第421回 コミュニケーションが苦手でない人の特徴
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
「コミュニケーションは得意ですか? 」と尋ねると「はい」と答える方は案外少ないのではないでしょうか。しかし、「コミュニケーションは苦手ですか? 」と尋ねると「いいえ」と答える方は結構おられると思います。「得意であること」と「苦手でないこと」、似ているようで似ていないこの言葉ですが、実際に「コミュニケーションが得意な人」と「コミュニケーションが苦手でない人」とでは、コミュニケーションに大きな違いがあるように感じます。今回はこのことについて書きたいと思います。
■コミュニケーションが苦手な人の特徴
コミュニケーションが苦手でないということは、コミュ力がない訳ではない、つまり、人との会話は上手ではないかもしれないけれど、困るレベルでもない、ということでしょうか。実際、こういう方と話をしてみると、確かに会話は滞りなく進みます。しかし、その内容を聴いてみると、ある種の特徴があるような気がします。それは、言葉を言葉で補う話し方をされるのです。それまでに話した言葉では伝えきれていないと感じ、その足りない内容を別の言葉で補う。その結果、たくさんの言葉で会話をしてしまうのです。
傍から見ていると、会話の中でたくさんの言葉が発せられているので、会話が成立しているような感じがします。しかし、圧倒的に話している量が多いので、聴いている側はその情報量の多さに半分も理解できていないかもしれません。しかし、当の本人はたくさんの言葉で話をしているので、自分の伝えたいことは伝わっていると感じている。しかし、相手からすれば、クドクドと何が言いたいのか良くわからない長い話を聴かされるし、一方で自分は十分に話ができていないのでストレスが溜まってきます。そういったノンバーバル(言葉以外の情報)は自然と伝わってきます。だからこそ、コミュニケーションが得意とは言えず、コミュニケーションが苦手ではないと言ってしまうのかもしれません。
■コミュニケーションが得意な人の特徴
それでは、逆にコミュニケーションが得意な人はどういう人でしょうか。
私が思うコミュニケーションが得意な人は、言葉を増やすのではなく、言葉を削ぐことでコミュニケーションをする人だと思っています。例えば、10の言葉で伝える内容を1つの言葉で伝える。そういったコミュニケーションができる人だと思います。また、こちらの言葉が少なくするというのは、相手の言葉を増やすということです。そのためにはたくさんの言葉を相手に話してもらわなければなりません。それは相手の話をたくさん聴くということ、つまり傾聴をしているということです。
コミュニケーションが得意な人というのは、相手の話を良く聴き、相手にたくさんの言葉を話させ、自分の言葉は端的に表現する、こういった人なのではないでしょうか。
■大事なことは何か?
コミュニケーションは技術です。だから、トレーニングを積めば誰でもある程度のコミュ力にはなると思います。しかし、技術は所詮技術でしかありません。その技術を使うためには、その技術を使おうとする意図が必要です。
それでは、一体その技術(コミュ力)を使おうとしたいのか?
それは、相手のことを知りたいから、自分のことを知ってもらいたいからではないでしょうか。だどすれば、そういった気持ちをもって会話に臨むこと、これこそが何より大事なことなのではないでしょうか。
こういった意図をもって会話をされている人は、その雰囲気が分かるモノです。そんな人と話していると、例え技術が劣っていても話を聴こうと思いますし、こちらも話したいと思えます。実はそれこそがコミュ力をアップする上で何より大切な事なのではないかと、私は思います。