@IT自分戦略研究所 編集部が独断と愛によって選んだ「テーマ別コラム」をピックアップして紹介します。

会社との「より良い関係」は、自分次第で作り出せる

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 本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。

 ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「エンジニアと会社」だ。

 エンジニアにとって、会社との関係は悩ましい。自分がしたいことと、会社がさせたいこととの折り合いはどうつけるか。居心地の悪い会社をどう改善するか。会社勤めのエンジニアにとって、参考になりそうなコラムを取り上げる。

やりたい仕事と、求められる仕事との折り合い

 自分がやりたい仕事と、会社から求められる仕事が一致している場合は幸せだろう。だが残念なことに、「やりたくない仕事」を求められることは少なくない。

 グローバル ナレッジ ネットワークの横山哲也氏は、「与えられた仕事をチャンスととらえ、ベストを尽くす」ことを推奨している。横山氏によれば、会社勤めのメリットは「自分から積極的には選択しない分野の技能でも、リスクなしに修得できること」だという。自ら好んで手を出すわけではない分野の仕事が、実は向いている仕事かもしれない。向いている仕事であれば、成功体験が増え、いずれ好きになるかもしれない。そして何より、向いているかどうかは、やってみなければ分からないのだ。

 ただし、「与えられた仕事はチャンスととらえ、ベストを尽くす」のと、「何でもいうことを聞く」のとは違う、と横山氏は補足する。違法な仕事を命令された場合は拒否すべきだし、どうしてもやりたい仕事(またはやりたくない仕事)があれば、根回しだって必要だろう。「自分のしたいこととできることのバランスを取る」のが、プロフェッショナルの条件ではないか、と横山氏はまとめている。

 『地方からの戯言』のAhf氏は、「自分を貫き通すためには、周囲を納得させるだけの実力が最低限必要」だと主張している。求められているレベル以上の実力を備えてこそ、会社の方針に従わなくとも認められるようになる。逆にいえば、そのレベルに達していないのに、自分がやりたいことだけをやるというのは、プロフェッショナルとして好ましくないのではないか。

 まずは、自分が会社や顧客、あるいは世の中から「何を求められているか」を理解すること。そして、足りない部分があるなら、そこを伸ばすこと。その上で、自分が正当に評価されているかを確認し、自分のやりたい仕事ができないか、その可能性を探る。エンジニアとして成長するためには、そのようなプロセスが必要となるのかもしれない。

会社を変えるために

 会社とうまく付き合えない場合、自分に問題があるケースもあるが、会社に問題があるケースもある。極端な例が、いわゆる「ブラック企業」だろう。エスプランニング 代表取締役のふくにし氏は、ブラック企業について

  • 公私混同の激しい経営者しかいない
  • 何のために存在しているか分からない組織となっている
  • サービス残業の強要や非合法取引など、当たり前のように法に触れている

という特徴を挙げている。そして、ブラック企業が生まれてしまう原因は、経営者にあると断言する。

 会社に問題があるなら、逃げる(転職する)しかないのだろうか。もちろんそれも1つの手だが、ふくにし氏は「環境を自ら変える」ことに挑戦してほしいと提言している。

 ふくにし氏によれば、ブラック企業とは「設計ミスを放置してバグだらけになった会社」であるという。設計のミスがどこにあるのかを探るのは、エンジニアにとって得意分野だろう。企業をシステムのように分析し、リファクタリングする、というアプローチがあり得ることを忘れないでほしい。

 「ブラック企業」というほど極端ではなくても、「どうも職場の雰囲気が良くないな……」ということはあるだろう。そんなときは、「元気にあいさつが交わされているだろうか」と職場を見渡してみよう。リーディング・エッジの山本昭弘氏は、「会社の雰囲気を良くする方法」として「元気よくあいさつをすること」を挙げている。

 「あいさつくらいで何が変わるのか」と思われるかもしれない。だが、一緒に働く上司や同僚が元気よく、丁寧にあいさつをしてくる職場を想像してみてほしい。なんとなく、その人たちに良い印象を持つのではないだろうか。好印象を持つ人と一緒に仕事をしていれば、仕事も好きになってくるものだ。仕事を好きになれば、自ずと良い仕事ができるようになる。好印象な仲間と良い仕事ができる職場は、きっと雰囲気も良くなっているはずだ。

理想の会社はどこにある?

 誰しも、自分の考える理想の会社に勤めたいと思う。だが実際には、理想の会社にはなかなか出合えない。

 ギャルプログラマの森姫氏は、「今までの会社は、『こんなはずでは』と思うことが多かった」と語る。面接で「土日は完全に休み」と聞いていたのに、実は有給をあてる形式だったり、「残業代は出る」という話が、実は研修期間中のみだったり……。

 会社は、都合の悪い部分を隠しているかもしれない。だが、社員側だって、採用面接で都合の悪いことを隠してはいないだろうか。森姫氏は「お互いにうそをつくことをやめる」ことから始めたい、としている。人間同士の付き合いと同様、会社との付き合いも、「うそをつかない」ところから始めたいものだ。

 オフショア開発に携わるエンジニアのめじはがこ氏は、「自分の選んだ会社が理想の会社」であり、最終的には自分次第だ、と主張している。今まで勤めた3社について「良いところ」と「悪いところ」を分析すると、「悪いところ」の方が数多く挙がってしまうという筆者だが、それでも自分次第で「この会社で良かった」と思えるのだという。

 筆者は、「自分の役割を築くこと」をポイントとして挙げている。自分の役割を築ける人は、会社や顧客、同僚などに求められるようになる。求められる立場を作れれば、きっとその会社は、そう悪くない場所になるのではないか。自分で自分の役割を築ければ、そこが「理想の会社」になるだろう――というのが、筆者の経験則から導き出された結論だという。

 会社との付き合い方は難しい。エンジニアにとっては、「会社に所属しない」という選択肢だってあり得る。ただ、会社に問題があるにせよ、自分に問題があるにせよ、「自分次第」でより良い付き合い方を模索することは可能だ。会社との付き合い方に悩んでいるエンジニアの方は、自分で何かできることはないか、考えてみてはどうだろうか。

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