第164回 こだわりについて考える
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
私たちが仕事をするとき、自分なりのこだわりをもつことがあります。ITエンジニアの場合であれば設計書やソースコードの書き方、テストケースのつくり方など、その例は枚挙に暇(いとま)がありません。今回はそんなこだわりについて思うことを書きたいと思います。
■私の仕事へのこだわり
私はキャリア・コンサルタントの他、研修、講演、執筆活動などを行っています。それぞれ領域が違うので並べて比較することはできませんが、私は一つこだわりをもっています。これはルーチンワークのような予めやり方が決まっている仕事に限られるのですが、手を抜かないでやろうと決めています。
例えば、研修前などは研修場所の掃除をするのですが、仮にその時間が15分かかるとします。そのとき、同じ15分という時間をかけて掃除をするなら、ダラダラ適当にやるより、手を抜かないでシッカリ掃除した方が15分という時間を有意義に過ごせると思ってしまうのです。
ちなみにアイディアが必要になるような仕事、例えば企画書や提案書などをつくるような場合はこれに該当しません(手を抜かないでやってもアイディアが出ないとは出ないので…)。
■こだわりは誰のために?
何かにこだわって仕事をすると、それが自分の仕事を進める上でプラスになることもあれば、他人の役に立つこともあると思います。しかし、時としてそのこだわりが他人との軋轢を生むこともあります。
よくアニメやバラエティのコントなどで気難しい陶芸家が自分のつくったツボが気に入らなくて何度も割って壊すシーンを見たことがあると思います。当の陶芸家からすれば納得する壺をつくりたいこだわりがあるがために、納得できない壺ができたため割っているとします。しかし、その壺を売る役割の人などがいた場合、そのこだわりでイライラしたり、ヒヤヒヤしたりするかもしれません。このように誰かが何かのこだわりをもつことで、他の誰かに迷惑をかけてしまうことはあるかもしれません。
結局の所、こだわりをもつということは、その人が考えている姿や結果を実現しようとする意志の表れです。つまり、自分の意志を実現したいがためにこだわりをもつのだと思います。いってしまえば、こだわりはその人の自己満足のためにあるということではないかと思います。
■なぜ、こだわりをもつのか?
それでも人はこだわりをもちます。それはなぜか? 私はそれが自分を表現する手段だからだと思います。他人のためにやろうとするこだわりも、結局は自分がそうありたいと願うからの行為であり、私の仕事はこうなんだ、他の人とはここが違うんだ、ということを自分自身に知らしめたいからなのではないかと思います。
そして、このこだわりこそがその人のキャリアを形成する根っこ、つまりその人の想いになるのではないかと思います。ですので、もしご自身のキャリアを考えてみようという場合には、ご自身のこだわりを見つめ直してみることで、自分自身がどのようなキャリアづくりをしたいのかが見えてくるかもしれません。