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第337回 コミュニケーションの難しさ

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 普段から人と話をすることを生業としていますので、会話には特に気をつけるようにしています。そうすると、会話からその人の傾向のようなモノが見えてきます。上手に流暢に話をする人も、その裏側にある「伝えたいこと」を理解してもらうために実は必死だったり、あまり口数の少ない人も、本当はいろんな範囲に及ぶことを考えていたりします。

 今回はこういった会話から感じるコミュニケーションの難しさについて書きます。

■双方向のコミュニケーション

 人が二人いれば、そこに会話が生まれます。お互いの近況を話し合う他愛のない会話だったり、報連相をやり取りする重要な打ち合わせだったり、その内容は千差万別です。しかし、どれだけ内容が多岐に渡っていたとしても、「自分の伝えたいことを相手に話す」「相手の伝えることを聴き入れる」この2つのことをやっているのが会話です。

 私たちは普段からコミュニケーションの重要性を理解しています。だからこそ、自分の言いたいことを相手に理解してもらうだけでなく、相手の言わんとすることもちゃんと理解しようと心がけます。そうすることがお互いの関係性を良好に保つだけでなく、お互いが共有する仕事や事柄をうまく進められることを理解しているからです。

 このことから、一方通行ではない双方向のコミュニケーションが、私たちにとって本来あるべきコミュニケーションの姿だと、私たちは考えています。

■会話の実際

 ところが、実際の会話を見てみると、双方向のコミュニケーションばかりではありません。言いたいことを一方的に伝えてしまうような単方向のコミュニケーションはあちらこちらで見かけられます。

 なぜ、私たちは双方向のコミュニケーションが良いことは理解しているにも関わらず、単方向のコミュニケーションを取ってしまうのでしょうか?

 それは「コミュニケーションの捉え方」が理由の一つにあるのではないかと思っています。

 例えば、あることを相手に納得してもらいたいとしましょう。どうすれば相手に納得してもらえるか、話のストーリーを考えます。その上で、ストーリーに矛盾がないかを確認します。更に、実際にどのように話すのか、トークスクリプトを練り上げます。そうして、初めて相手の前で会話をしようとします。

 そこにあるのは「わかってほしい」という強い気持ちです。そうした強い気持ちをもった上で会話をしようとすると、当然伝えようとする気持ちが強くなり、話も一方通行になるでしょう。しかし、それだと単方向のコミュニケーションになってしまうのです。

 つまり、「わかってほしい」というスタンスで会話をしようとすると、コミュニケーションがうまく行かないことがあるのです。

■「まず理解に徹し、そして理解される」

 それではどうすれば良いのか? その答えのカギは「双方向」です。双方向ということは、自分が伝えたいことだけでなく、相手が考えることを受け止めなければなりません。自分が理解してもらいたいと思う気持ちと同じだけの気持ちで相手の話を理解しようとしなければなりません。

 これは『7つの習慣』の「まず理解に徹し、そして理解される」という第5の習慣に表されています。

 7つの習慣とは世の中にあるの効果性の高い原則(=当たり前にあり、普遍的なこと)を集めてつくられた「より効果性の高い人生を送るための7つある習慣」のことを表しているのですが、ここに「まず理解に徹し、そして理解される」という習慣があります。

 7つの習慣ではコミュニケーションを取ろうとする場合、「自分」からではなく「相手」の理解から始めることを勧めています。そうして、相手が自分の言わんとすることを理解してもらうことで初めて自分のことを理解してもらえるようになる、ということなのだそうです。

 私たちが相手とコミュニケーションを取ろうとするとき、無意識に自分のことを理解してもらいたい、わかってもらいたいという気持ちで会話をしようとします。しかし、そうすると会話がうまく行きません。だからこそ、自分のことではなく、まず相手のことを理解するように会話をやってみる。そうすれば、相手からもおのずと自分のことを理解してもらえるようになるのだそうです。

 自分のことでなく、相手のことを理解するように会話をするのは慣れないと難しいと思います。しかし、心がけることで習慣づけることはできます。何より相手のことを理解しようとするだけでも、コミュニケーション力はかなり向上します。それは、私の体験からも言えることです。

 もし、コミュニケーションを苦手とされている方がおられましたが、ぜひ「相手のことを理解する」ような会話を心がけてみてはいかがでしょうか。

Comment(2)

コメント

まんじゅ(´ん`)

双方向コミュニケーション。
そうですね、相手を理解する気持ちが無いと、不思議と理解できないですね。

以下、若干自分の就業場所についての愚痴が含まれるかもしれませんが、
チームリーダーと双方向コミュニケーションができていないなあと、悶々と日々過ごしてしまっております。

おそらくリーダーはリーダーで考えがあると思うのですが、彼自身が、
「僕はコミュニケーション苦手なので。むしろコミュニケーションってコストじゃないですか?」
という発想で、あちらの意見や見解を言うだけ言って、こちらの懸念や不安は全く聞く耳を持たない具合です。

とはいえ、もしかしたら自分達も理解しようとする意欲がなくなりつつあったのかなと振り返るきっかけになりました。

ありがとうございます。

キャリアコンサルタント高橋

まんじゅ(´ん`)さま、


コメントありがとうございます。


コミュニケーションを拒絶される方とのコミュニケーションって難しいですよね。。。
コミュニケーションは双方向で成り立ちますから、片方の方が拒絶されると成立しづらいとは思います。しかし、それでもこちらにできることは「まず理解に徹する」しかないような気がします。


モチベーションの問題など難しい立ち位置におられるかとは思いますが、そのリーダーさんとのコミュニケーションが円滑に進むことを願っております。

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