第310回 属人化を考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先日、7つの習慣のファシリテーターを担当していたときの事です。そのとき、一緒にファシリテートをしていた方との会話で属人化のことが話題になったのですが、とても興味深い内容でした。そこで今回は属人化について思うことを書きます。
■属人化とは
一般的に、属人化とはある仕事が特定の人しか作業できない状態になっていることを指します。そのため、企業は通常は属人化であることを嫌い、なるべく属人化された作業を標準化するような働きかけを行います。しかし、属人化された作業は得てして簡単な作業ではなく、難易度が高い、高スキルが要求されるなど、どうしても属人化にならざるを得ない複雑な状況があり、標準化への道は簡単ではないことが多いです。
7つの習慣のファシリテートについても属人化の要素があります。元々、この研修(ワークセッション)はフランクリンコヴィー社からライセンスを受けて初めて行うことができるため、誰にでもできる訳ではありません。ただ、例えライセンスを持っていたとしても、7つの習慣のファシリテートを行うためには、7つの習慣に対する相当深い知識とワークセッションの進め方を熟知しておかなければならず、私個人も簡単には行えない印象を持っています。
7つの研修を一緒に登壇したファシリテーターの方との話で、この研修に登壇することは自分のステータスの1つでもあり、自分のプライドでもあると話されていました。勿論、他の方が7つの習慣に登壇できるだけのファシリテータースキルを持ち合わせいない事情もあると思いますが、自分が担当できる限りは長く続けていきたいという想いも持っておられました。
■属人化は誰のためにあるか
こういった行為には賛否両論あると思います。ただ、必要とされるスキルや技術が高くなればなるほど、属人化の傾向は高くなります。また、それが一つのステータスにもなりますし、そこにアイデンティティを見出すこともあると思います。キャリア形成の観点から見ても、こういった属人化の仕事にキャリアを見出す人がいるのも事実です。
ただ、この話を聴いたとき、私は逆の振る舞いをしていることに気づきました。元々、私は属人化が好きではない...というか、自分のスキルや技術を勿体ぶるような振る舞いが好きではない...ので、自分が習得したスキルや技術は惜しみなくドンドン周りの方に継承させてもらっています。そうすると、必然的に私と同じようなスキルや技術を持ち、私と同じように振る舞うことができる人が増えてきます。そのことに対して、自分の居場所がなくなるといった危機感がないといえば嘘になります。
だから、私は人にスキルや技術を継承すると同時に、更に高いスキルや技術を習得しようとしています。私が更に高いスキルや技術を習得できれば、スキルや技術の継承によって他の人が私と同じスキルや技術を持っていたとしても、その人たちとの差別化に繋がりますし、また、他の人たちが目指す道しるべにもなるのではないかと思っているからです。
■属人化を手放すこと
この方法が正しいかどうかは分かりません。ただ、私にはこの方法が合っている思っています。コーチングを学んだ時もそうですし、キャリコンを学んだ時もそうです。そのスキルや技術を周りの方に継承し続けてきたからこそ、更なるスキルや技術を習得できたのだと思いますし、それが今のキャリアに繋がっていることは間違いないです。
属人化されていることで見えてくる景色はあります。しかし、同時に属人化を手放すことで見えてくる景色もあります。自分を更なる高みに置くためには、今ある属人化を手放すことも一つのキャリアになるのではないかと思います。