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第424回 やってみないとわからないこと

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の全面解除から約1カ月ほどが経ちました。人々の暮らしも少しずつ戻ってきているようで、繁華街や商業施設は緊急事態宣言前と同じような活気が戻りつつあります。ただ、以前と違うのはほとんどの人がマスク着用であったり、ソーシャルディスタンスを守るという「新しい生活様式」が普段の生活の中に取り入れられてきたことにありますね。

 仕事においても緊急事態宣言前と同じというわけにはいかず、未だにテレワークを継続されている方や出社とテレワークを併用している方もおられると思います。私は月の半分程度をテレワークにしているような仕事のスタイルなのですが、その分家でやることも増えてきました。実は私は過去に塾の講師をやっていたこともあり、テレワーク中は子どもの勉強を見ることが多くなってきました。先日も子どもの勉強を見ていたのですが、そのような中であることに気づかされました。今回はこのことについて書きます。

■子どもの勉強、どうやっていますか?

 うちの子は今年から中学生になるのですが、特に塾などにも通っておらず、学校の宿題を家でやっている程度です。その内、本人が塾に行きたいと言い出したら行かせようかとも思っていますが、本人にはその気が全くないようですし、勉強もあまり得意ではないみたいなので、親が見てあげる必要があると思っています。

 新型コロナウイルスの影響で学校の授業が本格的にスタートしたのは5月の下旬からでしたが、それまでは課題という形でプリントや問題集の宿題が出ていました。流石に勉強が得意ではないと言ってもやらないわけにはいかないので、自分なりに考えてコツコツとやっていたようです。ただ、まだ学校で習っていない予習的な範囲もあったみたいで、本人も苦心しながら課題に取り組んでいたようです。

 当然、習っていない範囲は後から学校で学ぶことになるのですが、ここで気になったことがありました。うちの子だけかもしれませんが、課題を終わらせるとそこで満足してしまい、自分の解いた内容に意識が向いていなかったのです。うちの子にとって、課題とは「やること」が第一にあり、「理解すること」は二の次だったのです。

 流石にこれだと何のための勉強かわかりません。そこで、わからなかった部分は説明すると子ども伝えたのですが、こういうときに限って子どもの中で優先されるのは親の言うことよりも学校の先生の言うことです。「先生がやれっていったんだから、これでいいんだよ! 」の一点張り。こうなると、頑なに親の話に耳を傾けなくなりました。。。

 そこで、少し考え方を変えて、これまでに自分がやってきた問題の解き方を教えてもらうことにしました。自分なりにどうやって問題を解こうとしていたのか、その流れを教えてもらうことで、どれだけ理解しているかを測ろうとしました。本人の話を傾聴でじっくり聴いてみると、自分なりのやり方をいろいろ教えてくれました。

 本人なりに考えながら問題を解いていることが分かってきたので、たっぷり話をしてもらった上で、今度は教科書を見ながら、教科書で説明している方法との違いを伝えてみました。そうして、自分なりのやり方と教科書のやり方、どちらがやりやすいかを考えてもらうようにしてみました。すると、自然に勉強にも熱が入るようになり、問題を解くスピードも徐々に上がってきました。

 その後は学校から渡されている問題集を使い、自分で問題を解くように勧めました。本人は大変なのでシンドイと言っていましたが、1日1ページで構わないからコツコツ問題を解く習慣づけをする必要性を伝えると、本人も何とか納得してくれました。

■やってみないとわからないこと

 ただ、問題集をやらせるには1つクリアしなければならない点がありました。それは、解答をつくらなければならなかったのです。今回、子どもにやらせようとした問題集は数学だったのですが、どうやら解答は学校の先生が回収しているらしいのです。そのため、このままだと問題を解きっぱなしの状態になってしまうです。。。

 流石にこの状況はマズいと思い、私が解答を作ることを宣言しました。子どもはビックリしていましたが、中学校1年生程度の問題なのでそれほど時間はかからないとタカをくくっていました。しかし、始めてから5分で自分の言ったことを後悔しました。問題集を見てみると、対象範囲が40ページ、問題数が400問にも及んでいます。しかも、子どもに計算式は答えだけでなく過程も書くように言っている手前、私が計算の過程を書かないわけにもいきません。手が腱鞘炎になるかと思うくらい無我夢中で書きまくり、何とか3時間かかってA4用紙20枚分にも及ぶお手製の解答集ができあがりました。

 実際にやってみて思ったのですが、本当に大変でした。勿論、子どもはこれだけの量を1日でやることはないのですが、それでも子どもはいつもこんなことをやってるのかと感心してしまいました。親からすればただ問題集をやっておくように伝えるだけですが、実際に問題集を解くのは子どもです。問題集をやるように伝えた時の私は、この大変さは理解していなかったように思います。

 子どもに「数学を理解させる」という意図だけで問題集をさせようとしていましたが、本当は親が子供の目線に立ち、問題を解く上での大変さも理解した上で問題集を解くことを伝えなければいけなかったと反省しました。

 翌日、子どもに解答集をつくったことを伝えた上で、問題を解く大変さを理解できていなかったことを素直に詫びました。その上で、一緒に勉強をしていこうと伝えると、子どもは「せやろ、大変な気持ちがわかったか? 」と嬉しそうに話し、一緒に勉強をすることを約束してくれました。

■効果的な学びを得るために

 私たちの判断は善悪、優劣など理屈を優先してしまうことが案外多いような気がします。しかし、本来はそこに行きつく過程も大切で、その過程をどれだけイメージできるかが物事を成功に導く一つの要因のような気がします。これは人に何かを依頼する場合は尚更のことです。今回、子どもの問題集を自分で解いてみてわかりましたが、解いてみることで子どもが問題集を解く時の大変さが理解でき、子どもと同じ目線に立って会話をすることができたような気がします。

 私は普段研修の仕事をしていますが、普段の研修においても、参加者の立場に立つことを忘れてはならないと思いました。私の伝え方がどのように参加者に伝わっているか? 私のファシリテーションはどのように見えているか? それを都度意識し、考え、改善していくことが、トレーナーである私にできる効果的な学びを提供する方法だと思いました。日々、精進が必要ですね。。。

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