ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第174回 即断する力

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 最近、ある大きな仕事をいただきました。詳細はどこかのタイミングでお話しできればと思っていますが、私は仕事を引き受けるとき、一つの決まり事を自分の中に課しています。それは、即断することです。今まで自分の中で大きな転機があったときは、必ず即断で決めています。そこで、今回はこの「即断」について書きたいと思います。

■未経験の仕事の依頼が舞い込んできたとき、あなたはどうしますか?

 例えば、あるシステム開発プロジェクト案件の話があなたに来たとします。その案件はあなたがこれまでやってみたい、チャレンジしてみたいと思っていた案件です。しかし、今のあなたにはその案件をこなすスキルが不足していると感じています。さぁ、あなたはその案件を請けますか?

 この問いに対して、間髪入れずに「やります! 」と決断することを、私の中では即断といっています。実際、ITエンジニアの時分でもいろいろな即断をしてきました。

初めて要件定義に関わらせてもらうことになったとき…
初めてプロジェクトマネージャを依頼されたとき…
初めてお客様に提案業務を行うことになったとき…

 どのタイミングにおいても、私はその業務をこなすだけのスキルはもっていませんでした。それにも関わらず、「やります! 」といってしまうのは、リスキーな行為だといわれても仕方がないと思います。しかし、それでも私はこの即断することにこだわり続けました。

■即断にこだわる理由

 私が社会人になった当初、仕事上のチャンスを逃すある出来事がありました。それは新入社員研修が終わり現場に配属されるときのことでした。当時開発希望だった私はシステム開発の案件に携わりたいと思っていました。しかし、新入社員が配属される案件はすべてがシステム開発の案件ではなく、1つだけ運用保守の案件がありました。

 このことは新入社員の間でも話題になりました。このときは新入社員全員がシステム開発の仕事に就きたいといっていたので、一体誰がこの案件に就くのか、新入社員の間ではその話でもち切りになっていました。

 そのような中、私は自分の主張を押し込め、運用保守の案件を選択しました。当時の私はそれが自分にとっても、他の新入社員にとっても一番いい選択だと思ったからです。

 そして、新入社員が配属され、それぞれの仕事がスタートしました。最初はお互いの近況を話し合い、互いに刺激を受け合っていました。しかし、私は運用保守の仕事をやっていたので、他の新入社員との輪に入っていくことができませんでした。それも最初は気にしませんでしたが、それが1年、2年、3年と経っていくと、確実に技術力の差が見え始めました。勿論、私は私で運用保守業務のスキルは身に付いてきましたが、開発に携わっていた同期はプログラミングから、詳細設計書を書くようになり、やがては基本設計にまで携われるようになっていました。

 その差が同時の私にとっては、とても大きなモノに感じました。上司と一緒にお客様と打合せをする同期社員を、私はずっと羨望の眼差しでみていました。そして、同時に自分の判断を悔いるようになりました。

 結局、私は4年間この仕事に就いたあと、意を決してこの会社を辞めました。転職の理由は色々あったのですが、このままではいけない、何とか今の現状を変えなきゃ手遅れになるとの思いが強かったと思います。そして、辞める前、運用保守案件のリーダーに、「お前には開発業務をちゃんと経験させてあげたかった」といわれたことで、何ともいたたまれない気持ちになったのを覚えています。

 しかし、転職した後、まっとうな開発スキルを持ち合わせていない私はなかなかシステム開発案件に携わることができませんでした。結局は以前と同じ保守業務を続けることになるのですが、あるタイミングで開発案件の仕事にチャレンジしてみないか? というお話しをいただきました。当時の私は藁をもすがる思いで即断し、その案件を担当させていただきました。

 その案件は周りの方に迷惑をかけながらも何とかこなすことができました。そうやって、たった一つのシステム開発案件の経験を得た私は、その経歴を元に別のシステム開発案件にチャレンジさせてもらいました。そして、その案件もなんとかやり切り、少しずつですがシステム開発のスキルやノウハウを貯めていきました。

 その後、基本設計、インフラ構築、品質管理、要件定義、プロジェクトマネージャ、コンサルタントと一歩ずつ仕事の幅を増やしていきました。そして、今、ITエンジニアからキャリアコンサルタントに道を変え、歩んでいます。そして、これらすべての案件や仕事に就く際、私はすべて即断で決めていました。

 私がなぜ即断にこだわるのか? それはこれまでの経験から、

目の前にあるチャンスは絶対に自分を高めるから、何が何でも掴まなければならない!

と考えるようになったからです。そして、

このチャンスを逃してしまったら、もう次はないかもしれない、それは自分のキャリアがそこでストップしてしまうかもしれない!

と思ってしまうからです。

■即断する力

 しかし、ただ単に目の前のチャンスに飛びつくだけでは、周りの人を納得させることができません。納得してもらうためには、

今は未経験ですが、経験がない所はこのようにやるので対応できます!

のような即断するための拠り所が必要になってきます。その拠り所がない状態で即断するのは単なるギャンブルです。そのために私は物事を論理的に考え、問題解決する能力を磨きました。これらによって、いつも事の成り行きや結果を頭の中で考えるようにしています。

 そして、即断をするためには、自分の中にある「できない」と考えることを消してしまうことが必要だと思います。「できない」と考えることを消してしまうのは、ある種の覚悟だといい換えてもよいでしょう。絶対にその仕事をやり切るという覚悟が、自分自身を奮い立たせ、前に動かす原動力になるのではないかと思っています。

 そして、これらの考え方は、現在、私が行うキャリアコンサルティングの根底に根付いています。

■即断力で大きな一歩に踏み出そう

 正直なところ、即断をすべての人に求めることは難しいと思っています。それは、先に話した「即断の拠り所をもつ」「できないと考えることを消す」ことをしたとしても、すべてのリスクを回避することは難しく、必ずしも成功する訳ではないからです。

 しかし、これは私の経験上ですが、即断することで得られたチャンスをモノにできれば、大きな一歩を踏み出すことができます。私はそうやって一歩ずつ前に進んできたと思っています。

 今回、私がいただいた仕事は、今の私にとっては難易度の高い仕事だと思っています。しかし、これを実現することができれば、今以上に大きな一歩を踏み出すことができると思っています。だから何としてもやり切りたいと思っています。そして、この先その仕事がある程度形になったら、またこの場でご報告させていただこうと思います。

Comment(2)

コメント

Anubis

共感する部分が多いのでコメントさせて頂きました。

仕事でもそうですが、最近、IT系の勉強会で登壇することが多々あります。
基本、即断です。おっしゃる通り、確かに覚悟って必要ですね。
普段からコラムを書いていることが、即断するための拠り所になっています。

その、大きな仕事で成果が出ることを祈っております。
結果報告、お待ちしております。

Anubisさん

いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。

Anuisさんのコラムは毎回楽しく拝見させてもらっていますが、着眼点や投稿量は他のコラムニストを寄せ付けないレベルだと思っております。あれだけのパワーの背景にはきっと何かしらの覚悟をもって書かれているのだろうなぁと勝手に思っておりました。

私は研修の講師もやっていますが、いつも受講者さんの前に立つときは勇気をもって気持ちを奮い立たせています。それと同じで、Anubisさんが勉強会にご登壇される際にも、きっと勇気がいるのだろうと思います。それを即断でお決めになっているのは、そこにAnubisさんの想いや生き様があるからなんでしょうね。素晴らしいことだと思います!

コラムで書かせていただいた仕事は、発表できる時期が来ましたら必ず報告させていただきますね♪

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