第513回 名称について考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
物事には必ず呼び名、つまり名称があります。私はキャリアコンサルタントという名称で活動させてもらっていますが、こうした名称には様々な意味があります。今回はそんな名称についてのお話です。
■キャリアコンサルタントとキャリアカウンセラー
日本では比較的なじみの深くなったキャリアコンサルタントという職種ですが、実はこれ、日本独自の名称だったりします。世界的にはキャリアカウンセラーという名称が一般的なのですが、この違いについて明確な定義づけはありません。
資格の有無で呼称が変わるというのはよく言われるのですが、それは国家資格キャリアコンサルタントが名称独占資格であるところに起因しています。つまり、「キャリアコンサルタント」と名乗るためには国家資格キャリアコンサルタントを取得する必要があるのです。
しかし、それじゃ国家資格キャリアコンサルタントを取得しなければキャリコンができないかと言われるとそうではなく、この資格は業務独占資格ではないため、別にこの資格があろうがなかろうがキャリコンをすること自体何の問題もありません。その意味では国家資格キャリコンサルタントを持っていなくても実害はありませんし、もっと言えばキャリアコンサルタントと名乗らなくても何の問題もありません。
寧ろ、世界的な視点から見ればキャリアコンサルタントよりキャリアカウンセラーと呼称する方が一般的ですし、キャリアコンサルタントという言葉に思い入れがないのであれば、堂々とキャリアカウンセラーを名乗ってキャリコンをすれば良いのではないかと思います。
■名称と中身
名称というものは単なる呼称、呼び名でしかないので、それ自体がその人の本質を指し示している訳ではありません。
例えば、国家資格キャリアコンサルタントを取得している人は満足にキャリコンが行えるのかと言われると必ずしもそうではありません。何なら国家資格キャリアコンサルタントを持っておらずキャリアカウンセラーと名乗っている方の方が上手に相談者を支援するキャリコンをされているケースもあるくらいです。それはどの資格でもそうですが、資格を持っていることと実務で使えることが同義ではないからです。
本当に大切なことは資格の有無、もっと言えば名称の違いなどではなく、その役割を遂行するだけの実力を有しているかどうかです。その実力の有無がその人の本質を指し示すことに繋がります。つまり、中身が伴ってさえ言えれば呼び名なんかは(法に触れない範囲で)自由に呼べば良いと思います。
私は国家資格キャリアコンサルタントを持っていますので自分自身をキャリアコンサルタントと呼んでいますが、この呼び名がなくても今は特に困りません。何ならキャリアカウンセラーでもいいですし、キャリアアドバイザーでも、キャリアサポーターでも何でも構わないです。。。
■名称にこだわりを持つ
ただ、どんな呼び名でも構わないからこそ、逆に私はキャリアコンサルタントという呼び名にこだわりを持ちたいとも思います。そこには私なりの矜持があるからです。約15年に以上この呼び名を使って活動を続けてきた自分なりの想いがあります。それを表現する言葉が私にとって「キャリアコンサルタント」なのです。
キャリコンの中にはナラティブ・キャリアカウンセリングという技法があるのですが、この技法には外在化という方法があります。外在化とは問題となることに名前を付けることで、「私の〇〇体験記」とか「一生で一番ツイてない日」のような名称を付けることで自分の抱えている問題を認識しやすくします。
名称は単に呼称でしかありませんが、一方で名称はその人自身を表すという役割もあります。だからこそ、そこにこだわりを持つことは本当は実はとても大切なことなのかもしれません。
コメント
ちゃとらん
いつも楽しく拝読させていただいています。
> 本当に大切なことは資格の有無、・・・その役割を遂行するだけの実力を有しているかどうか
全くその通りだと思います。
所が、我々素人には、そのキャリコンさんが優秀かどうか判別付きません。国家資格を持っておられる方なら、最低限の能力はお持ちだろう…程度の判断で、選んでいるかもしれません。
さらにややこしいのは、相性もあると思います。実力不足の方でも、相性があっていつも以上に素直にアドバイスを受け入れられたり、逆に何となく合わないので話半分しか聞かなかったり。
# 相性問題は優秀なキャリコンさんなら技量(テクニック)でカバーされるのかもしれませんけど。
一生に何度も、何人ものキャリコンさんと会うわけでもないので、なかなか難しい問題です。
キャリアコンサルタント高橋
ちゃとらんさん、
いつもコメントありがとうございます。
>所が、我々素人には、そのキャリコンさんが優秀かどうか判別付きません
本当におっしゃる通りですね。
ちゃとらんさんのこの言葉で気づいたのですが、相談者さんは名称で判断をせざるを得ない所がありますよね。
それは別にキャリコンだけに限った話ではありませんが、だからこそ何かを名乗ろうとするならば、名は体を表せるように研鑽を積むしかないのでしょうね。。。