ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第357回 学びを考える

»

 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私が小学生の頃、ハマっていたモノがあります。それは、江戸川乱歩です。江戸川乱歩といえば、怪人二十面相とか少年探偵団といった子ども向けの小説を多く書かれている作家ではありますが、私はそれらの本には全く興味がありませんでした。私がハマったのは成人向けに書かれたドギツい(?)江戸川乱歩の世界だったんです。

 当然のことですが、小学生なので読めない漢字もたくさんあります。それでも子どもながらその世界観にハマり、どんどん読破していきました。といっても、これらの本が家にある訳でもないので、当時はすべて本屋さんで立ち読みをしていました。朝、家を飛び出して本屋さんに着くと、お昼ご飯も食べないままずーっと夕方まで本屋で立ち読みをしていました(笑)そうして、気づいたら、本屋さんにある江戸川乱歩の本はすべて読みつくしてしまいました...。今考えると末恐ろしい子どもでしたが、当の本人はとても楽しい時間を過ごした記憶しかありませんでした。

 この当時のことを思い出すと、なぜあんなにハマったのか、少し気になってきました。そして、この子どもの頃の経験が「学び」についての気づきを促してくれました。そこで、今回は学びについて思うことを書きます。

■子どもの学び

 普通に考えると、成人向けの江戸川乱歩の小説は子どもには読みづらいと思います。このコラムを書くにあたって久しぶりに江戸川乱歩の小説を読み返してみたのですが、江戸川乱歩の小説は今から約60~90年前に書かれていますので、表現の仕方が古臭いですし、書かれている漢字も小難しいです。当然ルビなんて振られていません。よくこんな文章を読んでたなぁと関心してしまいました。。。

 今思い返してみると、当時の私はこの小説の内容を正確に把握できていた訳ではなかったと思います。わからない言葉や表現がたくさんでてくるのですが、そういったことはすっ飛ばして、小説の情景を思い浮かべながらドンドン読み進めていたような気がします。江戸川乱歩の小説は猟奇的な内容も多くあるので、子どもからすると相当のインパクトがあったと思います。そのインパクトを目の当たりにしたことで小説の世界に引きずり込まれてしまったのかもしれません。とにかく、その世界観に惚れ込み、延々小説を読んでいたように思います。

 そのため、子ども向けに書かれた江戸川乱歩の小説はインパクトが薄く最後までのめり込むことはできませんでした。また、少年探偵団こそ成人向けには出てきませんでしたが、明智小五郎や怪人二十面相は成人向けにも出てきてましたので、無理に子ども向けを読む必要が感じられなかったのかもしれません。

 このことからわかることとして、私の行動の源はすべて「興味」でした。興味があったから、難しい江戸川乱歩の本を数多く読破することができました。そういえば、私は子どもの頃家で勉強をしたことが一度もなかったのですが、それでもそこそこの点数が取れていたような気がします。クラスの他の子たちは勉強が嫌いといっていましたが、私は学校の勉強が楽しいような感情を持っていました。恐らく、私の場合、勉強をするとき「知りたい」という好奇心が前に出てきていたからだと思います。例えるならば、授業の問題は私にとってはクイズでした。国語、算数、理科、社会、英語といろんなクイズを解いているような感じだったので、それはそれで楽しく勉強ができていたように思います。

■大人の学び

 しかし、大人になり仕事をするようになると、興味で何かを学ぶことはなくなりました。それは、大人になるとやるべきことがたくさん増えてしまい、物事に優先順位をつけなければならなくなったからではないかと思います。そのため、大人になってからの学びは会社から指示されて受ける研修や資格の取得などでした。

 つまり、大人になってからの学びには「理由」が必要だったような気がします。理由があることで、自分の中での優先順位を上げ、それによってやって学びを始める。大人になったことで何とも面倒くさい考え方になってしまったモノだなぁとしみじみ感じてしまいました。。。

■学びを考える

 ただ、大人はすべて物事の優先順位をつけて学びをしているかといわれると、そうでないこともあります。例えば、自己啓発という名で自分を高めようとする行為は学びになりますよね。また、運動や趣味などに学びを取り入れる方もたくさんおられます。

 これって、大人であっても子どもと同じように「興味」が学びの元になっているからではないでしょうか。

 大人になったことで、学ぶことに理由が必要だと考えていたのは、思い込みだったのかもしれません。実は「興味」が学びの元になっているのは、子どもも大人も、昔も今も変わらない普遍の原則のような気がしてきました。

 だとすれば、今からでも子どもの時のように何かに興味をもつことができれば、自然に学びは深くなるかもしれません。何か勉強しなければならないことがあったとして、そこに純粋な興味をもつことが学びを深める一つの方法になるような気がしてきました。

 私はこれまで多くの資格などを取ってきましたが、それらはテクニックめいたことで勉強してきたように思います。しかし、これからは子どものときのように、学ぼうとすることに興味をもつことから始めてみようと思います。

 恐らく、それが最も効果の高い学びなのではないかと思ったりしています。成果が出たら、またこの場で報告させていただきますね!

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する