップ(昇給原資20,000円分)
Bランク:15,000円アップ(昇給原資30,000円分)
Cランク:10,000円アップ(昇給原資40,000円分)
Dランク: 5,000円アップ(昇給原資10,000円分)
Eランク:昇給なし

のように昇給アップ額を決定します。必ずしもこのようなケースにならないこともあろうかと思いますが、概ねこのような形で昇給原資を振り分ける会社や組織は多いのではないかと思います。

■評価に対する問題点

 そして、この相対評価が曲者なのですが、評価がロジカルで一切の感情が入らず、業績や結果だけで判断されるのであれば良いのですが、実際には、

「ここ数年、全く結果が出ていなかったのが、今年結果が出たことを何より評価してあげたい」
「去年の昇給額が多かったから、今年は少し抑えて他の人を上げてあげたい」

のような評価をされることがあるように思うのです。勿論、こういった評価の仕方は歓迎されるモノではありませんが、人間は感情の生き物ですからこういったことも起こることもやむを得ないのかもしれません。その真実は評価者にしかわからない事なのです。そうしたことまで踏まえて考えてみると、評価というのは自分の手の届かない所にあり、自分の思い通りにならないモノだという認識を持った方が良いのではないかと思います。

■評価について考える

 だとすれば、どうすれば良いのでしょうか? 考え方はいくつかあると思いますが、評価で求めるモノ(お金や役割など)を評価以外から手に入れることは考えられないでしょうか。

 お金が役割が欲しいのであれば、お金を手に入れる方法を別で考えてみる。つまり、副業によって補おうという考え方です。昨今の働き方が大きく変わりつつある中、政府も副業を推進している立場に立っています。勿論、副業が禁止されている会社もありますが、今後、時代の流れで状況が変わってくることも十分考えられると思います。そうなると会社の評価制度に頼らず、自分の力でお金を稼ぐ新たな働き方が生まれてくるかしれませんし、そういった世の中が当たり前になってくるような気もします。

 そして、この考え方は7つの習慣の第1の習慣にある「影響の輪、関心の輪」に基づいています。評価は自分の力だけでは何ともならない関心の輪の中にありますが、副業なら自分の力だけで何とかなる影響の輪の中にあります。だとすれば、自分の影響の及ばない関心の輪にばかり注力するのではなく、自分の影響が及ぶ影響の輪に力を注ぐことで、より確実に、そして効果的に望む結果を手に入れる方法もあるのではないでしょうか。

 これから先、私たちの働き方はドンドン変化していきます。そういった変化の中で旧来の考え方だけで良いのか、新しい考え方がないのか、そういったことを模索し行動していくことが、これからの時代を生き抜いていくために必要なことなのかもしれませんね。

Comment(2)

コメント

マスター吹越

能力評価に対して「暴走する能力主義」という本がありました。能力評価どうすんねん、ということに詳しかったのでオススメです。

学校の成績レベルだと全員にそこそこいい成績着けても回るので、昇給だと原資があって、安定して売り上げをあげ続ける必要がある、という視点は無かったですね···

売上増加による収入増加を考えるとMLMはその辺機械的な評価機構だったなぁとも思いました。

キャリアコンサルタント高橋

マスター吹越さん、


コメントありがとうございます。


「暴走する能力主義」は読んだことがなかったので、早速読ませていただきますね!
情報ありがとうございます。


本来、評価は頑張ったら頑張っただけ評価に反映される絶対評価であった欲しいと思う反面、原資を考えるとどうしても相対評価にならざるを得ないですよね。。。
吹越さんもおっしゃるように、昇給原資はどこからから調達しなければならず、結局それは前年の売上、利益といった所から持ってこなければならないので、企業の視点から見れば評価の裏側には「安定して売り上げを上げる必要がある」ということになりますね。。。


個人視点で評価を考えるとどうしても絶対評価に行きついてしまいがちになりますが、企業視点で捉えてみるのもアリかなと思い、このコラムを書かせていただきました。


> 売上増加による収入増加を考えるとMLMはその辺機械的な評価機構だったなぁとも思いました。


その視点はなかったです(笑)
評価の視点で考えると、確かにMLMはうまく作られた仕組みを持っていますね。。。

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