ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第581回 認定スクラムマスター(CSM)を取得しました

»

 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 現在、私はプロマネ系の研修の割合が増えてきたのですが、その中でも特にPMPの試験対策講座が多くなっています。

 実は今のプロジェクトマネジメントではアジャイルに関する内容が多く盛り込まれているのですが、講座でアジャイルの話をさせていただくにつれ、私自身もっとアジャイルの理解を深め実践したいと思うようになりました。

 その結果、認定スクラムマスター(CSM)資格の取得を目指すことにして、先日無事取得いたしました。そこで今回はこの資格からアジャイルに関する私の考えをお話ししたいと思います。

■認定スクラムマスター(CSM)とは

 認定スクラムマスター(CSM)とは米国Scrum Allianceが認定するスクラムマスターを認定する資格です。スクラムとはアジャイルの一手法のことで、Wikipediaにはこのように定義されています。

プロダクト開発におけるスクラム(英: scrum)は複雑な問題への適応型ソリューションをチームで開発し価値を生み出すための軽量級フレームワークである。(Wikipediaより)

 Wikipediaではスクラムをソフトウェア開発におけるアジャイルの一手法として紹介していますが、現実的にアジャイル(スクラム)はその域を超えており、様々な所で適応されています。今回私がスクラムを学ぶきっかけになったのはプロジェクトマネジメントからですし、プロジェクトマネジメントにおいてもアジャイル(スクラム)はとても重要な位置づけになっています。

 アジャイルの手法は数多く存在しますが、その中でもスクラムはとても汎用的で広く使われており、アジャイルの中では利用者数が多い手法です。先ほどのWikipediaでは「プロダクト開発」とありましたが、このプロダクトというのは単なる物理的な製品だけを指し示す言葉ではなく、有形無形問わず、価値を提供するモノを総じて「プロダクト」という呼び方をしています。そのため、ものづくりやソフトウェア開発のような限られた職種だけでなく、広く様々な職種に適応できる考え方となっています。

そして、スクラムという手法では「スクラムマスター」「プロダクトオーナー」「開発者」という3つの役割があり、この中のスクラムマスターという役割に関する資格が認定スクラムマスター(CSM)なんです。ですので、「スクラムの達人(マスター)」という意味ではありません。。。

■アジャイルの考え方

 プロジェクトマネジメントの考え方は実は古くからあります。それこそ100年以上前の機械や建設業界においてウォーターフォールでものづくりが行われていたそうです。IT業界においても1960年代には既にウォーターフォールにおけるシステム開発が行われるようになっていたようです。

 このウォーターフォールの考え方は計画が前提にあります。しっかりとした計画を立てその計画の通りにプロジェクトを進めていくことで成果物を作成する。このような手法を予測型アプローチと呼ばれています。

 なぜ「予測型」なのか? それは計画を立てるという行為が未来を予測して立てるからです。色んなことが起こることを想定し、それを計画に盛り込む行為は予測そのものですよね。このような予測型アプローチでのプロジェクトを多くの結果を残した半面、ある課題を生み出すことになります。

 それは「計画外のことが起きたらどうするのか? 」です。これに尽きます。

 実際の現場でも良くあることだと思うのですが、計画通りに物事が進まないことってたくさんありますよね。そうした場合に遭遇したらどうしますか? 何とかアレコレやりくりをしてそのトラブルを乗り切ろうとしていませんか? そして、こうしたことが起こると「やっぱりPMBOKって形だけで使えないよね」ってなっちゃいませんか。。。

 アジャイルはこの問題に対して真っ向から取り組んでいる手法です。

 アジャイルは想定外のことが起こる前提で考えられています。想定外の出来事を不確実性と呼んだりしますが、アジャイルはこの不確実性を踏まえた上でプロジェクトを進めていきます。それは、

「求められていることをいち早く提供することで価値を創出する」

という考え方から来ています。求められていることというのは要求事項のことです。この要求事項をアジャイルではユーザー・ストーリーと呼ぶのですが、プロジェクトにあるたくさんのユーザー・ストーリーの優先順位をつけ、優先順位の高い順番からどんどん開発を行い、リリースしていくのです。このやり方だと、例えば不確実性が起こったとしてもそれを加味してユーザー・ストーリーの順位付けを変えればいいだけの話で、その時点で最も求められている価値を提供する作業は変わらないのです。この方法はその場その場で最適な方法を検討し適応させていくということで適応型アプローチと呼ばれます。

 このようにアジャイルは早期に価値を生み出す仕組みであり、既にアメリカではウォーターフォールよりもアジャイルの方が開発の主流になっているそうで、テスラやアマゾンなどの企業は完全にアジャイルの手法で開発が進められているのだそうです。

■アジャイルを身近に

 私がPMP試験対策講座をやらせてもらっている時に、ある官公庁案件に従事されているITエンジニアの方の話を聞かせてもらいました。その方はその現場で長くプロマネを担当されてたそうなのですが、今回手法をアジャイルに変更することが決まったそうでアジャイルのことを一生懸命学んでいる最中なのだそうです。

 日本においてはまだウォーターフォールの現場が多い感覚はあるのですが、それでも官公庁案件においてもアジャイルが浸透してきているというのは少し驚きました。ひょっとしたら、私たちがイメージしている以上にアジャイルの浸透は早いのかもしれません。

 私個人はアジャイルにとても魅力を感じています。それは、旧来の計画を立てて仕事をするやり方よりも、早期に価値を生み出すやり方の方が仕事の効果、効率が高まる気がするからです。実際、私は現在スクラムの手法を使って仕事をするようにしています。最初は戸惑うこともありましたが、やってみると案外快適で仕事の納期もしっかり守れていますし、見積もりの精度も上がったような気がしています。

 これからのプロマネは旧来のウォーターフォールの予測型アプローチだけでは対応できなくなるケースが増えてくるのではないかとかなえています。予測型アプローチに加え、早期に価値を届けるアジャイルの適応型アプローチも使えるプロマネのニーズが高まっていくのではないか。丁度、今はそんな転換期なんじゃないかなと思っています。

 正直な所、このタイミングでアジャイルに関わることができて幸運だったと思っています。もしこのタイミングを逃したら、私は一生アジャイルを知らずに仕事をしていたかもしれないのですから。。。

 アジャイルは何もソフトウェア開発だけのモノではありません。色んな所に波及しています。ひょっとしたらアジャイルはあなたのすぐそばに来ているかもしれません。ご興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する