ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第664回 DX化を進めるために必要なこと

»

 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 最近はよくDXという言葉が聞かれるようになりました。ですが、一方でDXをどう実現すればよいのか、そこがあやふやなまま話を進めようとする事例も多くみられるような感じもしています。特にDX化とIT化を混在させて考えているケースも多くあり、この辺がDX化の難しい所だなぁと感じています。

 そこで今回はどうすればDX化が進められるのかについて、私なりの考えをまとめてみました。

■DX化とIT化

 まずそれぞれの言葉の定義から。DXとは言わずと知れたデジタル・トランスフォーメーション、デジタル技術による変革を表す言葉ですよね。デジタル技術というのはアナログなデータをデジタルの形に変換することで仕事の効率化や自動化、新製品開発、サービスの創出などに活用する技術のことを言い、具体的には以下のようなモノがあります。

  • IoT(Internet of Things、モノのインターネット)
  • ビッグデータ
  • AI(Artificial Intelligence、人工知能)
  • ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)
  • RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)
  • クラウド(コンピューティング)
  • XR(cross reality、現実世界にはないものを表現したり、体験したりできる技術)

 ここでポイントになってくるのはトランスフォーメーション、つまり変革です。変革とは有様を変えてしまうことです。今までの仕事の仕組みそのものを大きく変えることで、より大きな成果、効果を生み出すことです。分かりやすい例で言えばテレワークなんかがそうですよね。テレワークはICTの技術を使い、自宅にいながら会社にいるのと同じだけのパフォーマンスが出せるような環境を作ることにより、仕事の有様を大きく変えました。これは立派なDX化と言えますね。

 一方、IT化とは、ITの技術を使って仕事の効率を上げることを言います。IT化は昔からある考え方で、例えば会計の仕事をシステムに乗せてしまうことで仕事の効率化を狙うみたいな話は良く聞きますよね。基本的にシステム化というのはほぼIT化のことを指します。まとめますと、

DX化...デジタル技術を使って仕事そのものを変革すること
IT化...IT技術を使って仕事の効率化を図ること

となりますね。

■DX化を進めるために必要なこと

 それでは、DX化を進める上で一番ネックになる点は何だと思いますか? 私はゴールの姿(=変革した姿)が見えづらいことにあると思います。DX化と訊くとデジタル技術に目が行きがちになります。生成AIが...RPAが...XRが...みたいな感じです。そして、これらの技術や知識を躍起になって学ぼうとされます。

 それはそれでいいんですけど、それらの技術や知識はあくまでDX化を実現するための手段でしかないので、これだけだとどこまで行ってもゴールである変革に辿り着くことはないです。

 大事なことは今ある仕事を変革していくことです。一体どうなれば変革と言えるのか、変革することでどうありたいのか? そこを徹底的に考える必要があります。そしてそこが明確になったら、次にそれを実現するためのデジタル技術に目を向けます。生成AIで実現させるのか、IoTに着目するのか、はたまたRPAを導入するのか...デジタル技術が必要になってくるのはここからです。

 だから、最初にやるべきことはデジタル技術云々を抜きにして、自分たちの仕事をの有様を見直してみること。そこから変革した仕事の有様をイメージすることだと私は思います。それができてくれば後はデジタル技術を使って実現させればいいだけです。こうしたことはIT化に慣れているITエンジニアにとっては得意な領域なのではないかと思います。

 IT業界ではソリューション提案という顧客の問題をソリューションによって解決するという考え方があります。そのソリューションを実現するためにIT化があります。であれば、これからの時代はトランスフォーメーション提案(変革の提案)という流れが来るかもしれません。

 顧客の現状を変革(トランスフォーメーション)することで顧客の価値を最大化させる。それをデジタル技術で実現させるのです。こうした流れは今後も加速していくのではないかと思います。だとすればこれからの時代に求められるのは変革を実現させることのできる人材ということになるのかもしれませんね。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する