第381回 イラショナルビリーフ(IB)について考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
会話をするとき、通常はその人の価値観で話を話を聞き、解釈し、言葉を伝えます。当たり前といえば当たり前の話ですが、このことが本質を歪めてしまう場合があります。例えば、仕事の納期が残り2日だったときに、「後2日もある」「後2日しかない」のように人によって考え方が違うのは良くあることです。こういったものの見方のことをイラショナルビリーフ(IB)と呼びます。IBは日本語に直すと「非合理的な思い込み」と訳されますが、こういったIBは私たちの普段の生活の中でたくさんあります。そこで、今回はIBについて思うことを書いてみました。
■出来事と思い込み
私たちは目の前の出来事に対し、私たちなりの解釈や評価、判断をしています。冒頭で書いた「仕事の納期が残り2日」という出来事に出くわした時、「後2日ある」「後2日しかない」と考えるのは、その人の考え方です。それ自体は何ら問題はないと思いますが、それが時として物事の成功や達成を妨げる要因になることもあります。
例えば、何かの資格を取得しようと頑張っている人がいたとします。その人は既に何度も資格取得に失敗しています。そういった出来事を目の当たりにすると、大半の人は以下のいずれかの考え方になろうかと思います。
「このまま続けても、きっと受かるはずがない」
「このまま続けていれば、いつか必ず受かるはず」
この2つの違い、それは思い込みの違いです。片方の人は「受からない」という思い込みを持ち、もう片方の人は「受かる」という思い込みを持っています。この話、どちらが正解かは誰にもわかりません。それは資格を取得することが過去や現在ではなく、未来に起こることだからです。未来に起こることを私たちは予測することはできますが、確定させることはできません。だからこそ、私たちはそれまでの結果やその人の人生観、経験などを踏まえ予測の精度を上げようとするのです。しかし、実はその予測こそが思い込み以外の何物でもないのです。。。
■思い込みがIBになるとき
ここで間違えたくないのは、思い込みは悪いことでも何でもありません。思い込みが正しいモノの見方であることは数多くあります。しかし、その思い込みによって本来なら達成できた成功や目標を阻害しているとしたら、それはIB、非合理的な思い込みだと言えるのではないでしょうか。
それでは、どういった思い込みがIBになるのでしょうか?
そもそも、未来は誰にもわかりません。だとすれば、わからない未来に対し、行動することを止めてしまうことがIBに繋がるのかもしれません。勿論、止めてしまう理由は人それぞれあります。時には止む無き事情もあることでしょう。それでも、前に進むことを止めてしまう時、その人にはIBに陥っているのかもしれません。
■IBを超える
もし、何かしらの理由で成功や目標を諦めようとした時、ちょっとそこで立ち止まってみてください。ひょっとしたらそこにはIBが働いているのかもしれません。今一度冷静になり、なぜ止めようと思ったのか? それはIB、非合理的な思い込みではないか? そういったことを自問自答することで、もしかしたら選択する行動が変わってくるかもしれません。
普段こういったことはキャリコンにおいては良くやるのですが、最近は自分自身でもできるのだと感じています。私は常日頃から、今の自分の全ては自分によって作られていると考えています。どのような形であれ、その時々の判断や決定を私が選んだからこそ今の私があります。
ですので、もしIBに陥っている出来事があるならば、その時のモノの見方を変えることで、新しい道が見えてくることもあるかもしれません。それは、その人の可能性を更に広げることに繋がっているのかもしれませんね。