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付加すべき何もの 除去すべき何もの

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 「完成は、付加すべき何ものもなくなったときではなく、除去すべき何ものもなくなったとき、達せられる」サン=テグジュペリ、もしくはドストエフスキーの言葉。

 これは、相克ではなく相生の言葉に思えてならない。

 お客様からは、いろいろな機能追加の要望が来る。知恵を振り絞りお客様の要望に応え、機能を追加してゆく。しかし追加した機能の中には、システム化してしまうと複雑すぎて結局使われないものや、機能が増えすぎたために品質的に劣化してしまったものが多々存在する。
 そのときは、機能を削ってゆくことが望ましい。
 せっかく作った機能を削れというお客様は少ないが、使えない機能は使われない。それを残しておくのではなく削ってゆくのだ。さらにはお客様に使ってもらっている機能でも、削る勇気があってもよい。その時にはお客様の業務も削ってやれ。
 機能追加の提案も大切だが、同じくらい機能削除の提案も大切なのだ。

 これは、最初から作らないのではない。

 作った後に、削るのである。付加する経験は重要だ。付加すべき何ものもなくなったとき、そこには、これまでとは違った世界が開けているだろう。その視野に立って、除去してゆく。そして除去すべき何ものもなくなったとき、さらなる高みの世界に立つことができるであろう。これが「完成」だ。

 これは、とんでもなく苦難の道のりである。

 ビジネスの世界で実現できるか、正直分からない。システムは完成しない、永遠のプロトタイプなのかもしれない。それでも「ものづくり」の現場に身を置くものとして、システムを「完成」させることは永遠の夢である。

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