第175回 上手な話し方をするためには
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
仕事柄、いろいろな方とお話しをさせていただくのですが、話の上手、下手を感じることがあります。話し上手な方は伝えたい内容が明確で、分かりやすく、人を惹き込むように話されます。一方、話し下手な方は伝えたい内容が分かりづらく、話が冗長でよく脱線し、淡々と話されます。私は話し方というのはスキルだと思っているのですが、先日、話し下手な人からどうやったら話し上手になれるかを聞かれ、私の考えをお伝えしました。そこで、今回はどうすれば話し上手になれるかを考えてみたいと思います。
■話し下手な人の3つの特徴
話し下手な人は大きく3つの特徴があると思います。
- 話の論理性がない
- 不要な言葉が多い
- 話し慣れていない
話の論理性がないは伝えない内容が筋道立てた話になっておらず、伝えたいことからドンドン伝える話し方です。この話し方は後から話が継ぎ足されることが多く、また話が脱線しやすいのも特徴です。そのため、話を理解するためには、相手が伝える内容が本筋と関係のある話か、話の前後関係が破たんしている場合、言いたいことが何だったのかを確認しながら聞く必要があります。
不要な言葉が多いは相手が話を伝えようとする中で、本人が上手く説明できなかったと感じたときに、説明不足だと感じたところを補足するのですが、それによって何がいいたいのか良く分からなくなる話し方です。話の内容にもよりますが、補足する内容は蛇足であることが多いので、聞き手は補足した内容が必要な情報だったのかを見定めながら聞く必要があります。
話し慣れていないは話すことがそもそも苦手で、上手く言葉を発することができない人が伝えようとするときにおこる話し方で、声のトーンや強弱、抑揚などが一定調で聞きづらい印象を受けます。話し方が一定調だと話がなかなか頭の中に話の内容が入ってこないので、相手が話す内容を忘れないような工夫(メモを取るなど)が必要になります。
■上手な話し方をするための3つのステップ
これを踏まえた上で、どうすれば話し上手になれるのか、私がレクチャーした3つのステップをご紹介します。
ステップ1:準備する
準備というのは、話す内容をあらかじめ決めておくことです。ここではストーリーの構成を考え、どこタイミングで何を話すかをある程度決めます。ストーリーの構成は起承転結などいろいろな方法がありますが、私はホールパート法をおススメしています。
ホールパート法というのは、最初(導入部)で伝えたい内容を伝え、その後(展開部)で詳細を説明し、最後(結論部)にもう一度伝えたい内容を伝える方法です。例えば…、
導入部:私はこの商品を導入してもらいたいです(結論)。その理由は3つあります(この「3つ」が重要)。
展開部:第1の理由は…。第2の理由は…。第3の理由は…。
結論部:故に、私はこの商品を導入してもらいたいです(結論)。
のように、最初に伝えたいことを説明し、その根拠を数で表現します。これにより聞き手はその数だけ根拠があることが分かるので、その先の話が聞きやすくなります。そうして最後にもう一度伝えたいことを再度説明することで、相手の意識を定着させます。
ステップ2:練習する
ここでは伝えたい内容をどのようにして相手に伝えるのか、実際に練習し確かめてみます。ここではトークスクリプトのような話す内容をすべて決めておく必要はありませんが、ある程度伝えたいキーワードは決めておきます。また、ここでは伝える時間を目安としてもっておくと本番でも話しやすくなります。
また、話す時間の目安が分かれば、話すスピードをそのままに少しずつ時間を短くしていきます。こうすることで、余分な言葉が除かれ自然と言葉が洗練されてきます。
ステップ3:フィードバックをもらう
練習しある程度伝え方が身に付いて来たら、他の人に伝え方をみてもらい、フィードバックをもらいます。このフィードバックをもらうことは自分の話し方や癖を知るとても大切な機会なので、是非やっていただきたいのですが、フィードバックをもらうのが恥ずかしかったり、フィードバックをもらえる人がいない場合、自分の伝える姿をスマートフォンなどでビデオ撮りし、自分自身でフィードバックする方法もあります。
これら3つのステップは一見すると大変そうにみえますが、慣れて来れば簡単にできます。また、これはプレゼンテーションなどを行う場合にも使える方法で、私はプレゼンテーションや研修などを行う場合はほぼ毎回この方法でトレーニングをしています。
■上手な話し方を身につけよう!
このコラムでは何度かお話ししていますが、私は人前で話す仕事をしている割に、自分自身では話し上手だとは思っていません。しかし、過去に講師オーディション※で上位に入ったこともあり、一応、人前で話す話し方というモノのは心得ているつもりです。しかし、私の場合、それらはもって生まれたモノではなく、訓練によって後から身につけたスキルです。そのため、上手な話し方というのは訓練によって習得できるモノだと思っています。
もし、上手な話し方を習得してみたいと思われる方は、ぜひ一度チャレンジしてみてくださいね!
※講師オーディション:詳しくは『第59回 講師オーディションに参加して』をご覧ください。
コメント
海津 登
有難う御座いました。大変勉強になりました。これから繰り返し勉強して
少しでも自分のものにして行きたいと思います。
しかし話の分かった理解したとゆう事と、自分のものにする事は全然違いますね。
努力と初心貫徹しかないです。
キャリアコンサルタント高橋
海津 登さま、
コメントありがとうございます!
おっしゃるように、頭で理解することと、それを使いこなすことは別次元のお話しですよね。
「話す」ことは誰にでもできる反面、だからこそ軽んじられる部分もあります。
しかし、「話す」ことは技術やスキルですので、トレーニングをすることで上達します。そして、それは何物にも代えられない強みにもなります。
お一人でトレーニングをすることは決して楽ではないかもしれません。しかし、「努力と初志貫徹」があれば必ず自分自身のモノにすることはできます!
海津さまの目標が達成されることを心より祈念しております!