いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

SESで生き残るための捨て身の勉強法

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SESでも定時で帰れる

最近、SESでも流れが変わってきている。ちゃんと仕事さえ済ませば定時近くで帰れる現場が増えてきた。人材を育成してこなかったからか、使い捨てにしてきたしっぺ返しか、人を集めてもなかなか集まらないというのが現状らしい。だから、以前のような横暴なやり方をしていたら人が離れていってしまうので、人を丁寧に扱うようになってきているようだ。そういう流れで、進捗さえ示せれば帰れる現場が多くなった。

なんだかんだで、頑張っているだけでは仕事に結果が出ないことを社会が認知してきているように思う。私の経験則でいうと、全体が定時に帰れるようになったというより、残業に頼る人とサッサと帰りたい人が二分化しているように思う。一般的には、サッサと仕事帰りたい人の方が怠け者なイメージがあるが、そういうのはあまり関係がない。仕事の勤勉さと残業時間に関連性はあまり無いと思う。

残業するかどうかの決め手は「不安の大きさ」だ。失敗を恐れる人ほど残業が多い。不安というのは、かき回すほど膨らんでいく。残業の多い人を観察すると、「アレがダメだ」「コレがダメだ」という否定的な考え方の人が多い。そりゃ、ダメダメ言ってたら決め事なんてできるはずが無い。仕事は決定ができれば終わる。サッサと帰りたい人は、決めができるようになればいいのだ。

あと、不安を消すために誰でもできる簡単な方法がある。風呂入ってからゆっくり寝ることだ。スキルアップするにしても、ちゃんと休息を取ってコンディションの良い状態で頑張った方が効率がいい。リラックスした状態の方がいろいろなアイディアも浮かびやすい。また、仕事を離れることで客観的に自分のやっていることを見ることもできる。仕事の緊張感とオフタイムのリラックスと、バランスが取れていることでベストな結果が望める。

具体的な実践方法

「そんなことを言っても、正にデスマの真っ最中だよ。」という人もいるかもしれない。そういう人にお勧めなメソッドが労働基準局だ。健康壊すまで仕事させられるなら、労働基準局に通報しよう。ただ、現実問題として労働基準局に通報したとして、業務がうまくいくようにはならない。圧力をかけてくる人はかけてくる。通報するのは、サービス残業を強いられたときの賃金回収の手段に使おう。賃金を回収したらサッサと辞めよう。

万年デスマをやっているようなところで頑張っても、同じような人になるだけです。特にSIerというのは、何年も同じ失敗を繰り返すプロフェッショナルだ。ハッキリ言い切ろう。万年炎上しているようなSIerから学べるものはない。そういう現場から学ぶのでは無く、現場からデータを取得しよう。現場のデータから導き出した課題に取り組むことで、現場で活用できるスキルに繋がっていく。コレが伸びる人そうでない人の決定的な差だ。

とは言っても、現場のデータをUSBメモリにコピーしてくるとかそういうことではない。インフラエンジニアなら、例えばサーバの構成だ。どういうサーバが何台あるとか、どういうカテゴライズをされているかなど、記憶に残っていると思う。そういう骨組みの部分を思い出して書き出してみよう。その骨組みに対して、ベストプラクティスを考えてみよう。もしくは、一部を切り出して自分で構築してみるのもいい。

学校で授業を受けたら復習するように、仕事した後もちゃんと復習しよう。仕事を辞める前にやるべきことは、復習に使うネタをできるだけたくさん集めることだ。サービス残業分を回収した資金と失業保険で、まとまった期間を勉強に費やす資金はできる。一ヶ月、二ヶ月でも、課題を持って学習することで大きなアドバンテージが確保できる。仕事で三年頑張らなければ身に付かないくらいのスキルアップが実現できる。

なぜSIerは同じ失敗を繰り返すか

SIerは仕事を詰め込むのが好きだ。そして勉強をしない。課題が突きつけられたときに必死にググる。確かに、実経験からも学ぶことはできるが、思考する時間が確保できない。スキルがついたとしても、「何故そうするのか」という裏付けに乏しい経験則になりやすい。「何でかよく分からないが、こうすれば動く!」というノウハウばかりが増えていく傾向が強い。

そういうスキルの伸ばし方をすると、条件の切り分けや問題解決が下手なままでスキルが伸びる。簡単に言えば、スキルは高いが肝心なところが抜けた人だ。また、納期ありきでできて当然という思考からか、できた事に関して深く考えない。何かを達成したとして喜ぶという習慣が無い。SIerが、ITと多く関わるがITに関心が無くなる理由がそれだ。ぶちゃけ、学ぶ環境という視点ではSIerの現場は最悪だ。頑張ることで、むしろ変な癖がつく。

ただ、そういう状況を逆手に取ると驚くほど有利に事が運ぶ。周りが勉強しないので、自分がちょっと頑張るだけで、驚くほど優位に立てる。そしてポイントは、人のネガティブな言葉に流されないことだ。できる事はできる、できない事はできない。その事実だけを追いかけていこう。客が何と言おうと、マネージャが何と言おうと、事実をねじ曲げることはできない。もし、客やマネージャの言うことが正当ならプロジェクトは炎上しない。

SIerの人はマウントの取り方がすごく上手い。できていないことに相手のできていない事にフォーカスを当てて、自分の欠点を上手く隠す。実際は、Excelのフィルタやvlookupさえ使いこなせていない人がほとんどだ。純粋な能力でいえば、追い越すことは大して難しくない。元々のレベルが低いので、彼等の基準で物事を考えてはいけない。エンジニアとしての好機をことごとく逃すことになる。

SESで役にたつスキルとは

ぶっちゃけ、SESで行くプロジェクトの99%はドキュメントが死んでいる。ドキュメントを読むポイントを押さえれば、ザクザクとデータの不整合や設計ミスを発見することができる。抜けているところを的確に見抜けば、意外と簡単に対策を打つことができる。SESで役に立つ技術は、最新の技術や巷でバズっている技術ではなく、データのまとめ方に関する基礎だ。要件を整理する段階でつまずいているから、まずそこを何とかしなければならない。

そもそも、最新の技術を活用しているようなプロジェクトはSESなんて利用しない。自社の人でやってる。例え最新技術に関する案件があったとしても、頭がお花畑な人が要件を考えている。豪華になるのは炎上するときの炎の勢いだけだ。自分の技術で@ITの記事になるような成功例を夢見るとガッカリすることになる。むしろ、@ITで掲載される個人情報流出や不祥事の現場に立ち会うことになる確率の方が高い。

そんな現場で一番有効な手段は「復習」だ。復習をしないで同じ失敗を繰り返すなら、復習すれば問題は簡単に回避できる。現場で苦労すると努力した気になれるが、あれはタダの徒労だ。やる価値は無い。それでスキルが上がると思った時点で、エンジニアとしては終了だ。SESなら、契約更新を断って一ヶ月くらい仕事しないで勉強するくらいで丁度いい。そのくらいやらないとスキルが伸びる余地は無い。逆にそれをやれば大きく出し抜ける。

SESはクソ案件が多い。しかし、自分がクソになるか花が咲くかは別問題だ。現場がクソなら、ちゃんと養分として吸収して花を咲かせよう。重要なのはスキルではない。スキルでぶん殴ることだ。突き出した拳のように自分の意見を相手にぶつけろ。理不尽はその拳にスキルを込めて叩き潰せ。目の前の障害を取り除けないスキルなど、あったところで何の意味も成さない。

Comment(3)

コメント

通りすがり

確かに同じ失敗を繰り返す会社に居て得られるものは無いですよね。
私もそれが嫌で今は中小企業の社内SE(いわゆるひとり情シス)をしています。
システム開発は外注していますが、取引しているシステム会社さんは工数管理をしっかりしていて、こんな会社もあったのだなと目から鱗でした。
私の前職は発注元から言われると無償で機能追加などを受け入れて炎上するプロジェクトばかりでしたので…(工数管理の概念などありませんでしたよ…)


ただ、指示される側から指示する側に立ってみて、同じ失敗を繰り返さないようにきちんと対策していく事の難しさも学びました。
ただそれに立ち向かう事にやりがいを感じているので、良い転職だったなあと感じています。

もちろん技術が好きだったのでコーディングをする機会がめっきり減って寂しい思いはありますが、その分ちょっとしたツール(AccessやVBA)の開発には力が入ります 笑


話しが少々ズレましたが、成長しない企業に居ても自身の成長には繋がらないという点には大いに賛同いたします。

Mc

>SESで役に立つ技術は、最新の技術や巷でバズっている技術ではなく、データのまとめ方に関する基礎だ。要件を整理する段階でつまずいているから、まずそこを何とかしなければならない。


これは本当にその通りだと思います。
業界関係なくデータというものに対する関心が低い印象です。
(その割りにドキュメントの見た目には注文が多い・・・)

名も無き火消しエンジニア 2号

まさに、同感です。

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