紙でできた巨塔(終)PMの哭き声が止んだ!!
亀井部長は逆ギレした。お前ら、俺の部下なんだぞ。俺の指示を聞け。何をやっているんだ。俺の言っている事を聞いていればいいんだ。お前らコマだ、そうだ、将棋のコマなんだよ!!そんなパワー・ハラスメントというかモラル・ハラスメントとも取れる暴言を散々吐いて、三歩たじろいだ。そしてそのままがっくりと膝をついた。
「亀井部長、あなたは管理者としてごまかし過ぎた。そしてごまかしの為に派遣社員を切ってきた。あなたにこの業務をする資格は・・・・」
その時、緊張に張り詰めたオフィスの空気の中、呼び止める声が響いた。
「まて、北斗野!」
南野だ。彼の腕が北斗野の肩をしっかりと掴んでいた。
「部長を責める前に俺を殴れ!俺は今月いっぱいで契約が満了だ。どうせ今月いっぱいだ。そう思って適当に業務を流していたんだ・・・。真剣にプロジェクトの抱える問題に向かい合おうとしなかった卑怯者だ!力いっぱい俺を殴れ!!」
北斗野は全てを察した様子でうなずき、オフィス一ぱいに鳴り響くほど音高く南野の右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、
「南野、俺を力いっぱい殴れ。俺はまだ失業保険の期間中だ。今、首を切られてもまた保険をもらいつつ新しい仕事を探せばいい。プロジェクトがどうなろうと関係ない。他人事だ。そう思っていた。俺も卑怯者だ!力いっぱい俺を殴れ!!」
南野は腕に唸りをつけて北斗野の頬を殴った。そしてもう一発、強烈なボディーブローを浴びせた。軽く白目を向いて、北斗野はうずくまった。
「ありがとう、友よ。」二人同時に言いしっかりと腕を組んだ。オフィスからパラパラと拍手が起こり、やがてそれが大きな拍手へと変わっていった。北斗のが改めて亀井部長に向きあった。
「亀井部長、あなたは2つ忘れていることがある。」
「・・・一つは、技術者として技術を追い続ける探究心。」
「そして、もうひとつは、プロジェクトを共にする仲間への愛だ!」
亀井部長は棍棒で殴られたようにその場に崩れ落ち、子供のように泣きだした。
「そうか・・・ようやく気づいた。お前たちは、私の心に勝ったのだ。ドキュメントを作成するスキルとは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、私をも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、お前たちのプロジェクトの一員にしてほしい。」
まるで人間の言葉をようやく取り戻したかのようだった。オフィスはどっと歓声に湧いた「竹尾ゼネラルカンパニー、万歳!」、「プロジェクトG7、万歳!」
間宮がそっとGATSBYさらさらデオドランド ボディーペーパー クールシトラスを差し出した。北斗野は、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「北斗野、お前、なんだかんだで三日間風呂入ってないだろ?ちょっと臭うから汗拭いてこい。」
勇者は、ひどく赤面した。
--Fine--
コメント
第3バイオリン
Anubisさん
連載お疲れ様でした。
最初は一体どんなストーリー展開になるのか、北斗野氏の行動をハラハラしながら見ていましたが、
最後はみごと大団円となりましたね。
今回の「走れメロス」風のオチが秀逸でした。
さすがに今のご時世、裸はマズイですよね(笑)
Anubis
> 第3バイオリン さん
どうも、Anubisです。
率直、やっつけで書いた小説なので質は保証しかねた。
月曜朝の流れを繋げるという目的だけに書いたようなものです。
とりあえず目的は達したので、リーベルGさんの新作に期待します。
P.S.
作品を通じて伝えたかったメッセージは、「流れを繋げる。」ということだ。
本来、ドキュメントの目的も、仕事の流れを繋げることのはず。
とりあえず、リーベルGさんの作った流れを、本人かほかの誰かが繋いでいったら。きっと一人ではできない面白いものができたんじゃないか。
そう思い、慣れない小説を書いてみた。
yomi
なるほど、原作の落ちが解らない私は、「え?ここで殴るの~」って思いました。
無学ですみません
主人公の名前からあれじゃないよな?とか思ったり、でもあれも良く知らないし・・・
だから、素直に面白かったです
で、
「竹尾ゼネラルカンパニー、万歳!」、「プロジェクトG7、万歳!」が印象的すぎて(笑)
Anubisさんの次回作、楽しみにしています。
お疲れさまでした。
Anubis
>>yomi さん
コメントありがとうございます!
実のところ、名前を考えるのがメンドクサかったので、丸ごとパクりました。
とりあえず次回は、アマチュアの特権を乱用して、もっと露骨にパクっていきたいと思います。