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第642回 老害について考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 老害って言葉がありますよね。一般的には良い言葉としては使われないと思うのですが、最近、自分が老害になっていないかなと感じることがあります。そこで、今回は老害について考えてみました。

■老害とは

 ネットで老害を調べてみました。

企業や政党などで、中心人物が高齢化しても実権を握りつづけ、若返りが行われていない状態。(デジタル大辞泉より)

 何となく言わんとすることはわかるのですが、少しピンとこないので、別のサイトで調べてみました。

自分が老いたのに気づかず(気をとめず)、まわりの若手の活躍を妨げて生ずる害悪。(Google日本語辞書より)

 どちらかと言えば、私はこちらの方がしっくりきます。要するに、ある程度や知識経験を積んだ人が物事の中心を担い続けることで、周りの人たち(特に若手)が活躍できない状況にある時、その中心人物を老害と呼ぶのでしょうね。。。だとしたら、私は間違いなく老害です(汗

 なぜならば、私がやっている仕事の多くは専門性が高く、他の人では真似ができないことが多いからです。勿論、それをやろうとする人がいれば、その人が独り立ちできるようにサポートやバックアップをしますが、それでもその人が責任を持てるレベルになるまではこちらが責任を持たなければならないです。だから、お客さんと商談する時など、どうしても口を挟んでしまうことがあります。それは商談を成功させなければならないからやっていることでそれ以外に他意はないのですが、一方で若手の活躍の場を奪っていると言われると反論できません。ということは、やっぱり私は老害なのだと思います。。。

■老害と属人化

 それじゃ、例えば、ある専門性の高い仕事を一人でやっている人がいたとします。その人でなければその仕事はできません。しかも、代わりの人は誰もいません。これは完全にその仕事が属人化されている状態です。ここでは属人化の是非は置いといて、この状況は正直止む無しだと思いませんか。だって、その人がいないと仕事が回らないですから。

 では次。ここに1つ条件を追加します。この人に部下が就くことになりました。部下はこの人(上司)の仕事を覚えようとしています。しかし、いつまでも上司が仕事をやり続けていたとしたら、それは老害になるんでしょうか?

 これって判断が難しくないですか?

 なぜならば、状況に依って答えが変わるからです。

 例えば、仕事を覚えようとしている部下がいつまで経っても仕事を覚えられないとしたらどうでしょう。仕事は仕事としてやっていかなければならないので、部下に仕事を任せられなければ当然上司が仕事をやらなければならないですよね。それって老害になるんでしょうか?

 他にも、時間的な制約があり、部下に任せられないような状況があったとして、それを上司がやってしまったら、それも老害になると思いますか?

■老害について考える

 これらのケース、私は老害になると思います。なぜなら、老害というのは若手の視点から語られる言葉だと感じるからです。

 仕事が覚えられなくて上司が仕事をやってしまった。部下からしたら自分の仕事を奪われたと感じるかもしれません。仕事ができなくてもチャレンジしたかったと思うかもしれません。その機会が上司によって奪われたのです。そんなことを部下が感じてしまったら、上司は老害扱いされてしまいますよね。

 また、部下から老害だと思われていることを上司が知っていたとして、何か状況を変えることができたかというと、このようなケースだと難しかったのではないかと思います。

 結局のところ、老害という言葉は「若手の活躍の場を奪う人」に対して向けられる言葉でしかなく、その背景については考慮されていません。だから、老害であったとしても止む無しのケースはあると思うのです。

 とは言え、老害と呼ばれていることに気づいたのであれば、そこは何かしらの手を打つべきとも思います。今すぐに何かをすることは難しくても、いずれ自分の場所を譲る覚悟を決める。いつまでも役職や役割に固執する人はどの時代にもいますが、それが本当に組織や若手にとって良い姿なのか考えることは必要なのだと思います。

 私も自分自身が老害だと感じることが多くなったので、そろそろ自分の場所を後進の方々に譲る準備をしていかなければと思います。そのためには私自身がもっと成長し、新しいことに取り組む必要があると思います。そうして仕事を循環させていくことが社会にとって必要なことなのかもしれません。

Comment(2)

コメント

ちゃとらん

いつも楽しく拝読させていただいております。


『老害』って嫌な響きですが、なかなか難しい問題だと思っています。


個人的には、人も組織も余裕が無くなってきていることに原因があるのではないかと思っています。つまり、若者にチャレンジさせて、失敗させて、そこから学ばせるという『悠長な』仕事のさせ方ができなくなってきているという感じです。


なので、どうしても失敗しないように年長者が口出ししてしまうのではないかという事です。


もちろん本物の老害な人もいますが、失敗しても良いチャレンジを許容できる環境を用意してあげることが、老害を無くすことより重要なんじゃないかと思っています。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん、


こんにちは。
いつもコメントありがとうございます。


そうなんですよね。。。
企業が成果至上主義で常に結果が求められる時代というのもあると思います。
若者の中でもできる人はどんどん活躍の場が広がり、できない人は活躍の場がなくなっていく。
それじゃ、できない人の仕事はどうするか?
結局、周りの人が何とかするしかなく、それが老害の構造の一つでもあるような気がします。


おっしゃるように、人を育てる環境を作り出す事こそが本質的な問題解決のような気がしますね。

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