@IT自分戦略研究所 編集部が独断と愛によって選んだ「テーマ別コラム」をピックアップして紹介します。

技術を極めるか? それともマネージャになるか?

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 本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。

 ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「ITエンジニアのキャリアパス」だ。

 自分のキャリアをどのように設計するかは、ITエンジニアにとって永遠の課題かもしれない。エンジニアライフのコラムニストたちが語るさまざまな「キャリア論」を読んで、あなた自身のキャリアパスを考えるための手掛かりとしてほしい。

マネージャになる? ならない?

 ITエンジニアがキャリアパスを考える上で、一番悩む問題はなんだろうか。グローバル ナレッジ ネットワークの横山哲也氏は、「多くのエンジニアが悩むのは(中略)マネージャになるかどうかの選択である」とし、いくつかの提言をしている。

 なぜ、マネージャになるかどうかで迷うのか。横山氏は3つの理由を挙げている。

  • マネージャになると、技術から遠ざかってしまうのではないか、という不安
  • エンジニアとして成功したからといって、マネージャとして成功するわけではない、という不安
  • マネージャになったら、エンジニアには戻れないのでは、という不安

 こうした3つの「不安」を踏まえた上で、それでも横山氏は「機会があれば、マネージャをやってみるといい」と主張する。実はマネージャに適性があるかもしれないし、マネージャの仕事を知ることはマイナスにはならない、というのが理由だ。

 ただし、どうしてもマネージャの仕事に興味が持てなかったとき、エンジニアに戻れるような布石を打っておくのを忘れてはいけない。具体的には、「転職を視野に入れる」「社外(コミュニティなど)で活動をする」などが挙げられている。

 リーディング・エッジの山本幸一氏も、「技術を極める道に進むべきか、管理者の道に進むべきか」悩んでいる。山本氏はこれを「永遠の問題」と呼んでいる。いち開発者として活動する時期と、チームリーダーとして活動する時期を交互に繰り返しているという山本氏は、現在は「管理9割、開発1割」だという。

ポジションを“拡大”させたものが勝つ?

 キャリアアップを「技術から遠ざかっていく=ポジションが“転換”する」ととらえるのではなく、「やれることが増えていく=ポジションが“拡大”する」と考えよう、と主張するのは、システムエンジニアのちょりぽん氏だ。彼は、「プロジェクトの全体を見ずして、自分の仕事を洗練させることは困難」だと考えている。だからこそ、新たなポジションを経験できるチャンスが巡ってきたら、恐れずに飛び込んで経験する」ことを推奨している。

 プログラミングもできるし、ソースのリファクタリングもできるし、設計に不備を見つけたら適切な形に再設計もできる。そんな「どの工程も経験済み」なエンジニアこそが、必要とされるエンジニアではないか。だとすれば、ITエンジニアが考えるべきキャリアパスとは、いかにしてあらゆる工程を経験し、自身のポジションを“拡大”させるか、ということなのかもしれない。

 なお、ちょりぽん氏は「広く浅く」にならないように注意しよう、と補足している。「広く浅く」とは、「何もできない」のと同じ。そうではなく、「広く深く」を目指すことが、ITエンジニアには求められるのかもしれない。

「生涯プログラマ」というキャリアだって存在する

 「生涯プログラマ一筋」を掲げるコラムニストも存在する。『プログラマで、生きている』を執筆するひでみ氏だ。

 ひでみ氏は、決して「プログラマであり続ける方が(一般的に)良い」と主張しているわけではない。いまのIT業界において、プログラマでい続けるのが簡単なことではない、ということも自覚しているという。ひでみ氏はただ、「プログラマを貫き通す」キャリアパスは存在するし、それで食べていける、ということを伝えたいだけなのだという。

 プログラマからシステムエンジニアになるのが、いまのIT業界の「主流」なのだとしても、いつか流れは変わる――それがひでみ氏の主張だ。

キャリアパスは会社が示すもの? それとも自己責任?

 最後に、少し違う視点からITエンジニアのキャリアパスについて考えよう。スキルスタンダード研究所の高橋秀典氏は、IPA『IT人材白書2010』の中から、興味深いデータを取り上げ、分析している。

 データによると、60%以上のIT人材が「キャリアパスを提示するのは会社の責任である」と考えている。一方、企業側の60%以上が「キャリアパスは個人の責任である」としているのだ。キャリアパスについて、企業と個人が押し付け合いをしているという構図が見える、と高橋氏は語る。

 確かにある程度、企業が自社の特徴や強みを元に、キャリアパスを提示することは必要だろう。ただし、キャリアパスは「自分」のことであり、それを決めるのもまた、「自分」だ。どんなキャリアを歩んでいくのか、ぜひ自分なりに考えてみてほしい。さまざまな「キャリア論」は、きっとキャリアパスを考える上で参考になるはずだ。

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