第311回 留まることと、進むこと
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
4月も終わりになり世間ではGWになりますね。例年この時期は新入社員研修の対応をさせてもらっていますが、先日それも一段落しました。なので、今回は新入社員研修の中で話をさせてもらったことをご紹介させていただきます。
■前に進むこと
毎年、新入社員さんは新入社員研修でたくさんのことを学ばれます。ヒューマンスキル、ビジネススキル、技術系スキルなど、社会人として働く上で必要な基礎知識やスキルを長い時間をかけ習得します。しかし、それらは学ぶことが目的なのではなく、これから自分の身を置く仕事先で使うことを想定しています。そのため、自分の考え方や方法に固執するだけでなく、柔軟に色々な考え方や方法を身につけ、それらを活かす振る舞いが必要になります。だからこそ、多くの新入社員研修では学ぶだけに留まらず、それをどのように活かすかについても多くの時間をかけて説明されているのではないかと思います。
つまり、新入社員研修は今ある自分の立ち位置を一歩前に進めるための場であると考えています。
■そこに留まること
一方で社会人の経験が増え、ある程度の技術、スキル、知識が蓄えられてくると、自分の価値観や生き方などが少しずつ確立されてきます。それはその人を形づくるアイデンティティの役割を担うことにもなります。これらは7つの習慣的にいえば「ミッション・ステートメント」にあたりますが、こういったことはどのような環境、境遇においても変わることがありません。そのため、価値観や生き方を体現できる仕事に就くことが、社会人に撮って一つの到達地点になるかもしれません。
そうした仕事を模索し、そこに就くことができたとするならば、自分の価値観や生き方を体現するためにも、その場に留まり続けることも必要なことであると考えます。
■公平と平等
毎年、新入社員研修で多くの新入社員さんを相手にしていると、いろんなタイプの方がおられることに気づきます。教えられ事をただ愚直に実践する人、話が右から左に流れていく人、学生気分が抜けない人、積極的に社会人として振る舞おうとする人...、当然、研修を登壇する立場からすれば、すべての新入社員さんは公平に対応させていただいていますが、平等に対応することはできません。例えば、新入社員さんからの質問を受けることは全員に対して公平に行っています。しかし、質問に来られた新入社員さんに対する受け答えを、そのまま他の新入社員さんに対して平等に振る舞うことはできません。
私は社会とは公平ではあるが不平等な世界だと考えています。だからこそ、自分にとって「前に進むこと」「そこに留まること」が何かを理解し、行動する人が社会人として成功する人だと考えています。
■物事に善悪はない、だからこそ...
しかし、「前に進むこと」「そこに留まること」の基準はとても難しいです。それこそ人によって答えが違います。だからこそ、いろんな人の生き方があり、いろんな人が悩みます。私も「前に進むこと」「そこに留まること」で思い悩むことがあります。そんなとき、私は物事に善悪はないと考えるようにしています。これも7つの習慣的にいえば「自分の天気を持つ」ということですが、「前に進むこと」「そこに留まること」自体に良い悪いはありません。その良い悪いの価値を決めているのは他ならない自分自身です。
だとするならば、自分の決めたことが正しかったか、間違っていたかを論ずるのはあまり意味がないことなのかもしれません。そんなことを論ずるより、自分の決めたことが正しくなるように振る舞うこと、これしかないと思って私は行動しています。
この時期は新入社員さんに限らず、たくさんの方が「前に進むこと」「そこに留まること」の選択をされているのではないかと思います。その選択が正しいモノになるよう、あなたにとってできる限りの行動をし、成功されることをお祈りしています。