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第323回 変わるきっかけを考える

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 手塚さんの「本や研修、最終的に役に立っていますか?」を読ませていただきました。とても共感できる内容で、思わず「そー、そー!」と言ってしまいました。。。

 私も普段から研修を担当させていただく身として常々意識していることですが、研修などで「その人を変える」といったおこがましい考えは持たないようにしています。その代わり、「変わるきっかけ」を提供したいとは常々考えています。

 そこで、今回は人が変わるきっかけについて、私の思うことを書きます

■研修とはどういう場か?

 研修を一言で例えるならば、学びを提供する場ということになるでしょうか。トレーナー、講師、ファシリテーターと呼ばれる人が前に立ち、受講生に対して知識や情報を提供(インプット)したり、ディスカッション、ワーク、ロールプレイなどを通じて実践(アウトプット)をすることで学びを提供しています。

 その目的のために、研修をつくる場合は綿密に設計します。受講生さんに響くインプットをどのような方法にするかを考えたり、研修に興味を持ってもらい、飽きさせないための工夫として、スライドの構成やトークスクリプトを練ったりもしています。

 ですので、つくり込まれている研修であればあるほど、深い学びが提供されるようになっていると、私個人は思っています。

 しかし、それとその人を変えることはイコールではありません。

■研修に求められるモノは何か?

 それは、研修が誰のために行われるかを考えれば分かります。研修はトレーナーのために行われるモノではなく、あくまで受講生さんのために行われるモノです。だからこそ、受講生さんは受身的ではなく能動的に参加していただくことが求められます。

 元々、能動的に研修に参加されているほとんどの方はこの部分をクリアされています。ですので、余程のことがない限り研修には前向きに参加されます。しかし、受身で参加されている受講者さんはまずはこの点をクリアしなければなりません。

 トレーナーをある程度経験していれば能動的な人、受身的な人というのは自ずとわかってきます。研修で受身的な人がいた場合、どうすればその人を研修中に能動的に変えることができるか? がトレーナーの腕の見せ所になります。

 これはトレーナーによってやり方が違いますが、私の場合、主に以下のような方法を使っていると思います。

  • 雑談や小噺を使い、場を和ませる
  • アイスブレイクやワークなどを取り入れ、一体感を醸成させる
  • 承認欲求を満たすようなワークセッションを展開する
  • 研修で提供するコンテンツがどのように実生活に役立てられるのか、自分の体験を話す など

 これらをそのときの状況に応じてアドリブで入れ込んだりすることで、受講生さんの意識をご自身の中からトレーナーである私や研修に対して向けるようにしていきます。

 ただし、こういったことで受身的だった人が能動的に研修に参加されるようになったとします。しかし、それは私の成果ではありません。私はあくまで「きっかけ」を提供したに過ぎません。

 あくまで変わろうとされたのはその受講者さん自身であり、研修はそのきっかけでしかないのです。

■変わるきっかけを考える

 この考え方は、私のベースにもなっています。人間は誰し自分で成長することができますし、問題を解決することができます。しかし、うまく行っていないときは何かしらの事情や状況でそれが成し得ていないのだと、私は思っています。だからこそ、その人が立ち止まっている場合、その人が前に進むきっかけを指し示してあげれば、後はその人自身が自分の足で前に進んでいくことができると考えています。

 この「自分の足で前に進んでいく」ことは研修においても大切なことです。例えば、ある研修がとても面白く、やる気を引き出すとても素晴らしい内容だったとします。しかし、研修が終わった瞬間から、その人はまた元の生活に戻らなければならないのです。そうすると、最初はテンションが高かった状態も普段の生活を続けていくと次第にテンションも元の状態に戻ってしまうのです。残念なことですが、どれだけ素晴らしい研修であったとしても、これが現実です。

 だからこそ、研修では研修が終わった以降も「自分の足で前に進んでいく」ためにはどうすればよいか? それを提供する必要があります。それがないと、学びは単なるイベントで、ただタメになる時間を過ごしただけで終わってしまうのです。

 そして、これはすべての学びについてもいえることです。

 本で学んだことも、資格を取得したことも、それらであなたがどう変わっていこうするのか? そのきっかけは何なのか? いうなれば、本や資格のような学びで自分が変わるきっかけとなる行動は何なのか? を考えます。そうして、それを実行し続けるためには何が必要なのか? を考えます。そうして、実際の行動に移すからこそ、学びを役立出せることができるのではないかと思います。

 学びを学びで終わらせないためにも、変わるきっかけに意識を向けてみてはいかがでしょうか。

Comment(2)

コメント

手塚規雄

まさかあの内容からこのようなコラムが来るとは思いませんでした。
ありがとうございます。

講師の方々は本当に少しでも伝えたいために、
あの手この手の工夫をされていますね。
受講する側としてはありがたい限りです。

私も受講者が変わるキッカケを持つのが大事だし、
講師側からのこういった発信があるのも凄くありがたいです。

キャリアコンサルタント高橋

手塚さん、


こんにちはー。
コメントありがとうございます!


手塚さんのコメントを拝見させていただき、講師と受講者さんとのやり取りって、研修という場でしかなかったことに改めて気づきました。。。


講師も受講者さんもお互い人間ですから、色々考えていることや感じていることがあるんですよね。
そういったことを共有するのって、実は大事な事なんだなぁと思いました。


コメントを通じてとても深い気づきをいただきました♪
ありがとうございます!
また、これからもよろしくお願いいたします!

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