@IT自分戦略研究所 編集部が、エンジニアライフのおすすめコラムをピックアップします。

エンジニアの愛した『不思議の国のアリス』

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 ここでは、編集部がおすすめするコラムを紹介しよう。ヒトゲノム計画、IT業界人として知っておきたい作品、部下とのコミュニケーションに関する3本を取り上げる。

  • ヒトゲノム計画
  • IT業界、もうひとつの読書案内
  • 6. 説教してはいけません

「ヒトゲノム計画」を支えたコンピュータ技術

 エンジニアの山本保男氏による『アジアのソフトウエア開発現場にて』。ヒトゲノム計画について。

 ヒトゲノム計画【Human Genome Project(HGP)】とは、ヒトの遺伝子を丸ごと読みこもうというプロジェクトだ。米国のエネルギー省と国立衛星研究所(NIH)を中心に、英国、日本、フランス、ドイツ、中国などの研究機関も協力、プロジェクトは2003年4月に完了している。

 一見、遺伝子工学や生物学分野の話ととらえがちだが、山本氏はHGPとITやコンピュータが深いかかわりにあることを指摘する。

 ゲノム(遺伝情報)の読み込みには、HGPのほかにも、HGP出身の研究者が立ち上げたCalera Genomicsというベンチャー企業が関わっていた。Caleraがゲノム読み取りにかけたコストは約1億ドル程度で、これはHGP(約50億ドル)の50分の1。約30億塩基対あるヒトの遺伝子を効率的に読み込むため、Caleraが採用していたのが、塩基対をまるごと鎖停止法という方法で読み取れる大きさに切りきざみ、結果を再構成する手法だ。結果再構成における計算のプロセスで、コンピュータが活躍していたのである。

 一定の頻度で生じる読み取りミスの問題などを考慮すると、Caleraが行う塩基対の再構成には一見懐疑的にならざるを得ないという山本氏。されど、実際には着々と計算が進められていたわけで「コンピュータの偉大さをあらためて再認識した」とつぶやいている。

IT業界人なら『不思議の国のアリス』を読もう!

 グローバルナレッジネットワークの横山哲也氏による『Go, Go, Go, in Peace』。IT業界人として知っておきたい作品について。

 エンジニアの書くブログや、オープンソース系のドキュメントにはしばしば、有名作品のパロディが登場する。元ネタとなる作品には、どのようなものがあるのか。横山氏は引用されることの多いジャンルをファンタジー系、SF系、アニメ系の3つに分け、それぞれ代表的な作品を紹介している。

 このうち、横山氏が特にプッシュするのが『不思議の国のアリス』(原作:ルイス・キャロル)だ。コンピュータソフトウェアで最初に読むべきドキュメント「Read Me(わたしを読んで)」は「アリス」に登場する「Drink Me(わたしを飲んで)」と書かれたビンに由来する。また、暗号化技術の教科書には、アリスとボブが登場するが、このアリスは『不思議の国のアリス』が元ネタである。このように、「教養」として元ネタ作品を仕込んでおくと、ドキュメントを理解できる幅が広がるだろう。

ミスに効くのは説教ではなく「リカバリ」

 システム開発者である玄米茶氏による『気難しいプログラマ』。部下とのコミュニケーションについて。

 部下がうっかりミスをやらかしてしまったとき、単純に説教する上司は多いだろう。だが、玄米茶氏はコラム冒頭にて「いまどき説教を聞きたがる若者はいない」と断言する。

 部下がプログラマであった場合、技術力という観点から上司を見下している場合もある。そうなると、たとえ強い語調でしかっても余計な反発や批判を生むだけだ、と玄米茶氏は指摘する。

 では、どうすればいいのか。大切なのは部下のミスをリカバリし、その姿を部下に見せることだと玄米茶氏はいう。上司が顧客に頭を下げる、始末書を書く、などの姿は、ことの大きさを部下自身に自覚させるために何より効果的だ。迷惑をかけたという自己反省につながるのみならず、上司に「救ってもらった」という恩義をも抱かせる効果がある、と玄米茶氏は示唆している。

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