第29回 四方山話(12) 続けるを考える
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
キャリアであれ、何であれ、ものごとを成すためには続けることが必要です。しかし、実際は思うように続けられないことが多いのが実情ではないでしょうか。今回は、この「続ける」を考えてみたいと思います。
■「継続は力なり」というけれど
――継続は力なり――よく耳にする言葉です。この言葉を疑う人はいないでしょう。努力して勉強してOracle Master Silverに合格した! CCNPに合格した! これらはまさに勉強を続けた結果です。また、会社で頑張って働いた結果、課長に昇進した! プロジェクト・マネージャに任命された! これらも会社で働き続けた結果といえるでしょう。
しかし、誰しもがこの言葉どおりにものごとを進められるわけはなく、現実はそんなに甘いものではありません。継続して頑張っているにもかかわらず結果が出ず、気持ちがさめてしまい、あきらめてしまっている人もいるでしょう。物理的に忙しくなりすぎて思いどおりにものごとが進められないまま時間が過ぎてしまい、頑張ることを止めてしまった人もいるでしょう。
続けることで成果が出ると分かっていても、続けられない。それだけ何かを続けることは難しいのだと思います。
■このコラムを書かせてもらっているワケ
続けることを今回のコラムのネタにしようと思った時、筆者は何を続けているかをあらためて見つめ直しました。筆者はなかなかの気分屋なので、あまりものごとが続いた試しがないのですが、そんな中でも、自分でやろうと決めて、それが今でも続いていることはないかを考えてみました。そうしたら、一つ見付けられました。それは、このコラムを書かせていただいていることでした。
筆者がこのコラムを書かせていただこうと思ったきっかけは、ITエンジニアは自分の想い描くキャリアを創りだせるということを、もっと多くのITエンジニアの方に伝えたかったからです。また、このコラムがご自身のキャリアを考えたり、見つめ直すほんの小さなきっかけにでもなればという想いもありました。
しかし、コラムを書かせてもらったとしても、読んでもらえなければ話が始まりません。筆者は文才があるわけでもないので、他のコラムニストさんのような人を引き付けるような文章は書けません。それでもコラムを読んでもらうにはどうすればよいか。筆者なりに考えた結果、決まったタイミングでコラムを出し続けてみよう! ということを思い付きました。
例えば、毎週決まったタイミングでコラムを出し続けることで、それが少しずつ習慣化し、定着していきます。それをコツコツ続けることで、コラムを読んでいただける機会が増えるのではないかと思い、毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)にコラムが出せるようにしてみようと決めました。以前、AnubisさんがリーベルGさんの後を追って小説※を書かれた際、最終話のコメント欄でこのようなことを言っていました。
『作品を通じて伝えたかったメッセージは、「流れをつなげる。」ということだ。本来、ドキュメントの目的も、仕事の流れをつなげることのはず。取りあえず、リーベルGさんの作った流れを、本人かほかの誰かが繋いでいったら。きっと一人ではできない面白いものができたんじゃないか。そう思い、慣れない小説を書いてみた。』
筆者のコラムもこれに近い感覚で書いています。
※小説:Abubisさんが書かれた短編小説『紙でできた巨塔』。詳しくはこちらをぜひご覧ください。
■続けるためのコツ
しかし、継続してコラムを出し続けるということは、結構大変な作業です。このコラムは題名にもあるとおり、一つのコラムを5分程度で読める分量(2000~4000文字程度)で書くようにしています。これを書くための時間は早いときで30分、時間がかかるときだとのべ6時間以上かかる場合もあります。さらに、仕事などが忙しくなってしまうと、なかなかコラムを書く時間が取れません。そうなると、毎週1回月曜日にコラムを出すという決めごとが守れなくなる、そんなときもありました。例えば、
時間は月曜朝3時、コラムは1行も書けていない。もう少しで朝日がのぼってくる。そうしたら仕事に行かなければならない。今週のコラムはあきらめるか……
このような状況※に陥ったこともありました。 まさに、自分で決めたことが続けられなくなる瞬間でした。
※こんな状況:この日は徹夜の作業があり、ホテルに戻ってきたのが夜の2時を回っていました。そこからシャワーを浴び、軽く食事を取っていたら3時を回っていました。
こうなると、人は続けられなくなることを正当化しようとします。
- ここで頑張って何も書けないなら、30分でも寝た方がいいんじゃない?
- 明日の仕事のことを考えたら、コラムを1回くらい休むことなんて大したことじゃない
- コラムを継続するってことは誰にも言ってないのだから、休んだって平気でしょ?
- コラムを休んだらいけないことなの?
どれも、そのときの筆者にとっては正論に聞こえてきます。続けるか、あきらめるか……、そんなことをずっと考えていると、ふとこんな考えが浮かんできました。
もう、続けることを考えるのはやめよう、その代わり、止めないことを考えよう!
この感覚がうまく伝わればよいのですが、そのとき、続けるということは「これから先も続けなければならない」という脅迫観念に近いものになっていました。だからその重圧から(理由をつけて)逃げ出したい気持ちになっていました。そう考えるより、この瞬間のことだけを考えて、この瞬間の動きだけはやめないようにしてみようと考え方を変えてみました。ずっとこの先も続けることを考え続けるよりも、その都度、この瞬間を終わらせることだけを考えればよいのではないか、そんな気持ちになったのです。
その結果、それから1時間後、無事コラムを書きあげられました。
■続けること、それは究極の自己満足
しかし、この話を客観的に見れば、「何もそこまで大層に考えなくても……」と思えるでしょう。筆者自身もそう思います。結局のところ、個人がやろうと思って決めたモノは、その人にとっては大切なことであっても、他人から見ればそれほど重要なモノではありません。だから、やろうと思ったことが続かなかったとしても、他人からは何の非難も受けることはありません。こういったことには、個人が定めたキャリアなどが当てはまります。
しかし、そこに価値を見いだし、そこにこだわりを持ち、続けることを選ぶことは、その人にとって本当に必要なことなのだと思います。それはいい方を変えると、究極の自己満足の世界なのかもしれません。だからこそ、続けることはその人にとって価値があることなのかもしれません。
……とこんなことを書いていて、次回いきなり穴を開けたらすみません(汗)
コメント
abekkan
コラムの文章は夜のうちに書けた。でもいいタイトルが思いつかない。一晩寝かせて朝になってやっと思いついて完成。なんてこともあります。続けることは苦労も伴いますね。σ(^_^;
abekkanさん、
コメントありがとうございます。
それ、あります、あります。
悩みに悩んで決めたタイトルが、公開した後に気に入らなかったりすることもありますね(笑
コラムでは大層なことを言ってますが、本当に続けることって難しい事だと思います。。。