第123回 言葉のひげをなくす
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
研修や講演といった人前で話すとき、上手に話す人には「言葉のひげ」がほとんどないという特徴があります。今回はこの「言葉のひげ」について書きたいと思います。
■言葉のひげとは?
言葉のひげというのは「えー」とか「あのー」といった話の途中に出てくる言葉のことです。人前で話すことに慣れていない人がいきなり人前で話すと、よくこの言葉のひげが出てきます。
「今回の件はですね、えー、来期に向けての…」
「一番の問題と感じている点は、あのー、体制の不備だと…」
「私どもといたしましては、そのように仰られても、えー、あのー、ご対応しかねるのですが…」
このような言葉のひげは話すときに意識をしておかないと結構な頻度で顔を出します。ひょっとしたら、意識をしていたとしてもポロっと言葉のひげが出てしまうこともあるでしょう。しかし、聞き手からすると、この言葉のひげは結構耳に残ります。せっかくいい話をしているのに、しょっちゅう「えー」とか「あのー」のような言葉のひげが入ると、そちらに意識が向いてしまい、肝心の話の内容が入ってこなかった、ということはよくあります。そのため、人前で話す仕事する人は、この言葉のひげをなくす練習をしています。
■言葉のひげをなくす練習
言葉のひげをなくすにはいくつかの方法があります。
例えば、話す内容が予め決まっている場合には、セリフや台本を用意しておき、そのとおりに話せるように何度も練習する方法が考えられます。この方法の場合、予め決まった言葉になりますが、本番では言葉のひげをなくし、流暢に話をすることができるようになります。しかし、この方法はアドリブに弱く、予め覚えている内容以外の話を振られると、途端に「えー」とか「あのー」といった言葉のひげが出てしまうことがあります。
そこで、もう一つ、これは私が実際に行っているやり方ですが、沈黙の時間をつくるという方法があります。言葉のひげというのは、次に話す内容を頭で考えているときに出てくることが多いので、次に話すことが思い浮かばなかったとき、わざと約1~3秒ほどの沈黙の時間をつくるのです。簡単にいえば、次に話すことが浮かばない場合は数秒間黙り込んでしまうのです。
一般的な会話でもそうですが、人は沈黙の時間があると、そこを言葉で埋めるようにして極力沈黙の時間を減らそうとします。そのため、最初は沈黙の時間をつくることが難しいと感じるかもしれません。しかし、沈黙の時間を次の話題への「溜め」の時間と考えることができるようになってくると、自然に沈黙の時間がつくれるようになります。それができるようになれば、言葉のひげが出てきそうなシーンに沈黙の時間が置けるようになるため、自然に言葉のひげが減ってきます。実際、私はこの方法で言葉のひげを減らしてきました。
■言葉のひげをなくそう
昨今、ITエンジニアの活動範囲は広くなり、人まで話をすることが増えてきています。企画のプレゼン、会議での報告、上司の説得…、こういったシーンで言葉のひげを多く出してしまうと、先ほどお話ししたように相手は言葉のひげに意識が向いてしまい、伝えたいことがうまく伝われないかもしれません。また、言葉のひげが多いと焦ったり、慌てたりしている印象を相手に与えてしまうこともあります。しかし、言葉のひげをなくすことができれば、説得や報告をスマートにみせることができるようになります。
言葉のひげは必ず練習することで減らすことができます。もし、普段から言葉のひげをよく使ってしまうんだよなぁ、という方はぜひチャレンジしてみてくださいね。