第327回 基本に帰る
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先日、知人と言葉の使い方について話をしていました。その話の中で、言葉や単語には本来正しい意味があるけれど、私たちはそれを理解せずに使っていることが結構あるなぁという話になりました。
そういえば、私の場合、言葉遣いは社会人になった頃に多くのことを覚えたように思います。といってもそれは研修などはなく、実践の場で先輩や上司から教わったことばかりで、それがいつの間にか身体に染みついていたように思います。ですので、知人から指摘されるまでその言葉が正しいかどうかなどは微塵も考えたことはありませんでした。。。
このように私たちは普段何気なく身につけている所作について、あまり深く考えていないことがあります。そこで、今回は言葉の正しい使い方から基本に帰ることを考えてみたいと思います。
■「気を遣う」と「気を配る」
私が知人と会話をしていたとき、何気なく「気を遣う」という言葉を使いました。確か、「相手のことを考え、気を遣うって大事なことだよね」のようなことを私が話したと思います。そうすると、知人は
「それって使い方がおかしくない?」
と疑問を投げかけました。私は全く意味が分からず、「相手のことを思いやるって意味で使ったんだけど」と答えたのですが、そうすると、
「それなら、『気を配る』じゃない?」
と答えました。正直、まだピンとこなかったので説明を求めたところ、このように教えてくれました。
「『気を遣う』というのは対象が自分に向いている。例えば、『相手に気を遣う』といえば、相手に対して自分が気を遣う、つまり、自分のことを指している。それに対して、『気を配る』というのは対象が相手に向いてる。さっきの例でいえば、『相手に気を配る』といういい方になるけれど、相手に気を配る場合、対象は相手のことを指している。だから、相手のことを思いやるのであれば、『気を配る』の方がいいんじゃないかな」
ここまで聴いて、「なるほどぉ」と膝を打つ感覚を覚えました。私は「気を遣う」という言葉を対象を自分に置いているつもりはなく使っていたのですが、聞く人からすれば、それは自分自身のことを指していると言われても仕方がないいい方だったなぁと思いました。
■基本に帰る
こういった言葉は他にもたくさんあると思います。そう思うと私は言葉を知らないなぁとつくづく感じます。。。しかし、ちょっと考えてみると、これって言葉だけではないような気がしてきました。私たちが普段から行っているような様々な所作にも本当は本来の意味があり、ひょっとしたらその意味とは違う使い方をしていることがあるかもしれないと思うのです。。。
少しうがった見方かもしれませんが、例えばプログラミング言語の文法にはそれぞれ本来の用途があります。しかし、その用途以外の使い方をしてもプログラムは正しく動く場合もあります。そうやって自己流の考え方や方法を積み重ねていった結果、本来の使い方とは全く違う使い方がその人のスタンダートになってしまっていることはあるかもしれません。勿論、それが悪い訳ではないのですが、基本から離れてしまっていることで見失っていることがあるかもしれません。
このように考えると、本来の使い方を知ることは、実は長年慣れ親しんでいる所作にこそ、必要な事なのではないかと思います。
そして、それは基本に帰るということなのだと思います。どれだけ技術や知識を身につけ、経験を積み、手足のように使えるようになったとしても、それは本来あるべき姿の上に積み重ねられているべきことなのではないかと思うのです。
だとすれば、一度基本に帰り、自分の所作を見直すことは、更に深く私たちの技術やスキルといった所作を高めていくために必要なのではないかと思います。