いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

人脈?うるせーから寝てろ。

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弱い人ほど群れたがる

動物界を見ても分かるように、イワシは群れをなして大きい魚のふりをする。人脈なんてそんなもんだ。力を合わせれば云々というが、見返りを求めずに人に力を貸す気はあるのだろうか。人と人とで集まって、本当に利益があるのはそういう人たちだけだ。強欲な人間が集まれば、肥溜めみたいなゾーンが一個できるくらいなものだ。周りに腐臭を放つので、むしろ独りで彷徨っていてほしい。

組織においても声のでかい人は弱い。どこかしら、声の大きさで弱点を隠している。本当に強い人は、むしろ寝癖そのままで会社にきて、自分のタスクに脇目も振らずに打ち込んでいるようなタイプだ。そういう人は喋る間もなく考えている。私は声のでかい人より、声の響く人になりたい。何でもいい。相手の心に何らか自分の言葉が刺さればそれでいい。現に声のでかい人の言葉は安っぽいので心に残らない。

人の強さは罠だ。そして、人の弱さは罪だ。人脈に隠れて自分の未熟さをごまかしたいなら、それは罪だ。ただ独り、孤高を目指すなら、そこには多くの困難が待ち受ける。これが罠だ。どっちを選ぶかは好きにしてくれ。群れようと独り進もうと、何らかを背負うことになる。ただそれが、己を隠すことによる偽りか、己を極めるための困難かのどちらかということだ。そして背負うことに気づかないことは無知だ。

と、編集者さんから呼ばれた気がしたので久々にコラムを書いてみた。こちらのコラムの続編とのリクエストだが、あいにく人見知りでもなければ人脈にも興味が無い。インフラエンジニアなら、構築するなら人脈じゃなくインフラ構築だろ。それで十分だ。人が密集すると肉が擦れてにおい立つ。そういうのが好きならそれでいいが、私はオーシャンを孤高に泳ぎ抜きたい。なぜなら、そっちの方がカッコイイからだ。

構築はいいが維持費は考えてる?

人脈構築するのはいいが、一回会って名刺交換しただけで「人脈成立!」みたいなもんでもない。申し訳ないが、私は名刺もらった人の顔の大半は忘却の彼方だ。覚えているのは、美人さんか人として魅力を感じた人だけだ。だいたいみんなそんなもんだろう。そもそも、自分が人脈だと思ってる人の前で、「よう!俺の人脈!!」みたいなこと言えるか?私は恥ずかしくてとても言えない。

みなさんの考えている人脈って結構希薄じゃね?カルピス薄めて割増してるようなもんじゃないかと思う。カルピスの原液みたいなタッルタッルな人脈を誇れる人がどれだけいるだろう。いるとすれば、人脈に何かをつぎ込んだ人だろう。技術だろうが人脈だろうが金と気合だ。魂を込めて投資しない人は、人脈にせよ技術にせよ、ショボいものしか手にできない。それが現実だ。

あと重要なのは、構築に金と気合をはたいて終わりじゃない。維持するにも金と気合は必要だ。しかも、初期投資につぎ込んだ分だけ維持費も高くなる。人脈欲しい人、そこ覚悟できてるのだろうか?で、人脈構築して何がしたいんですか?人脈は、あるだけで利益が転がり込んでくるものでもない。構築、維持にお金をかけて、何を回収する気なのだろうか?

人脈を都合よく利用したいだけの人とは人脈を維持したくない。それは誰しも同じだろう。ということは、自分が人脈を作ろうとしたとき、相手も同じだということだ。突き詰めると、ただのギブ・アンド・テイクだ。人脈なんてなくても、うまいことギブ・アンド・テイクをまわしていければいいんじゃないかと思う。滞った人脈を、人はしがらみという。脈である以上、何かが流れている。その、流れているものがギブ・アンド・テイクの流れだ。

結局何がしたいん?

なんかの機会で人が集まるところに行くと、だいたいFacebookやらで知り合いに登録したがる人がいる。ただ、あれって登録しても情報を発信しなければ、どこで会った誰なのかも忘れ去られる。そもそも、登録しようと言った本人も忘れてると思う。覚えられたいなら、たまにぼやく駄文に「いいね」くらいはつけておこう。でも、それをしたからと言って見返りを求めてはいけない。

「人と繋がっていれば、何かのときに助けてくれる!」なんて、甘いことを考えてないだろうか。困ったときに助けたいと思う人は、覚えてる人ではなく、助けたいと思う人だ。人脈の恩恵を望むなら、せめてFacebookで相手を感動させる一文くらい書く努力をしよう。顔を知ってるけど何してるかわからん人は繋がっているとは言えない。そもそも、会っても会話する内容がないよう。

素性も分からないFacebookの幽霊みたいな知り合いより、Twitterでヘマをやらかして炎上した学生の方が、まだ話す内容もあるし、何らかのギブ・アンド・テイクが成り立ちそうだ。心か手か財布か、まず最初に何かを動かした人しか相手は覚えていないし、アクションを起こそうとはしない。アクションしたとして、何をアクションするか分からない。最悪、手のひらを返して攻撃してくることすらある。

人脈って、不確定要素が大きいんでないかい?ドラクエでいうパルプンテに似てないか。たまに人生を揺るがすようなものが得られたりするが、結果をコントロールすることができない。しかも、唱え続けるにはMP、つまり維持費(マネー・ポイント)が必要だ。私見で申し訳ないが、人脈にこだわる人をみると、パルプンテを唱え続ける人にしか見えなかったりする。

人脈より目の前の人を大事にしよう

人脈の維持に奔走して疲弊するくらいなら、家帰って寝てろ。しっかり体を休めて心身ともに健康になってほしい。そして、目の前の人にちゃんと笑顔を見せよう。人の心を明るくできる人なら、人脈作りに奔走せずとも、勝手に向こうから人が来てくれるんじゃなかろうか。また、人の気を引こうと話すほど疲弊するものだ。たまには黙って自分の内面を見つめる時間をつくろう。それが布団の中でも構わない。

身の回りを注意深く見ると、人脈なんか無理に作らなくても、自分のことを大切にしてくれる人はたくさんいる。まず、そういう人たちを大切にしているだろうか。もし、恋人がいるなら優しい言葉の一つでもかけてみよう。奥さんがいるなら、朝の燃えるゴミくらい率先して出してあげよう。子供がいるなら、おふざけの一つにでも付き合ってみよう。誰とも知らぬ人とつながるより、ダイレクトに何かが返ってくるはずだ。

そもそも私は人脈を作るような人間的な器用さはない。一ヶ月会わないと、顔と名前を忘れてしまう。ただ、人脈を作るかどうかは別として、多くの人と接することは大事だと思う。人が集まるところに顔をだして、いろいろな話を聞こう。わざわざ繋がる必要は無いが、人の話を聞いて知見を広げることは大事だ。会って相手を忘れることを恐れてはいけない。

バンバン会ってバンバン忘れよう。これができれば人見知りに悩むことはない。忘れることを恐れるな。相手への失礼を恐れるな。過剰に優しすぎるから人見知りをするんだ。そんな自分の優しさに少しは自信をもっても良いと思う。それでも踏ん切りがつかない、勇気が足りないという人はここでコラムを書こう。問題ない。自称人見知りな人がバンバンコラムを書いている。一歩踏み出した先に、新しい発見とひらめきに満ちた世界が待っているはずだ。ということで、フォーム置いとく。ヨロピク。

・・・本当の人脈は人と人とが単に繋がる事じゃない。人と人とが紡ぎ合うことだ。このコラムを読んでいる人がよいきっかけを紡ぐことができるよう、願っている。

Comment(3)

コメント

しおん

人脈を作って、横の繋がりを作る=人脈、人望に繋がっていると思わせる風潮も原因のひとつにはなるのかなと思います。
ただ、今はその繋がりをなんのために作るのかとか目的と手段を間違えている状況がそうさせてるのかなって思います。
これは、少しづつ自分の意思でなんのために自分は人脈を作りたいのかとか意識できるように促すしか無いのかなと思います。

名も無き火消しエンジニア 2号

いつかどこかで、一緒にお仕事させてください。
そのときは、よろしくお願いします。

ばしくし

確かにそうですね。
インフラエンジニアが構築すべきは、人脈ではなくサーバでありストレージですからな。


構築するなら、その後の運用もきちんとケアすべきなのは当たり前なのですが
ということは、構築に入る前の前提として、きちんと設計する必要があるわけですな。方式設計・セキュリティ設計・運用設計もろもろ。


ただ、設計に着手する前の大前提として、戦略の策定があります。


まず根本の戦略(そもそもどうありたいかという目的)が最初にあって
これに沿って設計(ありたい形を実現するために、どんな順番で何をやり何をやらないかという目標)に入り
この設計にしたがって、具体的な行動として構築・運用に入って行くわけです。


目的(戦略)に沿って目標を立てて(設計)具体的に行動する(構築・運用)
という流れは、システムでも人脈でも同じ話ですな。


つまり、目的として必要性がないなら戦略策定段階で話は終了し、案件自体が発生しないということ。
システムも人脈も。

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