第125回 選ばれるタイミング
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
先週は「人前で話すことについて考えてみる」の続きを書かせてもらいました。これまで自分が書いてきたコラムを意識したことはなかったのですが、改めて過去のコラムを見返してみると、続きを書いてみたいコラムがいくつかありました。そこで、今回は「選ばれる力」の続きを書いてみたいと思います。
■「選ばれる力」とは
何かしらのキャリアを実現させる場合、独力でキャリアを作り出せることはほとんどなく、大抵は誰かの協力の元で実現されます。例えば、あなたのキャリアを実現させることができる権限を持っているキーマンがあなたを認め、あなたを選ぶからこそ、あなたはあなたが望むキャリアに辿り着くことができるのです。このように、キャリアを実現させるためにはキーマンに認めてもらうことが必要で、この力を「選ばれる力」と呼んでいます。
この選ばれる力は、以下の3つの要素から成り立っています。
《選ばれるための3要素》
- 実力をつける
- 認められるための場に出る
- 辛抱強く続ける
それぞれの説明は過去のコラムに書きましたが、ここではキャリアをつくろうとする人の視点から「選ばれる力」がどういったものかを紹介しました。
■選ぶ側はどんなことを考えているか?
それでは、この話をキーマン側から考えてみます。キーマンは自分の権限で就かせることができる仕事にどのような基準で人を選ぶのか? ひとついえることは、その仕事をこなすことができる能力をもっている人を選ぶことが考えられます。しかし、その選考基準はキーマンによって様々です。例えば、単純に技術力やスキルに重きを置いている場合もあれば、コミュニケーション能力に重きを置いていることもあるでしょう。ひょっとしたら成長力といった要素で選ぶケースもあるかもしれません。
そして、キーマンがこれらの要素で人を選ぶ際、どのタイミングで選ぶのか? それは長い期間があり、その中で少しずつ認められ、その積み重ねがあってのことなのだと思いますが、キーマンからすれば明確に「ここだっ! 」というポイントがあります。例えば、
「ここで、このような行動をとってくれれば…」
「ここで、結果を出してくれれば…」
「ここで、この言葉を発してくれれば…」
こういった想いで人をみているキーマンは少なくありません。しかし、大抵のキーマンはそのことを相手(選考される人)に伝えることはありません。それは、キーマンの想いを伝えた上で、キーマンのとおりに行動したのでは意味がないからです。キーマンが何もいわなかったとしても、キーマンの考えていることに同調し、その想いを汲んで行動できる人こそが、キーマンにとって必要とされる人だからです。
■選ばれる側にいる人はどうすればよいか?
しかし、選ばれる側からすれば、そういったキーマンの気持ちは分かりません。だったら、選ばれる側にいる人はどうすればいいのか? その答えが「選ばれる力」になるのですが、それにプラスして「キーマンの考えを理解するように努めること」が考えられます。キーマンは何を考え、何を求めているのかを考え、行動することでキーマンの想いが少しずつ理解できるようになってきます。ただ、そうはいってもそれだけでキーマンの考え方を100%理解することはできません。
だからこそ、もうひとつ「手を抜かずに取り組む」ことも必要になってきます。キーマンの考え方が100%理解することができないからこそ、今できることを手を抜かずに取り組むことが必要です。しかも、これはキーマンが身近にいるときだけでなく、例え周りに誰もいなかったときであっても必要なことです。それは、誰かがみているから手を抜かないという考え方ではいつかボロが出て失敗してしまう可能性が高くなるからです。本当に目指すキャリアに辿り着きたいと思うのであれば、自分に対して手を抜かないことが必要なのではないでしょうか。
もし「選ばれる力」を身につけようとされる場合は、「キーマンの考えを理解するように努めること」「手を抜かないこと」もあわせて行ってみてください!