@IT自分戦略研究所 編集部が独断と愛によって選んだ「テーマ別コラム」をピックアップして紹介します。

資格い頭を丸くする? エンジニアの「資格論」

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 本音が語れるエンジニア参加型メディア「@IT自分戦略研究所 エンジニアライフ」。日々、ITエンジニアの「生の声」を公開している。

 ここでは、編集部の独断と偏愛によって選んだコラムをテーマ別に紹介していく。今回のテーマは「エンジニアと資格取得」だ。

 IT業界には、さまざまな資格がある。多くのエンジニアが、資格取得のために勉強していることだろう。

 エンジニアはなぜ資格を取るのか? 資格取得にはどんなメリット・デメリットがあるのか? 資格を取って、どんな自分になりたいのか? 「資格」にまつわるさまざまな意見を紹介しよう。

資格取得はメリットがある。だけどコストのこと、考えてる?

 そもそも、エンジニアとして働くうえで、資格は必要なのだろうか? この問いに対して、『Wife Hacks ~仕事と家族とコミュニティと~』のkwappa氏は「資格は取れるものなら取っておきたい」と答える。

 資格取得にはメリットがある。「最低限のスキルがある」という指標になるし、「資格取得」という目標は勉強を始めるきっかけとして有効だ。

 だからといって、「力の限りを尽くして資格をどんどん取ろう!」と安易に考えてはいけない。なぜなら、資格取得には時間や労力といった「コスト」がかかるからだ。kwappa氏は「資格は足の裏の飯粒のようなものだ」と語る。

取らねば気持ちが悪いが、さりとて取ったところで飯は食えないとの意味である。なんと言いえて妙なる洒落ではないか。

足の裏の飯粒

 資格や知識は邪魔にはならない。何かを知っていれば、きっとどこかで役に立つだろう。しかし、気持ちが向くままに新しい技術や資格に注力すると、コストとのバランスがうまく取れなくなってしまう。資格取得においては、「資格がもたらしてくれるメリット」と「コスト」のバランス感覚が重要なのである。

難関資格を1つ取るか、それとも主な資格をいくつも取るか?

 資格取得のためには、資格のメリットとコストのバランスを取ることが大事だ。当然のことながら、上位資格になればなるほど、取得が難しい。時間や労力を、どう配分すればいいのだろうか?

 フリーエンジニアのはがねのつるぎ氏は、ORACLE MASTER Goldを取得した。次に待ち受けるのは、最難関といわれる最上位資格のORACLE MASTER Platinum。

 ここで、はがね氏は2つの道を考えた。まず、「難易度の高い資格を1つ取得する道」。そして、「難易度の低い資格をいくつか取得する道」だ。はがね氏が選択したのは、後者の道だった。

 難関資格を取るためには、莫大なコストがかかる。「そのコストをいくつかの資格に振り分ければ、主だった資格は制覇できるかもしれない」と、はがね氏は考えた。時間や労力は有限だ。これらをどううまく配分するかを考えておきたい。

資格=免許という制度にしてみては?

 次に、資格が持つマイナス面について掘り下げよう。「資格は、実力を反映したものではない」「資格を持っていても、仕事ができない人間はたくさんいる」――こう考えたことがあるエンジニアは、決して少なくないことだろう。『地方からの戯言』のAhf氏は、「IT資格は免許制のようにしてはどうか」と提案している。

 経験や勤続年数が多ければ、ある一定のスキルは身に付く。資格も同様に、持っていればある程度のスキルがあるという「目安」にはなる。しかし、資格がそのまま実力を表していることにはならない。エンジニアのように、技術力によって生産性が大きく変わる職種であれば、なおさらだ。

 ここに、IT業界とエンジニアのジレンマがある。技術力もプロダクトも、どちらも可視化しにくい。だから、資格は「技術や経験を表すもの」の1つとして扱われてしまう。

 資格そのものは、使いようによっては有用である。例えば「この作業をするためにはこの資格が必要」という使い方をしてはどうか、というのがAhf氏のアイデアだ。「この資格を持っている人は、詳細設計を担当できる」「この資格で扱える仕事の範囲はここまで」というように明確化するのだ。

 運用するためにはかなり高いハードルがあるが、うまくいけばIT業界全体の健全化につながるかもしれないと、Ahf氏は考えている。

なぜわたしは資格を取らないのか

 「昔は資格を取得していたけれど、最近は全然……」という人の意見に耳を傾けよう。『若人視点』の早川勇太氏は、「なぜ資格を取らなくなったか」について紹介している。

 早川氏は、学生時代にはよく資格を取得していた。実務経験がない学生が実力を示すために、資格は有用だったからだ。だが、社会人になると状況が変わる。資格が、学生時代ほど評価されなくなるのだ。

 せっかく資格を取っても、あまり評価されない。一緒に資格を取得しようとする仲間もいない。早川氏は、これらが「資格取得への意欲がなくなった」原因だと語る。

 「だが、一番の“死角”は気の持ちようかもしれない」。早川氏はこう語る。資格を取らない理由はいくらでも考えられる。しかし、結局のところ、一番の原因は「自分が資格を取りたいと思うかどうか」なのだ。

資格取得のモチベーションを上げる3原則

 資格取得は、個人のモチベーションに大きく左右される。初めは頑張っていても、何度も落ちたり仕事が忙しくなったりして、勉強へのモチベーションが下がることはままあることだ。では、どうやれば「資格」へのモチベーションを維持できるのか? 『It’s Party Time!』のあずK氏が考案した、モチベーションの保ち方を紹介しよう。

 早川氏と同様に、あずK氏も「資格が評価されないとモチベーションを維持しにくい」と指摘する。「わたしはこの資格を取ります!」と周囲に宣言するだけでもずい分モチベーションが上がると、あずK氏は語る。

 また、往々にしてあるのが「資格取得が目的になってしまうこと」。「資格を取得して、自分はどんな人間になりたいのか」ということをイメージすることも、非常に重要だ。

 最後に、あずK氏による「楽しく資格勉強するための3原則」を紹介しよう。

  • 仕事に直結している
  • 評価してくれる(褒めてくれる)人が周囲にいる
  • 資格取得後の自分がどうなっているかをイメージする

テストエンジニアが応用情報技術者試験を取りたい理由

 最後に、『オブリガート ~感謝されるテストエンジニアになる~』の第3バイオリン氏が語る「資格取得の目的」を紹介しよう。

 第3バイオリン氏はテストエンジニアだが、「応用情報技術者試験」の合格を目指している。なぜ、評価部門のエンジニアが開発系の資格を取ろうとするのだろうか。「開発部門の人と対等に渡り合うためには、応用情報技術者試験ぐらいの知識が必要だと考えた」――第3バイオリン氏はこう語る。

 もちろん、資格を取得したからといって、すぐに開発部門の人と対等に話せるわけではない。しかし、歩み寄りたいという姿勢は見せることができるのではないか。第3バイオリン氏は、「資格を取得したい目的」「なりたい自分の姿」をきちんと見据えて勉強している。その姿は、これから資格取得をしようと思う人にとって、参考になるだろう。

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