第31回 四方山話(14) モンハンに学ぶ立ち回り術
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
以前、モンハンネタを書かせてもらったところ、予想を上回る反響をいただきました。そこで「モンハンに学ぶ~」シリーズ第2段として、今回はマルチプレイにおける立ち回りについて取り上げてみます。なお、ここでのマルチプレイは携帯型ゲーム機(PSP、Nintendo 3DS)のみを対象とし、MHF※は対象外とします。
※MHF(モンスターハンター フロンティア オンライン):Windows、XBOX 360用ソフト。オンラインプレイ専用となっています。携帯型ゲーム機のモンハンにはないさまざまな要素が盛り込まれています。
■モンハンにおけるマルチプレイあれこれ
現在発売されているMH3G(モンスターハンター 3G)やMHP3(モンスターハンターポータブル 3rd)はソロプレイを考慮してか、比較的難易度の低いクエストが多い気がします。しかし、過去作品のMH2PG(モンスターハンターポータブル 2rd G)辺りでは、どう考えてもソロプレイでは対応できないような双獅激天(そうしげきてん)※、武神闘宴(ぶしんとうえん)※といった難易度の高いクエストがありました。もちろん、ソロプレイで対応できなくもないのですが、多人数でプレイした方が効率良く闘えます。
※双獅激天(そうしげきてん):ラージャンと呼ばれる猿っぽいモンスターと闘うクエスト。ラージャンはMHシリーズの中でも最高ランクに位置するであろう強力なモンスターですが、ここで登場するラージャンは通常のラージャンと違い、常にキレまくっている激昂ラージャンになっており、なぜかそれを2匹同時に相手しなければならないというマゾっ気たっぷりなクエストです。ゲームがスタートすると、2匹の激昂ラージャンは嬉々として暴れ回り、口からビームを撃ちまくり、何が何だか分からないうちに終わってしまうことの多い、ある意味、清々しい気持ちになれるクエストです。
※武神闘宴(ぶしんとうえん):ナルガクルガ、ティガレックス、グラビモス亜種、 ディアブロス、激昂ラージャンと呼ばれる強力なモンスターを順番に相手にするクエスト。双獅激天と違い1匹ずつを相手にするので多少精神的には楽ですが、制限時間があるため時間との勝負になります。ちなみに、時間が残り少ない状態で最後の激昂ラージャンに対峙(たいじ)すると、焦って突っ込む→BC(ベースキャンプ)送りというお決まりのパターンが待っています。
ただ、マルチプレイでは、プレイヤの攻撃は他のプレイヤに当たってしまうことがあります。このとき、攻撃を受けたプレイヤはダメージこそ受けませんが、攻撃動作(モーション)がキャンセルされるため、他のプレイヤの攻撃を中断させてしまうことがあります。要するに、攻撃しようとしたら、他のプレイヤーに邪魔されて攻撃できなかった状態になるのです。これをやられてみると分かりますが、結構イラッとします。そのため、マルチプレイでは一部の武器の特定の攻撃※は控えるよう、暗黙の了解が敷かれている場合があります。
※一部の武器の特定の攻撃:これらの攻撃を頻繁に行うプレイヤは敬遠される傾向にあります。特に太刀やハンマー辺りはプレイヤを転ばせる攻撃が多いので、注意が必要になります。
そうなると、マルチプレイではいかに他のプレイヤに迷惑をかけず、効率良くモンスターにダメージを与えられるか、その立ち回りが重要になってきます。
■接待モンハンを極めたプレイヤ
最近では携帯型ゲームをプレイする社会人も増えてきました。そうなってくると、例えば仕事が終わると「ちょっとモンハンしていく? 」と誘われることもあります。中には、上司からモンハンの誘いを受けることもあります。まさに接待モンハンです。
同僚とマルチプレイをするときは、自分の攻撃が当たっても、「ごめん、ごめん」程度で済みますが、接待モンハンだとそうはいきません。上司が放つ会心の一撃を邪魔しようものなら、即出世に響きかねません。しかし、上司に遠慮してばかりいると、上司がBC送りされてしまい、「キミ、何をやってるんだ、もっと攻撃に参加したまえ! 」と普段の仕事のとき以上に注意されてしまうこともあるでしょう。一部、例外として、上司がいようがお構いなしにモンスターを攻撃する猛者(平社員)もいますが、実際には上司に気を配りながらプレイすることが接待モンハンでは必要になるでしょう。
このような接待モンハンですが、筆者の知っている中で、接待モンハンには欠かせないプレイヤが1人います。彼は全種類の武器を使いこなし、すべてのクエストをソロプレイで踏破できるほどの腕前を持っているのですが、接待モンハンになると、決して前に出てくることはありません。むしろ、自ら望んで後ろに下がり、誰もが攻撃をしないような場所に陣取って、チマチマ攻撃をしているのです。しかし、ひとたび誰かがピンチになれば、自分のアイテムを惜しげもなく使い、他のプレイヤをサポートします。また、瀕死のプレイヤがモンスターに攻撃されそうになれば、わざと瀕死のプレイヤを攻撃し、プレイヤを吹っ飛ばします。こうすることで、モンスターの標的を瀕死のプレイヤから外し、安全な場所に逃がしているのです。このようなことを自然にやってのけるため、彼は接待モンハンには欠かせない存在となっています。
■接待モンハンから仕事の立ち回りを学ぶ
そんな彼が接待モンハンをする際、常に周りを見渡すことを意識しているそうです。モンスターとすべてのプレイヤの位置関係を把握し、他のプレイヤの邪魔にならず、かつ自分が安全に攻撃ができる場所を探すようにしているのだそうです。また、常に周りを見渡し、モンスターの状態、プレイヤの状態を判断しながら、危なそうなプレイヤがいたら、アイテムを使う、逃がす、モンスターのターゲットを自分に仕向けるような行動を取るのだそうです。
この動きを仕事で生かすとしたら、どのようなことができるでしょうか。ざっと、筆者が思うことをあげてみます。
狩場(プロジェクト)全体を俯瞰するように見渡し、
モンスター(作業遅延)にやられそうなプレイヤ(作業担当者)に対して、
アイテムを使う(栄養ドリンクを与える)、
逃がす(家に帰らせて休ませる)、
モンスターのターゲットを自分に仕向ける(作業を交代し、作業遅延を自分が引き受ける)
といったサポートを行う
正にモンハンです!!!
実際の仕事ではもう少し違う立ち回り方をすると思いますが、接待モンハンの立ち回りを実際の仕事に応用できる部分は少なからずあるのではないかと思います。
■大切なことは、生かせるかどうかじゃない! 生かそうとすることだ!
そういえば、先日、コラムニストのTakeTopさんがゲーミフィケーションについて語っていました。ゲーミフィケーションの詳しい内容はTakeTopさんのコラムを読んでいただくとして、今回の内容はまさにゲーミフィケーションだと考えています。
筆者はゲーミフィケーションの本質として、ゲームになぞらえたその行為が仕事に生かせるかどうかと考えることではなく、何とかして仕事に生かそうと考えることがあると考えています。
このように考えると、モンハン一つとっても、そこには仕事に役立つたくさんの可能性を秘められているかもしれません。それを楽しみながら探し出し、楽しみながら活用する。それは、キャリアを実現する上で重要なスキルになるでしょう。
あなたの周りに弱っているプレイヤ(作業担当者)はいませんか? もしいたら、そっと生命の粉塵※(300円程度の栄養ドリンク)差し出してみてください。きっと、その人は元気を取り戻すでしょう。また、奮発して生命の大粉塵※(3000円以上の栄養ドリンク)を差し出せば、その人はさらに元気を取り戻し、あなたの優しさを一生忘れないことでしょう! さぁ、一狩り行きましょう!
※生命の粉塵:同じエリア内にいる他のプレイヤの体力を50回復するアイテム。マルチプレイでは特別なことがない限り、持ち込み推奨アイテムです。
※生命の大粉塵:効果は生命の粉塵と同じですが、回復量が生命の粉塵の2倍という太っ腹なアイテム(MH3G専用)。他のプレイヤが生命の粉塵を使ってくれたと思ったら大粉塵だった場合、気持ちがほっこりします。