第124回 人前で話すことについて考えてみる2 ~苦手意識を変える~
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
以前、「人前で話すことについて考えてみる」というコラムを書かせていただきました。このコラムでは人前で話すことが苦手な人がどうすれば話せるようになるのかを考え、そのためのワークをご紹介しました。このコラムを書いてから1年以上が経ちましたが、今回はこの話の続きを書きたいと思います。
■「人前で話すことについて考えてみる」のおさらい
人前で話すことが苦手な人はいくつかの似通った徴候があります。
- 緊張する
- 話すことが思い浮かばない
- 声が出ない
これらは互いに関連があり、身体にある変化を与えていきます。
《3つの徴候が身体に表れる流れ》
1.人前に出ることで緊張してしまう
↓
2.緊張すると話すことが飛んでしまい、思い浮かばなくなる
↓
3.話すことが思い浮かばなくなると、声が出なくなる
↓
話すことに苦手意識を植え付けてしまう!
このような一連の変化が身体の中で起こることによって、たいていの人は知らず知らずの間に人前で話すことに苦手意識を感じるようになってしまいます。そこで、人前で話せるようになるワークを紹介しました。
しかし、このワークで人前で話せるようになったとしても、そもそもの苦手意識が消えるかどうかは別問題です。つまり、人前で話せるようになることと、人前で話すことに苦手意識を持たなくなることとは全くの別物なのです。しかし、だからこそ、
- 苦手意識をもっていても人前で話すことはできるということ
- 人前で話すということは決められた型に話すことで効果的に話すことができるようになること
という側面があることをお話ししました。
■苦手意識をなくすことはできないのか?
少し前置きが長くなりましたが、実はこのコラムにはまだ続きがあります。以前のコラムでは苦手意識をもっていても人まで話すことはできるという話だったため、苦手意識そのものに対するアプローチはしていませんでした。つまり、「苦手意識をなくすことはできるのか? 」については語っていませんでした。今回はこのことについて考えてみます。
結論からいえば、苦手意識を解消する方法はあります。具体的な方法はいくつかあるのですが、ここではよく使われる「意識の上書き」という方法をご紹介します。「意識の上書き」とは、簡単にいえば「苦手」という意識を「苦手ではない」もしくは「得意」だと意識に上書いてしまう方法で、「経験」による意識の上書きと、「イメージ」による意識の上書きに分けられます。
《「経験」による意識の上書き》
苦手なことでも成功することができた、実現することができたといった経験を何度も何度も重ねていくと、やがて苦手意識は薄くなってきます。また、苦手であっても成功する、実現することができてくると苦手なことに対する嫌悪感が少しずつ和らいできます。
私個人の例ですが、元々人前で話すことは苦手でしたが、何度も人前で話しをしているうちに苦手だけど人前で話すことができるようになってきました。そうなってくると人前で話すことの苦手意識は消えないまでも、嫌悪感は消えて行きました。その結果、普段はあまり人前で話さなくても、いざ気持ちのスイッチが入れば幾らでも人前で話すことができるようになりました。ですので、私はいまだに人前で話すことに苦手意識を持っていますが、それでも人前で話すことはできるようになったと思っています。
尚、この方法を使う場合、以前に紹介した「人前で話せるようになるワーク」を行うことで苦手意識を少しずつ改善していくことができるようになります。
《「イメージ」による意識の上書き》
実際に体験していないことでも強烈にイメージすることで意識を上書いてしまうことができます。一般的にこの方法はイメージトレーニングと呼ばれており、コーチングやNLPなどでもよく用いられるやり方です。
実際のやり方はいろいろありますのでここでは割愛しますが、これらの方法によって実体験と同じように成功した、実現することができたイメージをつくり出し、それを何度も何度も意識の中に植え付けていくことで、少しずつ苦手意識を上書いていきます。
この方法はすべての作業をイメージで行うことができるため、時と場所を選ばず手軽に行えるというメリットがあります。その反面、深く具体的にイメージをしなければならない、イメージが習慣化されるまで何度も反復して行わなければならないため、「経験」による意識の上書きに比べ時間がかかってしまうデメリットがあります。そのため、「イメージ」のよる意識の上書きは「経験」による意識の上書きを併用するように行うと効果的に働きます。
■苦手意識を変えよう
私たちの意識はそれまでの経験や体験から形づくられていますので、一度できてしまった苦手意識はそう簡単に変えることはできません。そのため、前回のコラムでは苦手意識へのアプローチではなく、人前で話すという目的を実現する方法をご紹介しました。
しかし、抜本的に苦手意識を変えたい、改善したいという想いをもたれることもあろうかと思います。その場合は今回ご紹介した「意識の上書き」を使って、苦手意識をなくしてみては如何でしょうか。