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第382回 傾聴を今一度考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先週、エンジニアライフに新しいコラムニストさんの白柳さんが誕生されました。おめでとうございます!パチパチパチ!

 白柳さんは「エンジニアカウンセラー」という活動をなされっておられるようです(詳しくは白柳さんのページをご覧ください)。

 その中でITエンジニアが生き残るためには傾聴、メンタルヘルス・セルフケア、マネジメントという3つの技術が必要なのだそうです。なるほどなぁと思う部分も多く、これからのどのような話が語られるのか、とても楽しみなコラムです♪

 で、傾聴に関していえば、うちのコラムでも再々ネタにしていますので今更感があるのですが、今回、ちょっと初心に還って傾聴を考えてみようかなと思いました。

■そもそも傾聴って何のためにあるのか?

 傾聴が大切であることは、今の時代当たり前になりつつあります。人の話を聴くということにおける基本中の基本の姿勢、技術、スキルとまで言われています。では、傾聴をするとどんなメリットがあるのでしょう?

「相手の話をたくさん聴くから情報をたくさん入手できる」
「相手の話を熱心に聴くので、相手と信頼関係が得られる」

 大体こんな感じでしょうか。これは一つの側面としては正しいのですが、本質を突いていないように思います。

 傾聴を理解するためには会話の構造を知る必要があります。1対1の会話では片方が話をすれば、当然片方が話を聞く側に回ります。当然、片方がたくさんの話をすればするほど、もう片方はたくさん聞かなければなりません。傾聴はこの仕組みを利用しています。つまり、傾聴によって意図的に話を聴くことで、相手はそれだけ話をしている状況を作り出しているのです。

 たくさんの話をすればするほど、人は自分の考えや想いを語り出そうとします。そうして、語り出すことで少しずつ心が軽くなり、話すことに価値を見出します。これをカタルシス効果と呼びますが、このようにたくさんの話をすることはストレスを軽減させることにつながります。また、たくさんの話から相手に新たな気づきを促すこともあります。

 これらのことから傾聴は相手の悩みを解消したり、考えを促す効果が期待されます。

■傾聴をする上で必要なこと

 傾聴には相手の話に対するうなずきやあいづちといった振る舞いから、相手の話に対する質問やフィードバックの仕方といった技法が数多くあります。特に、質問やフィードバックなどの技法は私たちの普段の生活ではあまり使われることのないコミュニケーションです。しかし、傾聴をする上ではこれらのコミュニケーションを積極的に使っていかなければならず、ここに傾聴の難しさがあります。しかし、傾聴は技術ですのでトレーニングを積めばいずれ習得することはできます。

 ですが、技術はどこまで行っても技術でしかありません。。。

 そもそも傾聴は何のためにあるのか?

 それは、相手のためにあります。自分のためにあるものではありません。

 傾聴の本質は共感にあります。共感と似た言葉に理解という言葉があります。共感も理解もどちらも自分自身の中で行われることです。相手のために共感すると言ってみたものの、実際にやっていることは自分の中で相手の気持ちに寄り添おうとしたり、相手の考えに同調しようとしています。一方、理解も同じことで、自分の中で相手の話した内容を自分なりに解釈し、納得できるように整理していきます。このように共感も理解も自分の中という閉じられた世界で行われています。そのため、それが正しいことなのかどうかは相手に確認しない限り、絶対に分かることはありません。

 一見すると同じように見える共感と理解ですが、一つだけ大きな違いがあります。それは、誰のために行っているのか?です。

 共感はあくまで相手のために行います。相手のために相手の気持ちに寄り添う、相手のために相手の考えに同調しようとする。それに対して理解は自分のために行います。自分が理解したいから相手の話を自分なりに解釈する、自分なりに納得する。

 共感と理解はそれぞれ必要な用途があり、どちらが優れていてどちらが劣っているという話はありません。しかし、傾聴において、必要となるのは理解ではなく共感です。

 私はいろんな方の傾聴をトレーニングさせていただいていますが、技術に走る方はこの理解が強くなる傾向があるように思います。理解に走ってしまうと、自分本位な聴き方になり傾聴が成立しづらくなります。そのため、理解に走っている場合は、今一度共感のマインドを持ってもらうようにしています。

 逆に「この人の話を聴こう!」を親身になっておられる方は、例え技術的な部分が足りなかったとしても、それが傾聴して成立している場合が多いような気がします。それは、共感のマインドを持って相手と接しているからに他ならないと考えています。

■傾聴を今一度考える

 傾聴は技法ですから、その方法は学ばなければなりません。私の本にもその方法をご紹介させてもらっています。

 しかし、傾聴を行う上で、私は絶対に共感のマインドを忘れてはならないと考えています。それがなくなってしまうと、共感はただのコミュニケーションスキルになってしまい、傾聴本来の効果が期待できなくなるからです。

 共感のマインドを持って、相手のために傾聴する。これこそが傾聴の基本であり最終到達点ではないだろうかと考えています。

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