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第403回 批判的に考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 物事の捉え方は人それぞれですが、会話をしていると深く考えている人と字面だけ追っている人の2種類に分かれているような気がしています。この内、深く考えている人にはある特徴があります。それは思考法、モノの考え方でもあるのですが、今回はそのことについては書きたいと思います。

■批判的思考

 そのモノの考え方を「批判的思考」と言います。あまり聞きなれない言葉かもしれません。批判的思考は別名「クリティカルシンキング」とも言い、こちらの方が名前が通っているかもしれませんね。Wikipediaによると批判的思考は以下のように説明されています。

批判的思考(ひはんてきしこう)またクリティカル・シンキング(critical thinking)とは、あらゆる物事の問題を特定して、適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法である。(Wikipediaより)

 「批判的」というと物事を批判しながら考えるというニュアンスを受けますが、実際には「これって本当に正しいのか? 」という問題意識を持ちながら考えることです。例えば、研修でチームごとに発表してもらい、他のチームから意見をもらうシーンがあったとします。このとき、

「〇〇チームの発表は流れがとても分かりやすく、とても理解しやすかったです。ただ、もう少し根拠のデータを増やしていただけるともっとわかりやすかったと思います」

のようなフィードバックを伝えられるケースが良くあります。これは、まずは相手のことを理解しようという前提に立ち、相手の言わんとすることを汲み取り、理解しようとする思考が働いているように思います。正直、このようなフィードバックは薬にも毒にもならない当たり障りのないフィードバックのように感じます。一方で、

「〇〇チームの発表でデータの説明をされていましたが、このデータから導き出された提案が繋がっていないように感じるのですが、このデータをなぜ使われようとしたのですか? 」

のようなフィードバックを伝えられるケースもあります、これは、相手の話を批判的思考で捉えており、相手の提案内容が本当に正しいのか? という問題意識を持ちながら聴くことで、こういった疑問を提起されています。

 どちらのフィードバックが相手にとってより深い内容になっているかは一目瞭然ですよね。

■何を「批判」するのか?

 実際に批判的思考を使おうとする場合、一番ネックになるのは何を「批判」するのか? です。批判という言葉が出ると「相手の話をそのまま鵜呑みにするな」といった意味に捉われてしまいがちですが、このように考えてしまうと相手の話を完全に理解していないと批判なんてできないじゃないか! と思ってしまいがちになり、躊躇してしまうことがあります。そのため、私は少し捉え方を変えています。私が批判的思考を使う場合、「自分は相手の話を理解できていないのではないか」という自分の理解を「批判」するようにしています。つまり、相手の言葉を批判するのではなく、自分の理解を批判するのです。

 こうすることで、批判の対象が自分になるので、誰に気兼ねをすることなく自由に批判ができます。自分の理解を批判するからこそ、相手に対する質問が生まれます。その質問が相手に更に深い考えを促すことに繋がっていきます。

■批判的に考えよう

 批判的思考は自分の考えを批判することで、結果的に自分の考えを深めていくことができます。その結果、物事の本質に近づけるような問いが生まれてきます。実際の批判的思考はかなり奥が深く、それだけで1冊の本になるくらいの分量があります。しかし、そういったことを知らずとも、批判の対象を自分にすることだけで簡単に行うことができるようになります。

 批判的思考は思考法ですので慣れが必要になりますが、一度身に着けてしまえばどんなシーンでも活用することができる考え方です。もしご興味のある方はぜひ普段の生活にも批判的思考を取り入れてみてはいかがでしょうか。

Comment(1)

コメント

匿名

世の中にはクリティカルシンキングを謳っておきながら、中身はロジカルシンキングになっている書籍も少なくありません(特にビジネス系)。共通する部分
もありますが、方向性が違うので惑わされないようにしましょう。

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