第283回 7つの習慣のススメ8 -第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
7つの習慣のススメシリーズも8回目になりました。今回は公的成功に至るステップの第2段階である第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」をご紹介いたします。この第5の習慣は共感によるコミュニケーションの習慣とも呼ばれており、公的成功のステップ(考え方→スキル→結果)の「スキル」の部分にあたります。
■「まず理解に徹し、そして理解される」のしくみ
一般的に私たちが会話をするとき、自分の立場なら...自分の経験なら...のように「自分」というベースを置いて会話をします。このような聞き方を7つの習慣では「自叙伝的な聞き方」と呼びます。自叙伝的な聞き方に善悪や良い悪いといった考え方はありませんが、自叙伝的な聞き方をしているときは、相手の話を理解しようとしてではなく、相手の話に答えようと思って聞きがちになります。
お互いが自叙伝的な聞き方をしていると、意見の相違があった場合に衝突が起こります。その衝突具合によってはケンカになることがあるかもしれません。そこで、7つの習慣では会話を信号になぞらえた考え方があります。
この信号は相手の状態に応じて以下のように変化します。
信号機による会話の状態
赤信号:こちらが話すのを止め、相手の話を聴く状態
↓
青信号:こちらが話をしても良い状態
↓
黄信号:そろそろこちらが話を止め、相手の話を聴く準備をする状態
会話をする際、まず相手の話を聴くことに徹します。そのとき、相手は思いの丈を話すことでしょう。このときの信号は「赤」です。相手の話を徹底的に聴きます。そうするとやがて相手は話すことに満足します。それは信号が「赤」から「青」に変わった状態です。
ここで自分の考えや意見、求められた答えを話します。このとき多少自叙伝的な反応になっても相手は聞き入れてもらいやすくなります。それは信号が「赤」のときに相手は話を徹底的に聴いてもらえているからです。これを「返報性の原理」といいますが、こちらが徹底的に相手の話を聴いていると、相手もこちらの話を聴いてあげようという意識が働きます。しかし、こちらの話が長くなってくると、やがて相手も話がしたくなってきます。このときの信号は「黄」に変わった状態です。
そろそろこちらの話を終わらせ、相手の話を聴く段階に入ります。そうして相手が話をし出したら、信号が「黄」から「赤」に変わりますので、再び相手の話を徹底的に聴きます。
これが第5の習慣の「まず理解に徹し、そして理解される」のしくみです。
■共感による傾聴
信号が「赤」のとき、こちらは相手の話を聴くことに徹します。このとき共感による傾聴を使います。この共感による傾聴は「意図」と「スキル」から成り立っています。「意図」とは相手の話を理解しようとして聴く姿勢のことで、「スキル」は気持ちと内容を反映させる聴き方のことです。
共感による傾聴
意図...相手の話を理解しようとして聴く姿勢
スキル...気持ちと内容を反映させる聴き方
具体的には「あなたは〇〇について、××と感じているんですね」のように、相手の話す内容を返した上で、その気持ちを汲み取るような言葉を繋げます。また、相手の話に曖昧な点等があった場合には明確化のための質問をします。明確化のための質問とは端的にいえば「相手の話を深堀りする」聴き方です。
明確化のための質問
相手の話を深堀する聴き方
具体的には「今おっしゃられた〇〇のことについて、もう少し詳しく教えてもらえませんか」のように、相手の話に曖昧な個所があった場合にそこを深掘りして相手から言葉を引き出すような聴き方です。
このように、信号が「赤」のときは共感による傾聴を使って相手の言葉を理解することに徹します。これが「まず理解に徹し、そして理解される」の「まず理解に徹し」の部分です。
■自分の考えを話す
そして、信号が「青」になったとき、今度はこちらの話を相手に理解してもらう番です。ここでは相手を尊重しながら、心を開いて自分の考えを話します。このときも共感による傾聴と同じように、意図とスキルを使って話をします。
自分の意見を話す
意図...相手に理解してもらうように話す
スキル..."I"(私は)メッセージを使って自分の考えを話す
具体的には「私は〇〇について、××と感じています」のように自分の考えを端的に話します。このときも相手のことを尊重することを忘れずにこちらの考えを理解してもらうように話します。しかし、相手が感情的になってきたと感じたら、そこで話すのを一旦ため、再び共感による傾聴に戻ります。
これが「まず理解に徹し、そして理解される」の「そして理解される」の部分です。
今回は公的成功の第2段階である第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」をご紹介しました。この第5の習慣は傾聴の比重が大きいので、普段から信号機の考え方や共感による傾聴を実践しておくとやりやすくなります。また、第4の習慣「Win-Winを考える」で「Win-Win実行協定」を準備しておくだけでも、話がブレにくくなります。
それでは、次回は公的成功の最後のステップである第6の習慣「シナジーを創り出す」をご紹介させていただきますね!