第362回 学びの場をつくる
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
失敗することが分かっていて、敢えてその失敗をしようとする人はいませんよね?
しかし、失敗することを忠告された人はどうでしょうか? 忠告を聞き入れ、失敗する行動を避ける人もいれば、忠告を聞き入れず、失敗までまっしぐらに進む人もいます。最近、うちの子との会話で、失敗することの必要性を考えさせられる出来事がありました。今回はこのことについて書きます。
■早めに明日の準備しときなさいよ
うちの子は今年から6年生です。私は普段から出張の身なのであまり会うことがないのですが、たまに出張から帰って家にいるときは子どもと会話します。そんな中でも親として気になるのは、子どもがちゃんと学校の準備などをやっているかどうかでした。
私 「明日の学校の準備、やったん?」
子ども「いいや、まだやってないよ」
私 「いつやるん?」
子ども「分からん」
私 「後になると用意できないものがあると困るだろうから、先にやっとけば?」
子ども「うーん、考えとく...」
まぁ、こんな感じの会話です。私はうちの子の性格を分かっているつもりなので、コイツは絶対にやらない!ということがほぼ確信としてありました。しかし、子どもには子どもの時間があり、自主性も大切にしないといけないと思っていたので、その日1日子どものやりたいようにさせていました。
そうしたところ、案の定、夜9時を回ったところで何だかバタバタし出しました。そのとき、心の中で「ほれ見たことか」とは思いましたが、本人がどう行動するか見たかったので敢えて知らんぷりをしていました。そうしたところ、子どもが泣きついてきました。
子ども「お父さん、絵の具が必要なんだけどないねん」
私 「それは困ったなぁ。お前はどうするつもりなん?」
子ども「うーん...、お父さんに買ってきてもらいたい...」
時間は夜の9時を回っています。車で走ればまだ空いているスーパーはあるので用意することはできます。ここはどう料理してやろうか考えました。
■学びの場をつくる
少し考えて、私は素直に絵の具を買いに行くことにしました。家から車で5分程度のスーパーには絵の具が売っていました。そこで絵の具を買って家に帰り、子どもに渡しました。
子どもは大喜びです。正直、感謝されている感もありました。しかし、ここで話が終わってしまったのでは勿体ない。この失敗を生かしてもらうためにこんなことを伝えました。
私 「とりあえず、お店が開いててよかったな。もし、お店が開いてなかったらどうなってたん?」
子ども「うーん、先生に絵の具を忘れたって言うしかないかな」
私 「なんでそうしないの?」
子ども「お父さんがおるから(買ってきてもらえると思って)」
私 「なるほどなぁ。お父さんがおるから何とかなると思ったんか。でも、お父さんはなんで買いに行ったと思う?」
子ども「私が困ると思ったからやろ?」
私 「それもそうやけど、それ以上にお父さんが何を考えて絵の具を買いに行ったか、お前に考えてほしかったからやで」
子ども「どういうこと?」
私 「お父さんがどんな気持ちが絵の具を買いに行ったか、お父さんの立場になって考えてみて。どう思う?」
子ども「うーん...(長考)...、お父さんに迷惑をかけたってこと?」
私 「まぁ、そんな感じやな。お父さんに迷惑をかけたってことをお前に知ってほしかったから、敢えて何も言わずに絵の具を買ってきたんよ。だから、お前は今日一日どんな行動を取らないといけなかったのか、もう1回自分で考えてみ」
子ども「そうなんや...分かった」
正直、ちゃんと理解できているかどうかは微妙な所ですが、それでも子ども自身が自分の頭で考え、導き出した結論なので、それを後押しして、その話は終わらせました。
■失敗は学びのチャンス
この出来事を、単に子どもを叱って絵の具を買い与える方法もあると思います。しかし、それだと子どもは考えないような気がするのです。失敗は子どもに学ばせるチャンスのような気がするのです。勿論、親の言うことを聞かず子どもが失敗したら、親としても腹が立ちます。しかし、親の鬱憤(怒り)を子どもにぶつけても、親がすっきりするだけで終わってしまうのではないかと思うのです。それより、子どもに学びの場をつくってあげて、失敗から学ばせることで、物事を深く考えられるような癖づけができるのではないかと思っています。
今回のように、子どもに考える場を与えるのも親の責任ではないかと思います。そのためには失敗は学びを得るためのチャンスと考え、子どもと接していきたいと思っています。