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第380回 人が育つということ

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私は研修トレーナーの仕事をしていますので、人に何かを伝えたり、教えたりすることを生業にしています。キャリコンにしても他のキャリコンさんに対してスーパーバイザーといって育成や指導をさせてもらうこともあります。こういう仕事をしていると、いろんな方と接させていただくのですが、そんな中で人が育つということはどういうことなのか?を考えることが多くなりました。そこで今回はこのことについて書きます。

■学びの方法

 人が学ぶためにはいくつかの方法がありますが、大きく「インプット型学習」と「アウトプット型学習」に分けられます。

 インプット型学習とは講師やトレーナーが知識や技術を伝えたり、教えることで内容を習得する学びです。一般的に学校教育などではこのインプット型学習が多く取り入れられています。インプット型学習の特徴は複数の人に対して同じ情報を均一に届けることができますが、その情報を受け取る人(=学ぶ人)の力量によって学びの質や結果が大きく変わってしまいます。

 アウトプット型学習とは学ばれる方が内容を何かしらの形で表現(アウトプットする)ことで内容を習得する学びです。この表現(アウトプット)の方法にはいろいろとあります。ディスカッションの中で発言すること、ロールプレイや疑似体験による実演などが良く使われますが、いずれも参加者自身が学びの内容を理解していないとアウトプットが出せないということから、昨今の研修やセミナーはこのアウトプット型が多く取り入れられているようです。

 また、人が学ぶ場合、「理解する」と「気づく」という2つの行動をとります。理解するというのは論理に紐づく学びでありteaching(ティーチング)という技法を使います。それに対して、気づくは発見に基づいた学びでcoaching(コーチング)という技法を使います。

 このように、一言で学びといってもその学びの方法や行動は色々とあります。これはどちらが優れているということではなく、そのときの状況に応じて使い分けることが求められます。

■人が育つということ

 そのため、講師やトレーナーが気をつけなければならないことは、参加者に応じた効果的な学びの方法を提供させていただくことだと思っています。しかし、最近それ以上に思うことがあります。それは、

学ぶきっかけを持ってもらう

ことです。講師やトレーナーがどれだけ学ぶ方法を駆使しても、学ぼうとされる方のやる気やモチベーションには到底敵いません。どれだけ効果的な学びの方法を提供させていただいたとしても学ばれる方のやる気やモチベーションがなければ学びを得られることはありませんし、逆にやる気やモチベーションが高ければ、多少効果的でない学びの方法だったとしても、その方は積極的にその内容を習得しようとされます。

 そう考えると、私たち講師やトレーナーが研修やセミナーの参加者に学びを提供するというのは、本当はおこがましいことなのかもしれません。人は自ら学ぶことができる生き物です。だとすれば、私たち講師やトレーナーはそのきっかけを持ってもらう事こそが何より大切なことなのかもしれません。その上で、普段の練習やトレーニングで身に着けた学びのための技法を使う。これが本来あるべき講師やトレーナーの姿なのではないかと考えるようになりました。

 そして、そのために必要なのは「相手のために何ができるか」を常に考えて行動すること、これに尽きるのではないかと思いました。そして、このことは人と関わる仕事をさせていただいている私にとって、絶対に忘れてはならない基本中の基本であり、何よりも大切にしなければならないことだと考えるようになりました。ですので、これからもこのことを忘れずに日々の仕事に取り組んでいこうと思います。

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