第454回 問題の本質を考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先週、問題解決について書かせていただきましたが、書き切れなかったことがありました。問題解決法は何かしらの問題をある手順に従って思考を準えることで解決させる方法ですが、この問題解決法について私がいつも意識していることがあります。今回は前回の続きとして、問題解決において私が意識してることを書きます。
■問題解決をやってみる
例えば「仕事が溜まっている」という問題に直面したとしましょう。この問題を解決するためにはどうすれば良いでしょうか? パッと思いつくこととして「片っ端から片づける」方法があります。こうすれば、仕事がなくなり仕事を片付けられますので、これで問題は解決しそうですね。
それでは、次。そこに時間の制約が加わったとしましょう。すべての仕事を処理するだけの時間がないのです。さて、今度はどうすれば良いでしょうか? 水平思考的に考えると「仕事は自分でこなさなければならない」という枠組み(パラダイム)を外し、他の人に仕事を振るという考え方が生まれるかもしれません。
また「すべての仕事をこなさなければならない」という枠組みを外すことができれば、仕事の優先順位をつけることで対応できるかもしれません。7つの習慣では物事を緊急と重要という2つの軸で捉えます。そうすると、緊急かつ重要(第1領域)、緊急ではないが重要(第2領域)、緊急だが重要ではない(第3領域)、緊急でも重要でもない(第4領域)に分けられます。この中から自分にとって優先すべき仕事は重要な仕事であると考え、第1、2領域に注力し、第3、4領域は優先順位を下げて対応するという方法を取ります。こうすれば、全ての問題を解決することはできないまでも、自分にとって重要な仕事は解決できるようになります。
■問題の本質を捉える
問題を解決するためには前提条件や制約条件が含まれています。その中で最適解を考えますが、その前段でもう1つ考えることがあります。それは問題の本質が何かを考えることです。キャリコンでは問題の構造を相談者視点の問題とキャリコン視点の問題の2重構造として捉えますが、この2重構造の考え方は問題解決においても適用されます。
目の前にある問題、つまり起こっている事象から導かれた問題は表層的な問題でしかありません。しかし、実際にはその深層には問題の本質が隠されています。問題である以上、表層的な問題を解決しなければならないのはもちろんのことですが、そこだけに着目してしまうと応急処置的な対応にしかならず、根本的な問題解決には至らないかもしれません。
例えば「頭痛が起きている」ことを問題にしているとします。そうした場合、まずは頭痛薬などを飲み安静にしますよね。そうすれば頭痛は解消されるかもしれません。しかし、再び頭痛が起こる可能性があります。それは、頭痛が起こった根本的な要因にアプローチしていないからです。頭痛が起こる本質的な原因が生活スタイルにあったとしたら、生活スタイルを改善しなければ、また頭痛が再発するかもしれません。つまり、頭痛が起こった根本的な要因にアプローチすること、それが本質的な問題を考えることに繋がります。
■効果性を考える
この話は効果性の話と同じです。効果性と言えば7つの習慣における重要概念の1つですが、効果性とは「今ある結果を未来においても更なる良い結果になるように得ること」です。つまり、今目の前に起こっている問題は勿論のこと、未来においてもその問題が解決され、より良い結果が得られる方法を効果性が高い方法と捉えます。ちょうど、先ほどお話しした頭痛が起こった根本的な要因にアプローチし改善することが効果性を高めることになります。
それでは、どのようにすれば効果性が高まるのでしょうか。先の第1、2領域に着目するのも効果性を高める方法の一つ(第3の習慣)ではありますが、ここでは私なりの考えを書きます。
- 現在起こっている問題が解決したら、その問題は再発しないのだろうか?
- その問題を解決する方法が最良の方法だろうか?
この2点を自問自答することだと思います。問題解決法を使い導き出された解に沿って対応したとしたら、未来においても問題が解決され続け、再発することはないか? そして、その方法は考え得る最も良い方法なのか? この2つを自分に問いながら何度も考えます。そうして、両方の問いに対して自信をもって「Yes」と答えることができた時、それが最良の方法になるのではないかと思います。
私は問題解決と効果性はかなり密接な関係にあると考えています。何かしらの問題を解決する際、そこに効果性の要素を取り入れて考えてみてください。その思考が問題の本質を捉え、真の問題を解決する糸口になるかもしれません。
コメント
ちゃとらん
毎回、楽しみに拝読させていただいています。
効果性の話、私も常日頃から考慮しています。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」が好きな言葉ですが、即効性がないので、周りから批判も受けますけど。
# 暫定対策と恒久対策は別々に必要なんでしょう。
さて、本題ですが、「緊急と重要」を考える場合、いつも「誰にとって」も考えています。普通は顧客にとって…なんですが、たまに自分にとってと顧客にとってが相反することがあり、選択に悩みます。この辺りは、キャリア育成の課題と業務遂行の課題でも、「緊急と重要」の認識がブレます。
# 仕事が忙しいので、試験勉強が出来ない…とか。
なかなか、厄介なことです。
キャリアコンサルタント高橋
ちゃとらんさん
いつもコメントありがとうございます。
効果性で考えると魚の例えは、
「魚を与えつつ、魚の釣り方も教える」
になるのかなぁと思いました。。。
魚を与える…目先の問題の解決であり即効性はあるが、永続性はない
魚の釣り方を教える…問題の本質の解決であり即効性はないが、永続性はある
また、緊急と重要についてですが、対象を明確にすることはとても大切なことだと思います。
7つの習慣には「7つの習慣マネージャ」というマネジメントに特化された派生形があるのですが、その中の第2の習慣ではミッション・ステートメントのことを「コントリビューション・ステートメント」と呼んでいます。
コントリビューション・ステートメントとは仕事におけるミッション・ステートメントのことで、仕事に対する意義を表すモノだったりするのですが、ここに貢献の考え方が出てきます。
その貢献の対象こそがちゃとらんさんのおっしゃる対象と重なってくるのではないかと思いました。
ミッション・ステートメントやコントリビューション・ステートメントはその人の判断軸になりますから、私の体験上、これらが明確になることで判断に迷うことが少なくなってくるような気がしています。