第47回 四方山話(29) 論理思考のススメ6
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
前回から論理思考に必要な要素の1つである「問題解決のフローを身に付けること」についてお話しています※。今回は問題解決フローの第2段階である問題個所の特定についてお話したいと思います。
※お話しています:論理思考の必要な要素のもう1つである「論理的な考え方を身に付けること」については「第42回 四方山話(24) 論理思考のススメ1」でご参照ください。
■第2段階:問題箇所の特定 ~どこが悪いのか?~
問題解決フローの第2段階では、問題個所の特定を行います。問題個所の特定とは、起きている問題の原因をみつけ出すことです。この原因とは一体何か? ここでは以下のように定義します。
《起きている問題の原因》
目標と現状との差分
少し分かりづらいので補足します。何か問題が起きている場合、現状と問題が解決している状態との間に何かしらの違いがあります。もし、その違いをなくすとができれば、現状は目標の状態へと変わらない状態になっているはずです。このように考えると、この違い(=差分)こそがこの問題の原因といえます。
この問題個所の特定は、以下のステップを踏むことでみつけ出すことができます。
《問題個所特定の流れ》
- 目標の確認 … 目標としてあるべき姿を確認する(問題解決フローの第1段階)
- 現状の認識 … 問題点からみた現状の姿を認識する
- 差分の検討 … 同じ視点で目標と現状をとらえ、その差分を推測する
- 問題個所の特定 … 差分から問題の原因を特定する
それでは、このステップを使って、実際に問題個所の特定してみます。一緒にやってみましょう! 次の例をみてください。
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目の前の問題:朝寝坊が続いて困っている
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これは、前回出した問題です。今回はこの例題を使って問題個所の特定をしてみましょう。前回は課題(イシュー)をAとBの2種類考えました※が、ここでは課題(イシュー)Aの「定時退社ができなくて困っている」を使ってみます。
※考えました:詳しくは「第46回 四方山話(28) 論理思考のススメ5」をご覧ください。
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目の前の問題:朝寝坊が続いて困っている
↓
(朝寝坊が続くことで…)
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課題(イシュー):定時出社ができなくて困っている
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それでは、まず最初に目標の確認をしてみます。定時出社ができなくて困っているのであれば、
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目標:時間どおりに出社する
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となりますね。それでは、次に現状の認識を考えてみます。現状の認識は問題点からみた現在の姿です。問題点は朝寝坊が続いていることなのですから、この点からみた現在の姿は、このようなことが考えられるのではないでしょうか。
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目標:時間どおりに出社する
↓
現状:朝決まった時間に起きられない
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ここまで目標と現状の姿がみえてきました。次は差分の検討です。差分を考えるためには、目標と現状をある条件を合わせて見直します。ここでは、起床時間という条件で見直してみましょう。
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《起床時間の視点で目標と現状ととらえてみる》
目標:朝決まった時間に起きている(→だから、時間どおりに出社できる)
↓
現状:朝決まった時間に起きられない(→だから、定時出社ができていない)
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こうやって見比べてみると、朝起きられるかどうかの差になっているようです。それでは、朝起きられる、起きられないの差はどこから来るのか…? 更にもう1段階掘り下げて考えてみましょう。
……(小一時間ほど)……
筆者は睡眠時間が影響するのではないかと考えました。そうすると…、
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《睡眠時間の視点で目標と現状ととらえてみる》
目標:十分な睡眠時間が取れているので、朝決まった時間に起きられる(→だから、時間どおりに出社できる)
↓
現状:十分な睡眠時間が取れていないので、朝決まった時間に起きられない(→だから、定時出社ができていない)
――
ここまで来ると、目標と現状との差分が「睡眠時間の差」であると推測できそうです。つまり、この問題は、
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《睡眠時間の視点で目標と現状ととらえてみる》
目標:十分な睡眠時間が取れているので、朝決まった時間に起きられる(→だから、時間どおりに出社できる)
↓
現状:十分な睡眠時間が取れていないので、朝決まった時間に起きられない(→だから、定時出社ができていない)
↓
問題個所:十分な睡眠時間が取れていないこと
――
となります。これが、問題個所を特定する流れです。
■問題個所を特定するコツ
問題個所を特定する流れは一見すると難しく感じます。しかし、コツのようなモノもありますので、ここで紹介したいと思います。
《問題を特定するコツ》
- 現状の認識…現状を認識する場合、問題点からみた現状の姿を認識しますが、このとき、起きている問題を具体的に表してみると認識しやすくなります。
- 差分の検討…差分の検討を行う場合、目標と現状をある同じ視点からとらえる必要があります。この視点をみつけ出すときには、目標と現状の姿をバラバラに分解し、それらの中から差分になりそうな視点を選んで差分として当てはめてみると、効果的にみつけ出すことができます。
- 問題個所の特定…目標と現状との差分から問題箇所を特定する場合、差分に対してSo Whatツリーを使うと問題箇所を特定しやすくなります。
■問題個所をみつけられるようになろう!
今回は問題個所を特定する方法をご紹介しましたが、現状と目標から差分を見出し、そこから問題個所を特定する方法は、普段の生活でも活用できる利用範囲の広い考え方です。
「目標がココにあって、現状はココ。この差が問題個所にあたる部分ですよっ! 」
のような会話がサラっと出てくるようになれば、あなたの身体の中に論理思考を使った問題解決方法が染み込んでいるといえるでしょう。ぜひ、マスターしてみてくださいね!