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第336回 本質を考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私たちキャリコンがキャリアコンサルティングをするとき、相談者(クライエント)の話に耳を傾け、言わんとされることを理解するように努めます。その上で何に問題があるのかを詳らかにし、本当に相談者が心の底から目指したいと思えることやキャリアを目標として明確にし、具体的な方法(方策)を提言していきます。

 私はキャリコンさんの指導もさせてもらっていますが、皆さん難しいと感じられるところがある程度決まっています。その多くは「関係構築」「問題把握」の2つに分けられます。関係構築は相談者との関係性を築くということですが、これは傾聴をベースとした関わりによって実現させていきます。そのため、ある程度傾聴ができるようになってくると、この段階はクリアされてくるのですが、傾聴ができるようになっても、次の問題把握はできるようにはなりません。なぜなら、問題把握は傾聴とは別のスキルが必要になるからです。。。

 今回はこの問題把握から私たちの普段の振る舞いについて考えてみました。

■問題把握が苦手な人の傾向

 問題の把握が苦手な人に見られる傾向として、相談者の話にしっかりと耳を傾け、心情に寄り添う方は相談者の悩みをまっすぐ受け止めようとされます。それ自体は大変素晴らしいことなのですが、例えば、

「今の仕事を変えたい!」

と相談者が言われていると、

「そうか...この人は仕事を変えたい気持ちでいっぱいなのか...何とかしてあげなきゃ!」

と相談者の悩みをそのまま受け止め、解決しようとします。

 一見するとこれは正しいように見えるのですが、キャリコン的にはあまり良い行動ではありません。それは、相談者の言いなりになって物事を進めようとしているからです。なぜ、そのようになってしまうのか?これはいろんな理由が考えられますが、

  • 相談者に意見をすることができない
  • 相談者の意見が正しいと思い込んでいる

こういったことが原因であることが多いように感じます。つまり、普段の人間関係において、他の人の話を良く聴ける反面、他人に意見することができない他人の意見がそのまま正しいと思い込むタイプの人はキャリコンにおいても問題把握が苦手な傾向があるように感じます。

■問題把握が得意な人の傾向

 それでは、キャリコン的にはどのような行動が良いのか? 例をあげるとこのようになります。

「今の仕事を変えたいと思っている理由は何だろうか? その理由を解決してあげることが相談者の問題の本質なのではないか?」

と、相談者が訴えていることだけに捉われず、その裏側を考えるようにします。これを専門用語で主訴といったりするのですが、この主訴に目を向けることで、相談者が抱える問題の本質に近づくことができます。このようにキャリコンでは主訴を考えるからこそ、その先にある目標の設定は相談者にとって問題の本質を解決する目標となり得る訳で、その具体的な行動も意味があるモノになります。

 先ほどの苦手な人と同様、こういった問題把握が得意としている人もおられます。それは、普段から物事の本質がどこにあるのか?を考える癖付けをされている方です。

「今、この人が言った意味はなんだろうか?」
「なぜ、この作業が必要なのだろうか?」

のように、普段から目に見える形だけではなく、その裏側にある意図や本質を考えることをされている方は比較的この問題が把握が得意のようです。

 また、キャリコンにおける問題把握にはもう1つ大事なことがあり、キャリコンが訴える相談者の問題(=主訴)を相談者に納得してもらわらなければならないということがあります。

 先ほどの例で言えば、相談者は転職したいと言っていましたが、裏側を掘り下げてみると、実は現場の人間関係に問題があったという主訴が出てきたとします。そうしたときに、キャリコンが

「現場の人間関係を解決することがあなたの本当の問題ではありませんか?」

のように伝えたとして、それをちゃんと相談者が納得しなければならないのです。

 相談者も人間ですから、頭では正しいと分かっていても相手によってはそれに同調できないこともあります。ですので、単に理詰めで物事を考えているだけでは相手が納得してくれないこともあります。だからこそ、問題把握をするためには、その前段として相談者との間で傾聴をベースとした関係構築が必要になります。

■問題把握を普段の生活に

 これは、そのまま普段の生活にも当てはめられます。部下でも上司でも、同僚でも家族でも構いません。相手が相談や悩みを打ち明けてきた場合、その問題がどこにあるかを考えることは問題の主訴を考えることと同じです。しかし、主訴を探り当てたとしても、それが問題の本質であることを理解してもらうためには相手との間に信頼関係が必要になってきます。

 もし、皆さんの周りに相談上手な方がおられたら、その方の相談の仕方を観察してみてください。恐らく、相談相手との信頼関係を上手につくり、相談相手の話を聴きながら、問題の本質を探り、それを相談者に認めてもらうような行動をなさっているのではないかと思います。

 相談者との信頼関係を築くためには「傾聴」、問題を把握するためには「主訴」を意識してみてください。それだけでもあなたの相談力は格段に上がってきます。これは普段の生活にも使えますので、もし相談力を高めたいなぁと思われる方はぜひやってみてくださいね!

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