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第418回 決めるを考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 5/14に新型コロナウイルス(COVID-19)に伴う緊急事態宣言の一部解除が告知されました。これを受け、各地方自治体は解除、緩和、継続といったそれぞれの情勢に応じた施策を実施することになりました。そのため、このコラムが公開される頃には、普段の生活に戻っている方もいらっしゃるのではないかと思います。かく言う私は、住んでいる地域が緊急事態宣言解除の範囲外だったため、まだテレワークの生活を継続しています。

 この状況を見ていると、緊急事態宣言の解除の難しさを感じます。勿論、それは影響の大きさがあるからではありますが、それと同時に決断することの難しさを感じます。そこで今回は決めるということについて考えてみました。

■あなたは何を根拠に決めていますか?

 何かを決めるということは、幾つかある選択肢のうちの1つを選ぶということです。その選択を選ぶことで得られることと失うことがあります。それを自分なりに秤にかけることで、初めて決めているのではないでしょうか。

 世の中にある思考法の類は決めることの根拠を得るためにあります。例えば、ロジカルシンキング、クリティカルシンキングのような思考法は「論拠」を拠り所にした選択肢を選ぶことができますし、ラテラルシンキングであれば「発想」を拠り所にした選択肢になるでしょう。他にも「直観」「期待」「後悔」など、その人が大切にしたいと思える拠り所が、私たちの選択を決めています。

■あなたの拠り所は?

 それでは、あなたが何かを決める時の拠り所は何でしょうか? ひょっとしたら論拠と考える方が多いのではないでしょうか。論拠というのは客観性があります。その選択肢は誰の目から見ても論理的な合理性があり、それが故に納得感を得られやすいのだと思います。

 しかし、必ずしも論拠で選んだ選択が正解かと言われるとそうとも言えません。論理的に正しい選択を選んだけれど、何だか引っかかる、気持ちが晴れない、そんなことはありませんか? そういう場合、きっと論拠という選択はあなたにとって合っていないのかもしれません。

 それでは、何を拠り所にすればよいのか? 答えは人それぞれ違いますが、私は「ミッション・ステートメント」だと考えています。ミッション・ステートメントは過去のコラムでも書かせていただいておりますが、ミッション・ステートメントは7つの習慣の第2の習慣に出てくる内容で、「自分自身の憲法」と言われています。憲法という言い方は少し大げさに聞こえるかもしれませんが、憲法とは基礎となる決まり事であり、すべての選択の根幹となるモノです。それを自分自身で持ちましょうということです。具体的には、自分はどのような生き方をしていきたいのかをそれを明文化したモノです。例えば、

「後ろ指を差されない生き方をする」
「弱者の痛みを感じ、寄り添う生き方をする」
「人にありがとうと言ってもらえるような生き方をする」

のような感じでしょうか。このミッション・ステートメントは人の数だけありますが、そのミッション・ステートメントを元に選択を決めるのです。そうすれば、その選択はその人の生き方からブレることはありません。7つの習慣ではこのミッション・ステートメントを元に自分の行動を決めていくのです。

■決めるを考える

 とは言え、すべての選択にミッション・ステートメントが使える訳でもありません。その時々の状況に応じて、選択の拠り所は変わってきます。

 これは私自身の考えですが、正しい選択を選ぶことは何より大切なことですが、それと同じくらい選んだ選択を後悔しないことも必要だと思います。後悔のある選択はその選択に遺恨を残しかねません。そうなると、例えその選択が正しかったとしても、その選択で本当に正しかったのか、いつまでもその疑問を拭えないかもしれません。それは最早正しい選択をしていないような気がするのです。

 大切なことは、その時々の選択において、自分は何を拠り所にして物事を決めようとしているのかを理解し納得しておくことではないかと思います。そうすれば、誰に何と言われようとも、自分の選択に迷いを持つことがなくなっていくのではないかと思います。そして、それこそが本当の意味で決めるということなのではないかと、私は思います。

Comment(2)

コメント

ちゃとらん

いいお話、ありがとうございます。


「自分自身の憲法」に従った行動…なかなか、実践できないですね。


昔、将棋界の先崎学さんが、大山康晴十五世名人の葬儀に出られないからと、羽生善治さんに「香典出しておいて。お前と同額」と頼んだところ、羽生さんが数十万包んだというエピソードがあったそうです。将棋界に対する、羽生さんの覚悟みたいなものを感じるエピソードだと思います。

その羽生さんの『決断力』という本を読んだことがありますが、なかなか奥が深いです。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん


コメントありがとうございます。


羽生さんのエピソード、深いですね。。。
何かを決める上で覚悟が必要になることはとてもよく分かります。


実はこのコラムの主題を「決める」にするか「覚悟」にするかは最後まで考えました。。。
決めるためには何らかの根拠が必要ですが、その根拠をどれだけ信用できるかが覚悟に繋がるのかなと思います。


ミッション・ステートメントは自分の生き方ですので、ミッション・ステートメントに沿って決めるということは、自分の生き方を貫く覚悟のようなモノではないかな、と思いました。


羽生さんの『決断力』は読んだことがなかったので、ぜひ読ませていただきますっ!

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