第450回 目標の立て方
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
すっかり年末ですね。今年の年末年始は新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、自宅でゆっくり年を迎える方も多いのではないでしょうか。これも生活スタイルの変化の一つなのかもしれません。だとすれば、その生活スタイルを楽しいモノにしていくことがこの時代を上手に生き抜いていくコツのような気がします。
年末にやることといえば大掃除だったりしますが、他には来年に向けて想いを馳せることもあるのではないでしょうか。来年はこんな年にしたい、こんな目標を掲げよう、そんなことを考えられる方は少なくないと思います。そこで今回はキャリコンの中で行われる目標の立て方についてご紹介したいと思います。
■システマティックアプローチ
一般的に良く行われるキャリコンの流れはシステマティックアプローチと呼ばれ、以下のような流れで行われます。
- 関係構築
- 問題把握
- 目標設定
- 方策実行
これらはすべてキャリコンの中で行われるのですが、最初に相談者との間に信頼関係を築くことを目指します。そのためには傾聴を使い、相談者の置かれている状況、不安、不満などを丁寧に受け止めながら、少しずつ「このキャリアコンサルタントなら話をしてもいいな」と思えるような信頼関係を築いていきます。(関係構築)
そこから、少しずつ相談者が抱える問題を把握していきます。例えば、転職したいという悩みを抱えてキャリコンに来られた方がいたとします。その方の話を聴いてみると、どうやら現場の人間関係に問題があることが分かってきました。これがキャリアコンサルタントが捉えた本質的な問題になります。(問題把握)
そうして、この本質的な問題を相談者と合意を取った上で、この問題が解決した姿を考えます。先ほどの例だと現場の人間関係に問題があるのですから、それが解決したらどうなるか? 恐らくは今の職場でストレスなく働き続けることができるようになるでしょう。これを目標と定めます。(目標設定)
その後は、この目標を実現させるために具体的に何をすればよいのかを考えます。本質的な問題は現場の人間関係にあったのですから、当然現場の人間関係をどうやって改善していくかを考えていきます。例えば、仲が悪い方と話し合う場を設けてみたり、仲介役をお願いしたりなどいろんな方法が考えられます。こうして目標を実現させるための具体的な行動を考えていき、それを実行に移します。(方策実行)
やり方の違いはありますが、システマティックアプローチでは概ねこのような流れでキャリコンが進んでいきます。
■目標の立て方を考える
この目標の立て方は色々と応用ができます。例えば、「資格を取る」ことを目標にすることを考えてみます。この時、なぜ資格を取ることを目標にしているのかを掘り下げてみます。資格を取ることによって、
- 給料をアップする
- 新しい技術の仕事をする
- 自分自身を高める
といったことが考えられたとします。そして、ここが重要なポイントなのですが、これらは現時点では成し得ていない事であり、成し得たい事でもあります。だとすれば、このようにいい換えることができます。
- 給料をアップする ⇒ 給料が低い
- 新しい技術の仕事をする ⇒ 古い技術の仕事しかしていない
- 自分自身を高める ⇒ 望む自分の姿になっていない
これこそが、この人の抱えている問題と捉えることができます。
それでは、目標は何になるでしょうか? 実は先ほどあげた「資格を取る」は目標ではないのです。目標は問題が解決した姿をいいますので、例えばこのようなことが目標になるのではないでしょうか。
- 「給料が低い」が改善される ⇒ お金を気にしない生活ができるようになる
- 「古い技術の仕事しかしていない」が改善される ⇒ 自分が望むITエンジニア像で仕事ができるようになる
- 「望む自分の姿になっていない」が改善される ⇒ 自分らしい生き方ができるようになる
これらが目指すべき目標になります。
目標が決まれば後は具体的にやること、方策を考えます。...が、方策は既に出ています。これが先ほどあげた「資格を取る」になります。一般的には問題の裏側(=問題の解決方法)を目標と捉えてしまいがちになりますが、キャリコンにおいて目標は問題が解決した姿を現しており、そのための具体的方策が問題の裏側(=問題の解決方法)になるのです。
問題:給料が低い
↓
目標:お金を気にしない生活ができるようになる(←問題が解決した姿)
↓
方策:資格を取る(←問題の裏側)
これが、キャリコンにおける目標の立て方です。
■来年の目標を立てよう
実はこの話は過去のコラムでも紹介させてもらっていました。今回、これを再度ご紹介したのは、私は年始のコラムでその年の目標を立てているのですが、それをこの形でやってみようと思ったからです。。。
今の時点ではまだどんな目標になるか全くわかりませんが、次回のコラムではこの形になぞらえて2021年の目標を立ててみたいと思います。
それでは、今年も1年、コラムをお読みいただきありがとうございました。
来年(来週)も引き続きよろしくお願いいたします。
良いお年を!