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生き様143. 大事な事は大体ゲームから教わった~その拾肆:情報管理と常識管理~

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最近のカードゲーム

最近、「遊戯王マスターデュエル」というゲームを遊んでいます。
その昔、まだ週刊少年ジャンプに連載されていた頃に遊んでいました。
それ以来、15年以上ぶりに遊戯王のカードゲームに触れることになります。

今までも、デジタルゲームとして、トレーディングカードゲームを遊ぶソフトは沢山ありました。
実在のカードゲームを原案として、コンシューマーゲーム化したもの。
シャドウバース」の様に、スマホアプリとして作られたもの。
遊戯王デュエルリンクス」の様に、一部ルールを簡易化・変更したもの。
色々なゲームがありますが、それらを遊んでいたのも、はやり15年以上前の話です。

今回、遊戯王マスターデュエルを遊んだのは、「ルールがOCG(実際のカード版)とほぼ同じ」という点に興味を持ったからです。
(もちろん、Mt;G-Oという前例もあるのですが)
遊戯王OCGと言えば、一部界隈では「曖昧で複雑な増設ルールてんこ盛り!」と有名です。
それらのルールがどの様にゲーム上で再現されているのか……。
という怖いもの見たさで始めたわけです。

知らないカードが多すぎて、カードの効果を把握するのに精一杯です。
当然、持っているカードも少ないですから、まともにデッキすら組めていません。

ただ、そんな状態でもなんとなーく遊べているというのは、すごいゲームではないか?
今はこんな感想を持っています。


ボードゲームのインストの話

カードゲームに限らず、多くのボードゲームは複数の人で遊びます。
全員がゲームのルールを知っていて、お互いのことも知っていて、スムーズにプレイできることばかりではありません。
初めて遊ぶゲーム、初めて遊ぶ人、そういう状況で遊ぶ機会は多くあります。

特に初めて遊ぶゲームの場合は、、ゲームの説明(インストラクション:通称インスト)を行います。
インストでは、ゲームの目的、世界観、進行を説明します。

インストの時に注意することは沢山あります。
その中の1つ、大きなポイントとして「ルールの説明の不備でプレイヤー間に有利不利が発生しない」があります。

その為の指針にしていることが「情報管理」「常識管理」です。
今回は、ボードゲームのインストから、「情報の管理」と、見落としがちな「常識の管理」をお話します。


「情報管理」とは

今回のお話の中では、ゲームをプレイする為に必要な【知識】に焦点を当てます。
つまり、「情報管理」で管理すされる「情報」とは、「ゲームルール」のことです。
これをもう少し細かく仕分ける、大凡以下の3つになります。

  • ゲームの世界観
  • ゲームの目的(勝利条件/敗北条件)
  • ゲームの進行手順

これらを順番に、プレイヤー全員が分かるように説明していきます。
言葉だけでは判らないことも多いので、説明書にある図解も活用します。
他にも、チュートリアルプレイをすることもあります。
実際に勝敗を付けないゲームをプレイして、理解を深めるわけです。

インストの目的は、プレイヤーがゲームを遊ぶための情報を十分に得て貰うことです。
実際に遊んだ感想が「ルールが解りづらかった」では悲しいですから。
ゲームの魅力を十二分に感じてもらう為の準備として、「インストで何を伝えるか?」はとても重要なのです。

前項でも挙げた通り、一つの基準として
「ルール説明の不備でプレイヤー間に有利不利が発生しない」状況を理想とします。
どういうことかというと、
 「そんな方法は考えつかなかった!だから負けた!!」は、ゲーム上あり得るもの。
 「そんなルールは知らなかった!だから負けた!!」は、説明で無くそう。
ということです。

その為に完璧な説明を……としたいのですが、それは難しい話です。
なるべく解りやすく、と心掛けていても、やはり説明が不足していた、と感じることはあります。

事前に伝える情報を整理し、構造化して順番に伝えていく。
白栁の「解りやすく伝える」為の工夫をざっくりとまとめるとこうなります。
このコラムでも、同じ様な工夫をしているつもりです。
しかし、どうにも読みやすく、解りやすくなっている気がしません。
実際にゲームのインストをしていても同様です。
何故でしょうか?

それは、大きな情報が抜けているからです。
それが「相手の常識」です。


気付きにくい「常識管理」

「常識管理」とは、今回のコラムの為に作った言葉です。
解りやすい様に、整理し構造化した情報がイマイチ伝わらない。
そういう時は、自分と相手の間に理解を歪める要素があるのです。

それが「常識」です。

例えば、ある数字を順番に出しているくカードゲームのインストをしましょう。
インストする人(Aさん)と、インストされる人(Bさん)がいます。
 Aさんは、「大富豪」に似ていると考え、大富豪のルールを基準にインストします。
 Bさんは「UNO」に似ていると感じて、UNOのルールを基準に理解します。

この時、それぞれの「常識」が違っている、というわけです。
 Aさんの中での「常識」は大富豪寄りになっています。
 Bさんの中での「常識」はUNO寄りになっています。

そうすると、互いの間でルールの理解が歪みます。
ルール説明の抜けや漏れだったり、理解の不一致が生まれやすい状態になるのです。
それが「ルール説明の不備でプレイヤー間に有利不利が発生」することに繋がります。

要するに、人ぞれぞれで「常識」が異なっているのです。
それに気付かずに説明を行った場合、いくら整理された情報であっても、解りづらくなったり誤解されやすくなる、ということです。
だから、「常識を管理する」必要がある、ということなのです。

この文章が伝わらないのも、僕と貴方の常識が噛み合っていないから、ということです。
ごめんなさい。本当は、僕の例えがとても例えが悪いのが原因です。
解りやすく伝えられる、良い例えが見つかりませんでした。


「常識管理」と未経験が現場で疎まれる理由

「独学やスクール出身の未経験エンジニアが、就職できない」と言われる理由の一つが、この「常識」です。
実際の開発現場では、プログラムが書ける・読める以上に、プロジェクトとしての進行が重視されます。
それは、実際のコーディングではなく、品質管理やドキュメント管理、諸々の事務作業の方が比重が大きい、ということです。

「即戦力」という言葉の裏には、そういう周辺作業についての理解・経験があるか、ということを求められているのです。
もちろん、会社が変われば手続きが変わります。
作成する資料の種類、粒度や書式の違いなども多くあります。

多くの場合、説明する側は既にその手順を繰り返しています。
そして、「常識」として定着しています。
その「常識」を説明するのは難しいことです。
例えば「貴方の中にある常識を全て書き出してみて下さい」と言われた時、どう感じるでしょうか?
多くの人は困惑するでしょう。
その時「周りに空気があって呼吸ができる」を忘れずに挙げられるでしょうか?


「常識管理」のはじめの自己紹介

ゲームのインストの話に戻します。
僕は、ゲームのインストの前に、自己紹介の時間を設けています。
これは、アイスブレイクであるのと同時に、「相手の常識」を知る為です。
その為に「好きなゲーム」や「よく遊ぶゲーム」を自己紹介に含める様にしています。
その人の嗜好やバックボーンを知ることで、あるかもしれない「常識」を探るのです。

しかし「常識管理」は最初に行うだけではありません。
最初に当たりを付けた「相手の常識」を、常に補正していく必要があります。
だからこそ「管理」なのです。

具体的には、インスト中に別のゲームで例えたり、別のゲームとの差を例示します。
それが理解される様であれば、部分的にですが共通の「常識」を持っているでしょう。

「自分と相手の常識は違う」
この忘れがちな情報を、しっかりと管理すること。
それが、コミュニケーションに置いて重要なことなのです。


おまけ:本コラムの「常識管理」

毎回コラムを書きながら、とても文章量が多くなってしまうことに悩んでいます。
「もっと簡潔に書いて良いのではないか」「もっと端折っても解るだろう」
そう考えることは、少なくありません。

ですが、これを読む人の多くに白栁のイメージを伝えたい。
そうすると、前提となる「常識」の部分のすり合わせからしていかなければ…
という感じで、文章量が増えていきます。
文章量が増えれば、情報量が増えます。
情報量が増えれば、解りやすさが低下します。
伝えようとしているのに、本末転倒なわけです。

その辺りの良いバランスが、2年半書いていてもわからない。
という愚痴でした。

以上!

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