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第299回 『アプリ開発82歳の日本人女性、国連本部で演説』の記事を読んで思うこと

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先日、こんなニュースを見ました。

アプリ開発82歳の日本人女性、国連本部で演説

 こういった記事を読ませていただくと本当にすごいなぁと思う反面、今までの常識では測れないような時代になってきているようにも感じました。そこで、今回はこの記事を読んで思うことを書きます。

■60歳からコンピュータを始め、80歳を超えてSwiftを学ぶ

 この記事に登場する方は若宮正子さんといいます。ちょっと気になったので調べさせていただいたのですが、既に業界では有名な方のようで過去にはTEDトークExcelアートなどでも活躍されていたそうです。

 世間一般で60歳といえば定年退職にあたる年です。若宮さんはこの年にコンピュータを触り始めたそうです。今でこそ60歳を超えてバリバリにご活躍されている方はたくさんおられますが、若宮さんの場合は今から20年以上も前の話です。恐らく大変なご苦労もたくさんあったのではないかと思います。実際、インターネットに接続できるまで3カ月もかかられたのだそうです。。。

 しかし、ネットと接続できることで若宮さんは様々な情報を入手されるようになりました。そのときの心情を「翼を手に入れた」と表現されていたそうです。その後、チャットを通じ、お知り合いを増やされ活動の範囲を広げていかれました。それからはご自宅でパソコン教室を開き、同世代のシニアの方々とお話をされながらパソコンやスマホの楽しみ方を教えたり、IT関連の話題を取り上げて説明されるような活動をされていたそうです。

 そんな中、若宮さんは若者向けのゲームアプリは多いが、シニアには難し過ぎて楽しめないという不満を感じており、シニア向けのゲームアプリをつくりたいという想いを持たれていました。ちょうどそのとき、東日本大震災のボランティア活動で知り合われた小泉勝志郎さんという方がスマホアプリの開発やプログラミング教育を手がけおられることもあり、小泉さんに相談された所、若宮さんご自身でスマホアプリを作ることを提案されたのそうです。一念発起した若宮さんはこの方の助言の元、独学でSwiftを習得されました。そうして、「hinadan」というシニア向けのゲームアプリが世に出ることになりました。

■ITエンジニアの可能性

 しかし、プログラム未経験者にとっていきなりSwiftを習得するのは相当大変だったのではないかと思います。実際、若宮さんは1冊3000円もするようなプログラミングの本を何冊も買って読まれたそうです。そこまでできたのは若宮さんだからこそかもしれません。普通の人にとっては相当ハードルが高いことだったのではないかと思います。

 私はここにこれからのITエンジニアの可能性を感じました。これからの時代、学校でもプログラミングの授業が取り入れられるようになり、ますますプログラミングは私たちの身近なモノになってきます。しかし、だからといってすべての人が若宮さんのようにプログラミングを学べるかといえば、それは絶対ないと断言できます。だとすると、そういった人はどうなるのか? ひょっとしたら情報弱者の立場になってしまうかもしれません。

 しかし、そういった方々を変えていくことができる可能性を持つ人たちもいます。それは他ならないITエンジニアです。ITエンジニアはシステムやプロダクトをつくることが本職であり、それは今後も変わることはないでしょう。しかし、時代の流れと共に変わっていく社会の中で、ITを深く知らない人にITのことを知ってもらう大きな役目も出てくるのではないかと思います。それは若宮さんに対する小泉さんのような存在です。

 そういった人同士の関わりが増えてくれば、人同士の関わりが希薄といわれているこの時代も大きく変革していくかもしれません。そういう時代が来れば良いなぁと思います。。。

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