第496回 対話のススメ3 -「伝える」技術
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
「対話のススメ」シリーズも3回目となりました。前回は対話の要素の1つである「聴く」ことに関する技術をお話させていただきました。
今回は「伝える」技術についてお話いたします。
■「伝える」とは
対話では相手の話を聴くことと伝えることは対の関係を成しています。聴くことは相手の発言内容を自分の中に取り込む(受け入れる)行為でしたが、伝えることは自分の想いや考えを相手に取り込んでもらう(受け入れてもらう)行為のことを指します。
この「伝える」という行為によって、以下のような効果が期待されます。
聴くことによって相手との信頼関係が深まる(関係構築)
↓
伝えることで対話を深め、促進させる(対話の深化)
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問題の本質を見極め、解決へと導く(問題解決)
ここで重要なことは、対話においてベースとなるのは相手の話を聴くことです。まず最初に相手の話を聴くことから始め、相手との間に信頼関係を構築します(傾聴効果)。その上で伝えることで対話の内容が深まり、そして対話が進んでいきます。そうした結果、対話の主題である問題の本質を見極めることができ、問題の解決へと導くことができるようになります。
■「伝える」技術
対話技法(ダイアログ・メソッド)において、「伝える」ことの目的を以下のように定めています。
「伝える」目的(何のために伝えるのか?)
対話を深め、促進させるため
また、対話技法(ダイアログ・メソッド)においては以下の内容を伝えます。
「伝える」対象(何を伝えるのか?)
内省を促し、フィードバックを与える
内省とは自分の内面に向かい合うことで自分の言動を振り返ることを言います。一方、フィードバックとは相手に相手自身の情報を与えることで相手の知らなかった一面に気づくことを言います。対話技法(ダイアログ・メソッド)では、この内省とフィードバックのために伝えるということを行います。
この内省とフィードバックを促すための「伝える」技術には以下のようなモノがあります。
- 質問
- Youメッセージ
- Iメッセージ
1.質問
質問とは相手の考えを深めるための伝え方のことで、質問によって相手に内省を促します。
質問は「伝える内容」+「伝える方法(伝え方)」の組み合わせによってできています。
伝える方法(伝え方)は大きく分けて、オープンクエスチョン(開かれた質問)とクローズドクエスチョン(閉じられた質問)という2つがあります。
オープンクエスチョン(開かれた質問):相手に自由な発想を促す伝え方
クローズドクエスチョン(閉じられた質問):相手に限定された範囲から選択を促す伝え方
オープンクエスチョンは相手に自由な発想を促すため、相手に自由な発想を促す効果が期待できます。
一方、クローズドクエスチョンは「~ですよね?」のように、相手に確認を促す効果が期待できます。
伝える内容は対話を深め、促進させることで問題の本質を見極め、解決へと導びけるような質問内容のことで、深掘りをするとイメージを促すという2つの伝える内容ががあります。
深掘りをする:相手の話す内容を具体的(明確)にすること
イメージを促す:相手の捉えている視点を変えること
深掘りでは相手の話した内容をより詳細に深掘りをする事柄の深掘り、相手の心情面にフォーカスする気持ちの深掘り、相手の行動のきっかけ(行動原理)にフォーカスする意図の深掘りに分けられます。
また、イメージを促すでは視点を他人に移したり、過去や未来に視点を移すことで新たな気づきを促します。(こちらは「考え方」の技術で取り上げます)
2.Youメッセージ
Youメッセージは、相手の状態や変化といった相手のことを伝えるフィードバックの一種です。具体的には相手自身に理解や気づきを促すオウム返しや要約があります。
また、Youメッセージはクローズドクエスチョンを使うという特性もあります。
オウム返し:相手の言葉をそのまま返すこと
要約:相手の言葉を自分の言葉でまとめて返すこと
3.Iメッセージ
Iメッセージは自分の感情や判断を相手に伝えるフィードバックの一種で、相手自身に理解や気づきを促すうなづき・あいづち、感情、判断があります。
うなづき・あいづち:仕草により同調・納得の意をフィードバックすること
感情:相手の話を聴いた上での自分の率直な感情をフィードバックすること
判断:相手の話を聴いた上での自分の率直な判断をフィードバックすること
今回は対話技法(ダイアログ・メソッド)の「伝える」技術についてざっとお話させていただきました。本来、伝える技術はかなり範囲が広く、今回紹介した技法一つひとつにも具体的な考え方、使い方があります。そのため、実際には伝える技術を習得するためにはトレーニングが必要になってきます。このトレーニング方法についてはまた別の機会で紹介させていただきます。
次回は「流れ」の技術についてお伝えします!