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「不公平」があふれているエンジニアの労働環境

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  • 【考え方】公平理論で考える「うわっ…私の年収…低すぎ…?」
  • 【働き方】エンジニアは場を求める
  • 【スキル】若者は常に不満を抱えている

【考え方】公平理論で考える「うわっ…私の年収…低すぎ…?」

 人間である以上、自分の収入が社会的な標準値と比べて高いのか低いのかということが気になるのは仕方ないだろう。ボーナスの時期が近づくと、各新聞が大手企業のボーナス支給額を調査して記事にしているが、この記事を読んで一喜一憂する人も少なくないと思う。

 『ドロップアウトからのキャリア七転び八起き』46(しろー)氏は、ミュージシャンを目指していたが挫折し、その後職を転々とした経歴を持つ。ミュージシャンを目指しながら印刷工を30過ぎまで続け、ある企業に転職したときの話だが、当時は「数年前の食うや食わずだったミュージシャン+印刷工時代よりも、グンと高い給与を得て、ボクなりに満足していた」という。さらに、「前の倍以上もらってるんだから、全力でがんばらないと」と考え、進んで激務に取り組んでいたそうだ。

 しかしある日、その気持ちは消え失せそうになる。高いと思っていた自分の給料が、その会社で「会社で下位数%くらい」という薄給だったことを知ったからだ。そして、同氏はそのときの思いを「ただ、知っただけ。でも、それが不幸のはじまり」と表現している。

 氏は、「日本人の公平性への厳格さ」を指摘しているが、アダムスの公平理論によると、「人は,自己の仕事量や投入(input)に見合う報酬や結果(outcome)を得たいと願う」そうだ。そして、その公平とは絶対的な公平ではなく、相対的なものであるという。

 その後、氏は人間が不公平な扱いを受けたときの心理的な反応を数種類紹介している。「これしか出ないのなら、それなりにやればいい」と考えるのも1つの反応だという。しかし、氏はいろいろ考えたとは言っても、それまでと働き方を変えなかった。

 氏はすぐには報われなかったが、ある日突然、大きな転機が訪れる。このあたりはぜひ同氏のコラムで楽しんでほしい。現在、氏は報酬について「気にしない方がハッピー。もし気にするならば、相対値よりは、絶対値」と語っている。

【働き方】エンジニアは場を求める

 「人間、何もせずに不自由なく暮らせれば最高だな」と考える人もいるだろうが、実際のところは、「自分の能力を生かして、社会に貢献したい」と考えている人の方が多いのではないだろうか。

 『Crazy for life(セイカツ イチバン、IT ニバン)』onoT氏は、IT業界は若者が能力を発揮する場を十分に作れていないと警鐘を鳴らしている。

 ドイツの社会学者グナル・ハインゾーンが提唱する「ユースバルジ現象」によると、「15~29歳の若者人口がその社会の全人口の3割を超えると、その社会の中で彼らが能力を発揮できる場がどんどん足りなくなる」そうだ。そして、onoT氏は「IT業界、特にドットコム企業では従業員の比率として、29歳以下の従業員が会社全体の3割を超えている企業なんて普通にあるだろう」と見ている。

 ユースバルジ現象に照らし合わせてみると、このような企業には、若者が能力を発揮する場所などない。その結果、「能力のあるエンジニアは、迷わず転職する」という結果が見える。

 彼らは決して賃金に不満を持って転職していくわけではない。ユースバルジ現象は「貧困による暴発ではない」そうだ。

 若手が流出し、ベテランばかりになった企業がどういう末路をたどるのだろうか? 日本のIT企業は、従業員の使い方を根本から変えた方がよいのかもしれない。

【スキル】若者は常に不満を抱えている

 『Go, Go, Go, in Peace!』横山哲也氏は若手が会社に抱く不満について語っている。

 「入社して数年たった若者は上司や先輩社員と対立する」というのは昔から変わらない構図だとしているが、不満にもいろいろあるという。例えば、上司や先輩など、他者に対する不満はよく見られるが、これだけで終わっても何も得るものはない。「他者への不満だけで会社を辞めた人は、次のステップでも失敗することが多い」そうだ。

 同氏は「愚痴というのは現状に対する不満から生じる。現状に対する不満を分析すれば、改善案が生まれるはずだ」と語り、上司や先輩社員は「生意気な若者」を無視するのではなく、真意を汲み取って改善に取り組む義務があるという。

 そして、愚痴を改善案に昇華させるためには、愚痴に対して「じゃあ、どうしたらいいと思う?」と聞くのがよいという。「こうすれば良くなる」という主張をぶつけあえれば最高だ。ここで、「どうせこの会社は駄目だ」という人間は救いようがない。

 愚痴や不満というものは怖いものだ。顧客からの不満をしっかり受け止めて業務改善に取り組む企業もある一方で、従業員という当事者なのに、評論家のような口ぶりで会社のだめなところをあげつらって得意げな顔をする人間もいる。社会人としてどちらの態度が望ましいかは言うまでもないだろう。

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