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第331回 シンプルさを求める

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先日、IKEAに行きました。ちょうど大きめの棚が欲しかったので、あれこれ物色した結果、いい感じの棚が見つかったのでそれを買いました。IKEAの商品は基本的に自分で組み立てるのですが、その際に参照した説明書がかなり衝撃的でした。そこで、今回はこの説明書から思うことを書きます。

■文字のない説明書

 IKEAの説明書はこちらにもありますが、基本的に注意書きの部分以外、文字はなくイラストだけになっています。

 イラストだけなら手順も短く簡単なんじゃないの?と思われるかもしれません。いやいや、そんなことはなく、説明書は有に20ページもあり、作る工程もたくさんあります。それなのに、肝心の説明はすべてイラストのみ。言葉は部品名など間違えそうな部分のみ宛がわれており、それ以外は一貫してビジュアルで表現しています。

 最初、これを見たとき、「不親切な説明書だなぁ」と思いました。しかし、作り込んで行くうちにこのマニュアルの意図が少しずつ理解できてきました。恐らく、このマニュアルは必要最小限の事しか書かれていません。だからこそ、作り手はマニュアルをしっかり確認し、正しい向きや位置、部品を見定め、組み立てていきます。そうしているうちに、言葉がなくても作業工程を進めることができるようになり、最終的にちゃんと棚をつくり上げることができました。

 このとき、「説明書は懇切丁寧であるべきだ」という価値観(パラダイム)が私にあったのだと思います。だから、最初はその視点で見ていたのでやりづらさを感じていましたが、その価値観を捨ててやってみる(というかやらされた)ことで新たなモノの見方が生まれたような感覚になりました。

■シンプルさを求める

 この説明書は不要な情報を一切省いたとてもシンプルな内容になっています。また、注意書きの部分が30か国語以上で書かれていることから、恐らくこの説明書は全世界共通のモノなのだろうと思います。だとすると、この説明書は多くの人が見ることを想定してつくられたモノなのでしょう。そう考えたとき、情報は少なくした方が理解される度合いというのも高まるとIKEAは考えたのかもしれません。

 これは、私たちの日常においても言えることです。

 例えば、相手に対して何かを説明する場合、私たちはよく多くの言葉で説明をしようとします。それが丁寧な説明と勘違いをしてしまっている所があるからかもしれません。しかし、本当に相手に理解してもらうためには言葉を増やすのではなく、言葉を減らす工夫が必要なのだと思います。

 キャリコンなどのトレーニングでも「シンプルに」「一言で」こういったキーワードは良く出てきます。実際、たくさんの言葉で説明されるより、シンプルに一言で伝えてもらった方がより響く伝わり方というのがあるからです。

 シンプルさを求める。

 私たちの日常において、これほど本質的なコミュニケーション技術はないかもしれません。私も物事をシンプルに表現できるような技術を身につけていきたいと思います。

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