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第433回 センスについて考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 キャリコンのトレーニングの一環で、国家資格キャリアコンサルタントの資格対策を担当させていただくことがあります。国家資格キャリアコンサルタントの実技試験は論述試験と面接試験があり、どちらもキャリアコンサルタントを実際に行う上で求められる考え方やスキルを有しているかを問う試験です。特に面接試験は試験官を前にして実際にキャリコンをやってみせなければならないので、一長一短ではクリアできない試験だと思っています。

 これまでいろんな方のトレーニングをさせていただいておりますが、面接試験で苦労される方が多いです。ただ、そんな中でも短い時間で面接試験をクリアされる方もおられます。こういった方はセンスが良いなぁと思ってしまうのですが、こういうセンスって一体どうやれば身につくものなのでしょうね。そこで、今回はこのセンスについて考えてみました。

■国家資格キャリアコンサルタントの面接試験

 国家資格キャリアコンサルタントの面接試験は15分のロールプレイと5分程度の口頭試問で行われます。ロールプレイでは相談者を相手に実際にキャリコンを行います。その後、面接官が口頭試問を行い、ロールプレイでやろうとしたことやできなかったことなどを確認します。細かな評価項目はありますが、6割以上の得点で合格になります。

 ロールプレイでは相談者と信頼関係を築きながら、相談者の訴える問題からキャリコンが捉えた問題を把握しなければなりません。その上で目標を立て、具体的な行動(方策)を導き出すことが求められます。試験時間は15分なのでこれらをすべてやることは難しく多くの場合は途中で終わってしまいます。ですので、その後の口頭試問でやろうとしたことややれなかったことを試験官に伝えることでロールプレイの内容を補うのです。

 私は実演を兼ねて15分の尺で収めるようなロールプレイをすることはありますが、普通にやるとまず15分の尺では収まりません。傾聴をしながら相手の話をじっくり聴き、そこから相手が訴える問題の本質を見つけ出さなければなりません。しかも、単に見つけ出すだけでは足りず、見つけ出した内容を相談者に合意してもらわなければなりません。そうしなければ、次の目標を定めるところに進めないからです。

 しかも、目標の立て方にもコツが必要で、例えば「上司との関係性が悪い」ということが問題の本質だと捉えたとし、それが相談者と合意できたとします。そして、そこから目標を立てることになるのですが、この時「上司との関係性を改善する」という、問題の裏側を目標にしてしまうとキャリコンが失敗します。本来、目標は問題が解決した姿ですので、「今の職場で働き続けることができる」のような目標になるのです。そして、それを実現するための具体的な方法が問題の裏側である「上司との関係性を改善する」ということになります。

 これがキャリコンの構造の一つの例なのですが、キャリアコンサルタントはこういったことを考えながらキャリコンをしなければなりません。しかも、基本は傾聴で聴かなければなりません。傾聴で相手の話をじっくり聴きつつ、会話の戦略を立てながら話を進めていかなければならないのです。これがなかなか難しかったりします。。。

■面接試験でセンスのある方

 しかし、これをあっさりとやってのける方がたまにおられます。傾聴をする時でも相手の気持ちや想いの汲み取りが上手で、自身のロールプレイを俯瞰して見ることができ、自分の良い点、悪い点を客観視できる。試験では自己一致といってロールプレイで実施したことと、口頭試問で答えたことが一致していることが求められるのですが、こういったことが素でできてしまうのです。普通の人であればこれができるようになるまで最低でも数カ月、時には年単位でトレーニングしなければ到達できないのですが、それがモノの数回とトレーニングを行っただけでできてしまう人がいるのです。これは、本当にセンスがあるなぁと思ってしまいます。

 そういった方の特徴として、こちらが言ったことをすぐに実現できる点があります。呑み込みが早いというか、やろうとすることを具体的なイメージとして表現できているような感じがします。つまり、センスがあるというのは、イメージの具現化が上手な方のような気がします。

■イメージの具現化

 イメージの具現化をもう少し掘り下げて考えてみます。例えば「相手の話したことに対して、気持ちを汲み取ってください」と言えばそれができる。相手の気持ちになって、相手の心情に寄り添い、そこから言葉を紡ぎ出す。それは相手の話したことを自分なりに感じ取り、そのイメージを具現化しているからではないかと思います。

 そう考えると、センスが良いというのはイメージをどれだけ表現できるかということのような感じがします。だとすれば、普段から言葉で表現されていることを具現化させるトレーニングをすることでセンスが磨けるかもしれません。ただ、それは言葉で表現されていることを正しく理解できていることが前提なので、ここでも傾聴技法が必要になってくると思います。

 本来、センスは天性のモノのように捉えられる感がありますが、トレーニングによって身につけることができるのかもしれません。私はセンスとは無縁の人間ですが、だからこそセンスのある人に憧れます。センスを身につけるために、私もイメージの具現化に挑戦してみようかなと思います。。。

Comment(1)

コメント

松井義一

センスは、そ人がより興味を深める分野で磨かれると思います。興味→実践の継続が大事だと。

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